中途半端な私が異世界へ

２１.初めての外出

　寝ていた時間は30分くらいだった。なんて重たくて濃い30分だったんだろう。

　まだ鼻の奥に匂いが残っている。授業の時もそうだったから、しばらく無理だろう。

　さて、トイレに行き少しすっきりした私は考えた。外の扉にいる護衛さんに会いに扉をゆっくり開く。

「おっ、どうした～？」

　今日の護衛さんはラウさんだった。あるよね、タイミング悪い時。いつもなら私の行動範囲は与えられた部屋と庭のみで呼ばれない限りは通路にさえ出ていない。

でも、今日は違う。

「街見たいです。今から」
「嫌だ」

　キッパリなラウさん。でも負けないぞ。

「今日はルークさん忙しいんですよね？ラウさんとシャルさんでは駄目ですか？」
「え～じゃルークに聞い…」
「ルークさんに言ったら絶対許可がでないです」

　聞かなくてもわかりますよ。彼は過保護なんだもん。心配してくれているからなんだろうけど。

でも、行きたい。

「じゃ地図貸してください。一人で行きます」
「もっと駄目じゃん～」

　面倒そうな顔。では、これでどうだ。腕輪に触れる。

「絶対防御、私の意志に反して強制的に力を使われそうになったらその前に、私、楓に死を」

金色の膜が薄くでき、消えた。

そうだ。

「髪と眉の色をブラウンに」

　髪色を変えるなら眉もよね。金の粒が現れ頭にふわっと降って消えた。髪が短いからわからないな。ラウさんに聞いてみる。

「髪、茶色になりました？」

　ラウさんは、何故かしゃがみこみ頭をガシガシ。あぁ、肉厚の犬耳が近くにあり耳が少し垂れてる。

可愛い～！ 
触りたいよう。

　そのまま目線だけ上げて話すラウさんの声は覇気がない。


「色はバッチリだよ。って何その前の重たい制約は」

　だってそこまでしないと駄目でしょう？ 　この世界には必要だけど迷惑な存在なのが私。

「あ～！わかったよ。シャルが捕まったらな。流石に俺一人じゃ無理。ちょっと待ってな」

　しょうがないな～。とぶつぶつ言いながらラウさんは近くにいたお城の警備の人にちょっと見張っていてと交代し去っていった。

「よし」

　私はまだ確定してないけど、強行するぞと支度をする為にベルさん達の所へ戻った。