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11.此処はどこだ?〜ランスSide〜
しおりを挟む俺は、起きたら寝ていた場所だけでなく世界が違っていた。
ガチャリという音で目を覚まし、出入口らしき場所で此方に背を向けて通報がどうとか呟やいている女性らしき人物が目に飛び込んできた。
敵か味方なのか。
この場所すら訳がわからない俺は、とりあえず騒がれないよう気配を消し、彼女の背後に迫り口を手でふさぎ、片方はなにやら黒い物を操作しようとしていた手首を掴んだ。
直後、小柄で華奢な身体が強ばり震えているのが伝わってくる。俺は手を緩めないまま素早く周りを見渡し腕の中の女性を観察した。
城ではない。
ここは何処だ?
室内の感じや腕の中の女性の服装が我が国とまったく違う。しかも女性からは、魔力がほぼ感じられなかった。
何かがおかしい。
眠ってしまう前の友人達の会話をふと思い出した。
「ヒュラル! 凄いのを見つけたじゃないか!」
「でしょ~。上に報告する前に試したいんだけど」
「無理だろ! ただの転移陣じゃないぜ?!」
「異世界だとまずいかしらね~。でも気になるじゃない。丁度寝ているのがいるし~」
そこまでが寝入る寸前耳にした会話だ。
…原因はあいつだ。
ヒュラル、お前は俺に何をした?
あっ不味い。
下を見ると震えがひどくなっている。多分泣かせた。
「大人しくしてもらえますか?」
この感じからして明らかに不審なのは俺だ。かといって騒がれても困る。女性がすぐに頷いたので、そっと口と腕を掴んでいた手を離した。
その瞬間崩れ落ちそうになる彼女を支えた。
軽い。
そして触れ合ったせいで確信した。魔力のない生き物なんてありえないのだ。
──間違いない。
ここは、俺のいる世界ではない。
女性に謝りつつ、女性の手首が俺が掴んだため赤くなっていたのに気づき治癒を施そうと力を手のひらに込めたが一瞬光が出ただけで、それはすぐに消えた。
力が使えない?
俺は目の前が真っ暗になった。少しの力も出せないなんて。
──俺は、帰れるのだろうか?
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