中途半端な私が異世界へ

波間柏

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23.護衛騎士達〜ラウ&シャル〜

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「シャルさん~」
「ブッ」

 俺は食堂で上品にお食事中の坊っちゃんに気配を消しながら背後に近づき耳の近くで話しかける。

あっ俺は、女の子が好きよ?

 好みは人それぞれだから念のためね。

「普通に話しかけられないんですか?」
「まぁまぁ~、仕事だよ~。我らのお姫様が出陣らしいょ~」
「そのふざけた話し方やめて下さいよ」

 睨みつけてくるが何とも感じないなぁ。

「さて、飯終わった?移動しながら決めよう」

あー、めんどくさい。


✻~✻~✻




「……可愛いですね」

 着替えたカエデちゃんを見て呟くシャル坊や。うんうん若いなぁ。直に言ってやれょ。

俺に呟くな。

「側につくのは、年齢的にも僕のがいいと思うのですが」

 不満そうだなぁ。俺だって思うよ。城内の貴族達より外は獣族に対してそこまで偏見はないが、エスコートは坊や向きだ。ただのデートならいいんだけど。

カエデちゃん、ヤバいからなぁ。

「経験値で俺のがいいだろうなぁ」
「……」

ガキかお前は。

「帰りの二人乗りはシャルな」
「!わかりました」

 俺の仕事は護衛であってお守りじゃないぞ。

見学は順調だった。

 シャル坊や達が、一度隣国のお馬鹿さんを一匹捕らえたようだ。急だったが、護衛メンバーもいいのを揃えられた。当のカエデちゃんはのんびりアクセサリーなんかを見ている。まあ本人も少しは危険な事を分かっているんだろうが。

 彼女がその中の一つを見つめているのに気づいた。

「欲しいの?」

 俺は聞いてみたが、彼女は金がないからと諦めていた。石の色の話でルークの話が出た。

 まさかアイツがカエデちゃんの色を着けて夜会にでるとは。

 しかも侍女達もなかなか。カエデちゃんにもちろん黙っておく。

シャル、ライバル手強いぞ。

 たまらず笑っていたら嫌そうな視線が下からくる。いや~、面白いんだよ。

嫌な視線はもう二つ。

一つはシャル坊や。

 楽しそうに見えるのが気に入らないんだな~。もう一つ、これはシャル達に任せるか。カエデちゃんは知らないだろうが、この辺で一番いい見晴らし場所へ。

 俺の家族、年の離れた妹が住んでいた場所の近くだ。カエデちゃんは、しばらくキョロキョロしたあと、俺に家が近くかと聞いてきた。俺は仕事仲間にもあまり自分の身内の話はしない。

何故、知っている?

 言い方に確信があるのもおかしい。思わず強く問う俺に怯えるカエデ。タイミング悪くシャル達から連絡がきた。

 俺達は、幾つかの音を組み合わせ言葉にしてやりとりもする。残念だな。しかしカエデちゃんはホント飽きないな。

 あーそうだ、あとであの露天の買っとくか。




✻~✻~✻


 カエデを送り届けた後、僕はラウさんに文句を言った。

「ずいぶん楽しそうでしたね」

 端から見たらデートだ。僕達はけっこう働いた。結局、最後の密偵は逃がしたが。

「そー見えてなにより。しかし、不思議ちゃんだな。あの子」

確かに。

「そうですね。夜中に外で消えそうに透けたりして焦りました」
「夜中ぁ?外に出したのか?」

……僕は報告していなかった。

「その顔。お前まだ何か言う事あるだろ」

 僕の首に腕を巻きつけ絞めてくる。

やめてよ。

 言っておくけど、僕はもう少しで爵位継ぐんだよ? ラウは、僕の顔を首をしめながら覗きこんできた。

「偉いのは家で、お前はまだひよっこだ」

……ムカつくけど嫌じゃないんだよね、アンタの事。




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