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1.ソレは突然に
しおりを挟む「此処、どこ?」
冷たい風が体にあたり思わず体が震えた。
しゃがみこんだまま、ズリズリと縁まで移動し下を見下ろしまた震える。噴水のように水がたまっているようだけど。
地面が遠すぎる。
周りを見渡せば、少し離れた所につい最近海外旅行で行った先で見たようなお城が建っている。
その遠くは広がる山々だろうか。それらの山は雪でなのか白い。
私は、もの凄く高い円柱のてっぺんにいた。ついさっきまで部屋にいたはずだったのに。
「ゆら、あなたへですって」
骨董屋さんを営んでいた叔父がつい最近亡くなり、事前に書かれ保管されていた遺言書の中は細かく指示が書かれていたらしい。
仕事から帰宅した私に母は小さな段ボールを手渡してきた。
「中は見ていないけれど、きっとガラクタよ」
そう面倒くさそうに母は言った。
昔から母は叔父が、骨董屋さんをしている事によい顔をしていなかった。
「ありがと」
礼を言い、受け取ったそれを手にニ階の自分の部屋に入る。まずは、いつものようにジャケットをハンガーにかけた。
「お腹すいたな」
でも、先に食べると動けなくなる。誘惑を振り切りそのままお風呂に入ろうとして、今もらったダンボールに目がいった。
ちらっと見てみるか。絨毯に座りその中を覗いてみれば。
「懐かしい」
アンティークのローズクオーツのブローチ。
お魚の形の箸置き。
確か江戸後期の小皿が数枚。
すました猫の顔の置物。
どれも子供の頃、お店に遊びに行った時に気になって欲しがった物だった。
まだあったようだ。
隅にひっそりあった最後の一つを取り出す。
小さいオルゴールのアンティーク箱だ。
先に箱の裏のネジを回してから膝に箱を置き留め具を外し開けてみると聞いたことがない曲が箱から流れ、中には指輪が一つ入っていた。
「なんか可愛いかも」
手にとってじっくり眺めればリング部分は銀色で中央は円形で蝶のような柄があり、そこはリバーシブルで回るのだ。裏側は石、ラピスラズリのような青に金箔のようなものがキラキラはいっている。
「入るかな?」
サイズがかなり小さい。試した結果、左の小指にぴったりはまった。
それがすべてだ。
私の小指にはさっきはめた指輪で側には箱が転がっている。
「貴方が異なる世界から来た方ですか?」
突然、男性の声が背後から聞こえた。振り向けば、随分昔にテレビで観た狼に似た大きな生き物に乗った若い男性だ。
その背後にも同じような状態の人が数名いた。信じられないことに彼らは空中に浮いている。
これは、現実なのだろうか。
私は、芹沢 ゆら 27歳 。職業は事務。今、私は寒さだけではないであろう激しく震える自分の身体を抱きしめた。
私はこの時、自分の身に起こった事をまだ何も理解していなかった。
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