中途半端な私が異世界へ

波間柏

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26.楓&ルーク

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「カエデ?」

 気がつけば眉間にシワがよっていたようだ。

話題変えたいな。

「ルークさんは二人の時、敬語がほぼなくなりましたね」

 察しのよさそうな彼だから気づいたのだろう。

話に乗ってくれた。

「あぁ。ライバルもこの先増加しそうだし止めた。嫌ならやめましょうか?」

 お茶を綺麗な動作でいれ小さなティーカップを渡してくれる。

「ありがとうございます」

両手に温かさが伝わってきてほっこりするな。一口すすり、話を続けた。

「敬語じゃないほうがいいです。それと自分の容姿はわかっているし、ライバルって何ですか?」

ため息のルークさん。
ため息ばかりしていたら老けますよ?

「夜中シャルと外でたろう?シャルは報告を上げてこなかったが。外の見回りの連中が金の光と歌を耳にしたと話が出回っている。漆黒の歌姫と言われていたぞ」

思わず声が大きくなる。

「何ですか?!その呼び名!だから姫じゃないし。あー、そういえば見えないようにしてなかった」

ううっ、痛すぎるよ私。

「確か歌っていたら勝手に金の粒が出てきちゃったんですよ。で、知らない内に体が透けてた…」

 ルークさんに説明していて後ろからのイケメン青年の抱きしめを思い出し、身悶えしたくなる。そんな私の心の中なんて知りもしないルークさんに聞かれた。

「もう一度できるか? いや、あまりやると体に負荷がかかるか」
「いえ。力も抜ける感じがしなかったし、大丈夫ですよ」

 恥ずかしいのでかなり小さく歌う。少しすると光の粒が出てきた。

 花のピンクと混じりあい飛んでいく。だんだんのってきて自然と少し声が大きくなっていく。半月も綺麗だなぁ。

「あの」
「だから油断するな」

 今日はルークさんに後ろから抱きしめられた。

「透けてはいない。大丈夫だ」
ううっ。

全部知ってますね。

「この小さい光は効果はそこまでなさそうだが触れると暖かい。わずかだか、精神が落ち着く作用があるのかもな」
「そうなんですか? 自分では何も感じない」

 急にルークさんがブレスレットへ触れ、手のひらから青い淡い光が出た。それが何故かブレスレットの青い石に吸い込まれていく。見上げて目で問えば。

「虫よけ」

この世界も蚊がいるのか。秋とかでもでるのかな?

「ふっ」

彼は、楽しそうに笑った。

「多分考えているのは間違ってるぞ。カエデは本当に顔に出やすい。さて冷えてきた。入りましょうか姫?」

やっと離してくれた。でも…温もりが消え寒くなる。

 それを寂しいと思ってしまった自分は甘えなのかな。

「あまり悩むな」

 大丈夫だという感じで頭をなでられた。

誰のせいですか!!

ふと、今この穏やかな時間ずっと続けばいいのにと思った。







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