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54.デュラスでは
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~ルーク ~
カエデが消え、拘束を解かれた俺はラウを呼びつけた。
「何故止めた?」
「止めなければ切ってたでしょ? あの派手な坊や、ガインの王子だろ? また戦を始める気か? 頭冷せよ」
カエデに関わる事になると冷静さを失うのは自分でも自覚している。
「……悪い」
ラウが正しい。
「まーわかるけどね。まぁ大胆だったね~」
「心配じゃないんですか?」
シャルが怒りを抑えた声でラウに問う。
「う~ん、なんか、あの子だったら自分でなんとかするんじゃないかなと思うんだよねー」
ラウが広場の民を移動させる為に歩きだしながらシャルに言う。
「何を呑気に」
何か確信があるのかと思えば、期待はずれだ。
「どちらにしろ、もうガインにいれば迂闊に手出しはできない。この民の混乱落ち着かせて、その後に宰相から話を聞くしかなくない?」
広場はカエデが消えたのを近くの民が見ていた為に騒ぎになっていた。しかも、あの王子の服でガインだと気づいようだ。
まだ終戦から一年。
憎しみが消えるはずもない。
「そうだな」
俺達は他の兵とともに落ち着かせる為人だかりの方へ足を向けた。
~ 侍女マリー ~
「カエデ様……!」
アリヴェルは怒りで肩を震わせていた。
「あのガインの王子は、ローズを人質にしてカエデ様に何か言ってましたわ」
スカートを握りしめるその手は震えている。
「おそらく言うことを聞かなければローズ嬢を殺すとでも言ったのですわ!」
ベルは唇をかみ憎々しく言う。
「あんな馬鹿な娘、見殺しにすればよろしかったのに!」
「アリヴェル、言い過ぎですよ。」
どこで誰が聞いているかわからない。私は二人に声を抑えるよう注意する。
ローズ様の家、公爵とアリヴェルの家、侯爵はすこぶる仲が悪い。
まあ、最近特に公爵のほうはよくない噂ばかりだけれど。
カエデ様は転移する際私達に笑いかけてらした。
緊張からかひきつっていましたが。
慣れない転移とこれからの恐怖、両方でしょう。カエデ様がガインへ転移した今、私達にできる事をするしかありません。
「きっとカエデ様なら大丈夫ですよ」
私は、自分にもいいきかせるようにベル達に言った。
「楽観的すぎますわ!」
「あのガインですよ?!」
二人は興奮して再び口々にに騒ぎ出す。
「今何をすれば良いのか考えなさい。カエデ様が戻られた時の為に支度をすべきでは?」
私は二人に言い聞かせるように伝える。
「でも!」
アリヴェルは不満そうな口調。
「……そうですわね」
ベルは少し落ち着いたようね。
「さ、城に戻りいつカエデ様が戻ってきてもよいように準備をしましょう」
私は二人を追いたてた。
カエデ様、どうかご無事で。
~ヴィラスの王と宰相 ~
「真っ昼間からやってくれたな」
あの騒ぎの後、陛下の執務室で私と陛下はため息をついた。
「噂には聞いていましたが、予想以上の王子です」
王子の護衛達は真っ青になっていた様子から単独行動だったのだろう。
「ヒュライド」
「はっ」
「使者殿には悪いが此方からは何もしない」
陛下は外を眺めていた視線を私に向けた。
「戦をするつもりはない」
いつ何時でも荒ぶることのない瞳。
「だが、うちの騎士は怒り狂うかな」
「アレも馬鹿ではありません」
コンコン
ドアがノックされた。
「入れ」
「失礼致します!」
伝達の騎士が慌てた様子で入室してきた。
「何事だ?」
「ガインから連絡が」
「話せ」
話を聞き騎士を下がらせると、陛下は珍しく、いたずらそうな笑みをもらしている。
「宰相、使者殿はたくましいな」
私も苦笑せざるおえない。
「はい。氷の騎士と恐れられたルークが苦戦するはずです」
~ 宰相と護衛騎士達 ~
「少し社会勉強してくるので、明日か明後日の朝には帰ります。帰ったらきっとヘトヘトだと思うので、甘いお菓子大量にお願いします! 追伸ローズ嬢無事かな? 派手王子は大丈夫って言っていたのですが、不安しかない!」
「以上使者殿から伝達だ」
「それ、本人が本当に言った事なのでしょうか?」
疑うシャルをよそにラウは爆笑している。
「その口調、間違いなく我らの姫さんのだよ~。いや逞しいな」
「念のため影と接触し確認したが、事実らしい」
ため息をつき宰相は話を続ける。
「使者殿は王の間へ転移し国の様子をみせろと脅した。そして、国を滅ぼしかねない渦の様な物を手に作りだし、王に向けたらしい」
「ギャハハッ駄目だ!想像以上に面白い!」
「ラウ黙れ」
睨み黙らす。
「とりあえず、シャルドの放っている影もいるし様子をみよう」
宰相は最後に俺に視線を向けた。
「戦場で敵なしと言われたお前も使者殿にはかなわないな」
「監禁したいくらいです」
つい本音が出た。
「こわっ」
