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11.ルークSide
しおりを挟む外から中を意識し探るも力が感じられない。なぜだ?
気配はあるし、いるのは分かるが。俺は念のため仲間に防御の膜をはり、次に備え扉脇で頭の中に攻撃魔法を練り上げていく。
「硬てぇっ!」
ザルグが思いっきり足を振り上げた。
「ちょっとまて!」
確か最上階は、一番部屋が小さい。
こいつの怪力でやると。
ドガッ
「「失礼致します!」」
「あっ!やべぇ…」
ザルグの悲壮な声。デカイ男共で見えんが、嫌な予感がする。小さい光の珠を室内に浮かせ全体を照らす。
そこには、黒髪の痩せた少女が倒れていた。…額から少し出血しているようだ。側には扉の破片。
──不味い。
警戒しながら近づいてみると息はしているようだ。膝下から素足が丸見えな黒い服を着ている。俺はマントを外しそれを少女に巻き付けながら慎重に抱き上げた。
「何だ?」
その時少女の手首に目がいった。銀の細工に金の石の腕輪。そこから先程と同じ力が微かに出ており、それが少女に流れ込んでいるようだ。
魔法石か?それにしては異質だ。少女の気も今まで感じた事がないものだった。普通の魔力とは違う質。ただ攻撃的な感じか全くない。
俺はやっと警戒をといた。
腕に抱きかかえながら、治癒を施す。
治りが遅い。俺の力が落ちているわけでもなさそうだが。試しにいつもよりも多く力を注ぎ込むと、傷はなくなった。後ろを振り返り部下に指示をする。
「ひとまず撤退だ。先に医師に連絡しておいてくれ。できれば女性のがいいだろう。治癒はしたが念のため診せたほうがいい」
「「はっ」」
少女の額の傷が消え、ほっとした顔のザルグに声をかける。
「ザルグ、明日の鍛練は隊長につけてもらえ」
ウヒィとザルグは声を上げた。 うひぃは俺だ。
俺が責任をとるはめになる。とりあえず少女を運んだら報告と始末書だ。
塔をあとにし皆を持ち場に戻らせ、俺は抱いた少女を医師に診せる為、医務室へ向かう。下から視線を感じ少女を見てみれば。
微かに開いた目は黒…いや茶色か?
このような目に黒髪なんて見たことがない。内心驚いていると、少女が突然暴れ始めた。もう少し我慢してくれと伝えると、言葉は通じるのか大人しくなった。顔が赤い。熱か?
医師に少女を任せ俺は隊長にではなく、今日も徹夜しているであろう宰相へ密かに報告しに行った。
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