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5.ヴィラという名の神様
しおりを挟む「カエデ様大丈夫ですか?」
マリーさん体力ありますね。
「…疲労しています」
夜会って夜でしょ? 謁見が終わってルークさんが来て去った後、すぐにドレスの採寸、作るのは間に合わないから既存のを手直しだって。その後お風呂で磨かれ色々恥ずかしすぎる。
この国の人達は顔もいいけど体型もいいからなおさらだ。
ざっと見かけた感じだと、身長も女性だと多分平均170センチ近い。男性は180センチ以上かな。
私は156センチの痩せ。自分で言うのもなんだけど、顔は悲しいかな普通。うん普通より下かも。なんか一生懸命なマリーさん達に申し訳ないくらいです。
そして冒頭に戻ります。
「着付けてしまうと横になれないので少しだけですが休憩致しましょう」
「お願いします!」
マリーさん、あなたこそ神です。
***
「もっしもーし。楓ちゃん~、説明しにきたわよ~」
本物の神登場。
もう驚かなくなってきた自分を誰か褒めてほしい。
「明日、神殿で本格的な事は話せるから、とりあえず楓ちゃんの立ち位置と能力かしら~」
相変わらず軽い口調ですね。
「沢山聞きたい事がありますよ。でも、まずは神様の名前とか」
いつまでも美少女神様じゃなぁ。
「あらっ。ふふっ色々呼ばれているけれどヴィラスール。ヴィラでいいわよぉ」
ウインク1つ投げてきた。うん、可愛いけどいらん。
「で、私の仮眠中に夢の中にきているんですよね?時間ないと思うので1つだけ。終わったら、送られた日に返してもらえますか?」
これだけは絶対譲れない。
「いいわよ~」
あっさり。
「場合によっては、おまけもつけちゃうっ」
神様からのおまけ。しかもこの軽い神様からの。
怖いと思うのは私だけだろうか。
「じゃ時間ないから進めるわよ」
キリッ。
なんかこの神様、疲れるなぁ。しかも返事をする前に自称神様は喋りだした。
「まず、楓は魔力はないの本当のゼロ。この世界の生物は質の差はあるけど皆もっていて、綻びを元に戻すには持っていてはできない。無の楓を通して私の、この世界の生命力の力を楓の中に溜めて変化させて力を飛ばす。でもその間は私も力に集中するから何かあった時、魔力ゼロの楓をフォローできない。ここまでいい?」
コテンと首をかしげないで下さい。武器だよそれ。えーと確か。
「それで加護とかいうのでしだっけ?」
「そぅ!楓ちゃんが、いいなぁ祝福しちゃう。って時に他の全生物に幸せ贈れちゃう。人気者間違いなし!あと目が覚めた時から気づいてたと思うけどその腕輪」
──そう、なぜか気づいたら付いていたのよね。
細い銀色の輪に何か花の柄の細工がされ金色の石がついてる。見た目は緩そうなのに抜けないのだ。
「その腕輪で会話もできてるし、字も読めるの。あと、念のため攻撃からの防御とか色々。祝福は自分にはできないの。まぁ試してみて。腕輪は抜けなかったと思うけど、自分が本当に外したいと思えば外れるわょお」
……普通に話せないのかな。特に語尾が気になって仕方がない。
「あっ、もう時間みたい~。またね楓ちゃん~」
「ちょっ」
また、一方的に消えていく瞬間、聞こえた台詞は。
「夜会がんば~! いい男ゲットぉ~!」
「私は、出会いじゃなくて、職を見つけたいんです!」
なんなのよ!
……まぁ、この前より元気そうでよかったよ、ヴィラ様。
応援ありがとうございます!
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