「ルーク副隊長ってそういう人だったのか」
後ろからヒソヒソ聞こえる。どうとでも言え。
カエデが消え、拘束を解かれた俺はラウを呼びつけた。
「何故止めた?」
「止めなければ切ってたでしょ? あの派手な坊や、ガインの王子だろ? また戦を始める気か? 頭冷せよ」
カエデに関わる事になると冷静さを失うのは自分でも自覚している。
「……悪い」
ラウが正しい。
「まーわかるけどね。まぁ大胆だったね~」
「心配じゃないんですか?」
シャルが怒りを抑えた声でラウに問う。
「う~ん、なんか、あの子だったら自分でなんとかするんじゃないかなと思うんだよねー」
ラウが広場の民を移動させる為に歩きだしながらシャルに言う。
「何を呑気に」
何か確信があるのかと思えば、期待はずれだ。
「どちらにしろ、もうガインにいれば迂闊に手出しはできない。この民の混乱落ち着かせて、その後に宰相から話を聞くしかなくない?」
広場はカエデが消えたのを近くの民が見ていた為に騒ぎになっていた。しかも、あの王子の服でガインだと気づいようだ。
まだ終戦から一年。
憎しみが消えるはずもない。
「そうだな」
俺達は他の兵とともに落ち着かせる為人だかりの方へ足を向けた。
~ 侍女マリー ~
「カエデ様……!」
アリヴェルは怒りで肩を震わせていた。
「あのガインの王子は、ローズを人質にしてカエデ様に何か言ってましたわ」
スカートを握りしめるその手は震えている。
「おそらく言うことを聞かなければローズ嬢を殺すとでも言ったのですわ!」
ベルは唇をかみ憎々しく言う。
「あんな馬鹿な娘、見殺しにすればよろしかったのに!」
「アリヴェル、言い過ぎですよ。」
どこで誰が聞いているかわからない。私は二人に声を抑えるよう注意する。
ローズ様の家、公爵とアリヴェルの家、侯爵はすこぶる仲が悪い。
まあ、最近特に公爵のほうはよくない噂ばかりだけれど。
カエデ様は転移する際私達に笑いかけてらした。
緊張からかひきつっていましたが。
慣れない転移とこれからの恐怖、両方でしょう。カエデ様がガインへ転移した今、私達にできる事をするしかありません。
「きっとカエデ様なら大丈夫ですよ」
私は、自分にもいいきかせるようにベル達に言った。
「楽観的すぎますわ!」
「あのガインですよ?!」
二人は興奮して再び口々にに騒ぎ出す。
「今何をすれば良いのか考えなさい。カエデ様が戻られた時の為に支度をすべきでは?」
私は二人に言い聞かせるように伝える。
「でも!」
アリヴェルは不満そうな口調。
「……そうですわね」
ベルは少し落ち着いたようね。
「さ、城に戻りいつカエデ様が戻ってきてもよいように準備をしましょう」
私は二人を追いたてた。
カエデ様、どうかご無事で。
~ヴィラスの王と宰相 ~
「真っ昼間からやってくれたな」
あの騒ぎの後、陛下の執務室で私と陛下はため息をついた。
「噂には聞いていましたが、予想以上の王子です」
王子の護衛達は真っ青になっていた様子から単独行動だったのだろう。
「ヒュライド」
「はっ」
「使者殿には悪いが此方からは何もしない」
陛下は外を眺めていた視線を私に向けた。
「戦をするつもりはない」
いつ何時でも荒ぶることのない瞳。
「だが、うちの騎士は怒り狂うかな」
「アレも馬鹿ではありません」
コンコン
ドアがノックされた。
「入れ」
「失礼致します!」
伝達の騎士が慌てた様子で入室してきた。
「何事だ?」
「ガインから連絡が」
「話せ」
話を聞き騎士を下がらせると、陛下は珍しく、いたずらそうな笑みをもらしている。
「宰相、使者殿はたくましいな」
私も苦笑せざるおえない。
「はい。氷の騎士と恐れられたルークが苦戦するはずです」
~ 宰相と護衛騎士達 ~
「少し社会勉強してくるので、明日か明後日の朝には帰ります。帰ったらきっとヘトヘトだと思うので、甘いお菓子大量にお願いします! 追伸ローズ嬢無事かな? 派手王子は大丈夫って言っていたのですが、不安しかない!」
「以上使者殿から伝達だ」
「それ、本人が本当に言った事なのでしょうか?」
疑うシャルをよそにラウは爆笑している。
「その口調、間違いなく我らの姫さんのだよ~。いや逞しいな」
「念のため影と接触し確認したが、事実らしい」
ため息をつき宰相は話を続ける。
「使者殿は王の間へ転移し国の様子をみせろと脅した。そして、国を滅ぼしかねない渦の様な物を手に作りだし、王に向けたらしい」
「ギャハハッ駄目だ!想像以上に面白い!」
「ラウ黙れ」
睨み黙らす。
「とりあえず、シャルドの放っている影もいるし様子をみよう」
宰相は最後に俺に視線を向けた。
「戦場で敵なしと言われたお前も使者殿にはかなわないな」
「監禁したいくらいです」
つい本音が出た。
「こわっ」
「ルーク副隊長ってそういう人だったのか」
後ろからヒソヒソ聞こえる。どうとでも言え。
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