中途半端な私が異世界へ2

波間柏

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11.楓の苛立ち

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「いつまでもここには、いられないよね」

ヴィラスに戻って3日目の夜。

 私は、前回と同じ部屋の庭で青い月を眺めながら、何回目かになるため息をついた。

「カエデちゃん~、交代が来たから俺は行くねぇ」
「今日もありがとうございました」

 少し離れた所にいたラウさんが、手をヒラヒラさせながら去っていく。

 その背にお礼を伝えながら、ぶり返してきた気持ちにゲンナリする。


「どうしたら良いのかな」

 お役御免な私に人員をさいているのも申し訳ない。

「楓」

 声に振り向けば、やはりルークさんだった。夜の護衛は彼なのか。

いつ戻ったのかな?
 
 数日ぶりに目にする彼の表情は疲れが見えた。まぁ、相変わらずのイケメンである。

 シャワーを浴びたのだろう微かにいつも違う香りが混じっている。

「先程戻り報告を終えた」
「お帰りなさいとお疲れ様です」


 私に何か言う事が伝える事はないのかな?

結婚の話とかさ。

「どうした?」

 ルークさんは、私を覗きこむように膝を曲げ私を見てきた。

深く青い瞳。

「…何も」

 私から目をそらすと肩を掴まれた。

「楓、言ってもらわないと分からない」

──なんか、無性にイラッとする。

 自分のこれからが、身の振り方がハッキリしないうえに自分1人では、まだこの世界でやっていけないという現実。

「なんでもない」
「かえ」
「離して」

 思わずルークさんの手を思いっきり振り払ってしまった。

「ごめんなさい。寝ますね」

 視線を合わせないままルークさんの横をすり抜け部屋の寝室へ直行し、ふかふかの枕に顔を埋める。

「何やってんの私。サイテーだよ」

 これじゃあ、只の八つ当たりである。今時の子供だってこんな態度しないよね。

「へこむなぁ」

 悶々としている内にそのまま眠りについた。

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