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7.ラジウス&リューナット
しおりを挟む「リュー知らせてくれて助かった」
俺は食事中のリューへ声をかけた。時間がずれているからか食堂には誰もいない。
たが、念のため音の遮断をかけてからリューの正面の席に座った。
リューは、視線だけよこし食べる手を休めることなく次々と平らげていく。俺も夕食と言っていい昼食分を食べ始めた。
「だー、食った食った」
一息ついたのか、ふんぞりかえり伸びをしやっと此方を見た。
「お嬢のトコ付いてなくていいのか?」
「1人扉に立たせ、リアンヌが中にいる」
それを聞きリューは、あからさまに嫌そうな顔をする。
「あのばーさん、俺、昔から苦手なんだよなぁ。説教ばっかなうえに力もあるから手強い」
俺も同意を表し頷く。
「魔法だけの戦いなら今でもキツいかもな」
リアンヌは、年を経て今でこそ力は落ちたが、それでもかつて戦場で戦女神と囁かれるくらい戦闘能力が高かったと聞いている。特に魔法のセンスのよさは、凄かったらしい。見た目の穏やかさに騙されると痛い目に遭う。
俺とリューは幼い頃、悪さをすると必ず手痛い仕置きを受け、それが記憶にあるせいか未だに頭が上がらない。
彼女は、本来ならば指導する側であり、侍女ではない。
実は、異世界人には若い侍女を何人かつける話が出ていたが、城の娘達は異世界人という未知のヒトに怯えた。だから彼女に無理を言い侍女役謙護衛の任務についてもらった。
様子を聞くとリアンヌとの相性は、悪くないようだ。いずれ落ち着けば正規の侍女をつけたいが、暫くはリアンヌに頼むしかない。
「嬢ちゃん薄着で風邪ひかなかったかな。まさか、あんな事するとは思わなくてよー」
驚いたぜとリューは、茶を飲みながら呟いた。
確かにリューの飛ばしてきた鳥を模したそれが窓から届いたのは驚いた。彼がこの魔法を使う時は至急の時だけだ。俺は、気を許しているリューに聞いた。
「彼女をどう思う?」
直ぐに返事はきた。
「未知」
先をと促すとリューは、話し始めた。
「一見体つきも細く小さく、中身は見た目より成熟しているようだが、この状況だし精神は不安定」
だがと話は続く。
「実際のところ嬢ちゃんは、神官があんだけ求めても応じなかった神と話すどころか直接会い、化身のヒュラウまで飼われている動物のように嬢ちゃんにべったりで光の力まで手に入れやがった。先がまったく読めないが、何かを期待したくなる存在ってとこかな」
リューは、真剣な口調をガラリと変えニヤニヤしながら急に俺を指差す。
「ラジ、淡白なお前こそ感情を出すわ、こんな世話焼きをするわで珍しい」
俺が?
「まぁ、近々自分でも気づくだろうよ。オレ、今日寝ずの番だから少し寝るわ」
「あ、ああ」
「まぁ気長にな副団長。いや数日後には団長か」
そう言いながら俺の肩を叩き去っていった。
リューの言葉を反芻する。
未知。
彼女は、化身を味方につけ本来王のみが所持できる神器を手にした。だが、俺は部屋で体から絞り出すように泣き叫ぶ姿、会議の場で涙が流れている事も気づかないほど取り乱した姿。
異世界人ユラは、脆く弱いイメージしかない。
いくらなんでも今回ばかりは、読みをめったに外さないリューでも過大評価しすぎじゃないのか?
だが、それが直ぐに覆される事になるとは、この時の俺は欠片も思っていなかった。
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