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トワとロゼアラ
しおりを挟む最近夢見が悪い。
内容なんて覚えていない。夢とは得てしてそういう物だと言われればそうなのだろうけど。
けれど目を覚ますと俺は必ず涙を流していた。
目尻に溜まる涙の冷たさになぜか心悲しさを覚える。必死に思い出そうとするけれど、ふんわりとあやふやな輪郭は無理に触れようとすると霧散する霞のようでうまく掴むことはできない。
繰り返される寝覚めに言い知れない切なさが募り、ここのところ俺は眠るのが憂鬱になっていた。
※ ※ ※ ※
「ラゼル、何処に行ってたんだよ! 俺ずっとラゼルを待ってたんだよ!」
王立学院のエントランスホール。
まだ正午前。今は試験週間で授業も午前中で終わる。下校の時間はとっくに過ぎて建物内は学院生の姿もまばらだった。
そんな閑散としたホールに響き渡る俺の声。その声に近くにいた居残っている生徒達がこちらを振り返るけど、皆んな俺を見ると興味を失ったように自分の世界へ各々戻っていった。
各校舎へと続く二階へ伸びる中央大階段から降りてきた目当ての人物へ俺は口を尖らせながら駆け寄った。
フワッと良い香りがする。
甘くスパイシー。愛用のフレグランスと馴染みあったラゼルの微香。
ルサ王国大公家嫡男、ラゼル。清潔に整えられた艶やかな黒髪と、漆黒の瞳。手足はすらりと長く、均整の取れた身体。学院の制服を折目正しく着こなすその姿は彼の実直な性格をよく表している。俺より頭一つ分高い、俺と同い年の、俺の好きな人。
ラゼルが階段を降り終えたと同時に俺は腕に抱きついて自分の方へ引っ張る。
俺がしがみついたくらいじゃびくともしない鍛えられた体幹。見た目ではわからない。着痩せするタイプだと俺は知っているけどね。
俺はぷりぷりとラゼルを見上げた。
今日も格好いい。
キリッとした男らしいまっすぐな眉も切長の目も筋の通った形よい鼻も引き締めた凛々しい口も、全てが俺にとって奇跡。
怒ってた筈なのにラゼルの端正な顔を見たらどうでも良くなる。いつもそう。俺は毎日ラゼルに惚れ直している。
「なんだ、このオメガ」
その時、無言のラゼルの影から無粋な声が聞こえた。
声がした方へ目を向ける。
見事な金髪。前髪を手櫛で乱雑に後ろへ流している。それは獅子の鬣のようで猛々しい。ラゼルと同じくらいの背丈。ラゼルより筋肉質で、そして、ラゼルと同じ──
「誰、このアルファ」
俺は目一杯低い声を出してみた。
向こうが俺のことをオメガだと見抜いたように俺も向こうのことをアルファだと気づいた。第二性持ち同士はお互いの存在を第六感で嗅ぎ取れる。
ここの生徒にしては珍しく制服を着崩している。
こんな奴、見た事ない。
同じ学年にも一つ上の最高学年にも今年入学してきた一個下の新入生にもこんな奴は居なかった。
ラゼルの腕にしがみついたまま頭上のラゼルを見上げる。
ラゼルはため息をついた。
「フリュウ、彼はヴァレリア公爵家のトワ。俺たちと同じ歳で隣のクラスに在籍している」
ラゼルはまず金髪鬣アルファに俺の事を説明した。
「トワ、これは俺のクラスに転入してきたフリュウ。俺の遠い親戚の知り合いの息子で礼儀作法を学ぶためにここへ中途入学してきた。俺は世話役を任されている。今日は学院内の案内をしていた」
「「ああ、噂の」」
俺と金髪がハモる。
「「………。」」
お互い一瞬睨め付け合った。
先に気を取り直したのは俺。
「一言声をかけてくれればいいのに! そうしたら俺も一緒に付いて行ったのに」
置き去りにされて待ちぼうけしなくても済んだのに。いつも一緒に帰ろうってラゼルのクラスに誘いに行くのは知ってる癖に。
ラゼルのしなやかで硬い腕にしがみつく手にさらに力を入れて抗議する。
「お前が付いてくる必要はどこにある」
ラゼルのいつもの平坦な声。
「もう! 俺はラゼルと一分一秒も離れてたくないの! 知ってるでしょ⁈ ラゼルの意地悪!」
俺は憤慨して拗ねたように目を吊り上げる。多分、ラゼルからはキャンキャン吠える小型犬みたいに思われてるんだろうな。
でも仕方ない。ラゼルはちゃんと気持ちを伝えていないとすぐに俺の側を離れようとするから。日々の積み重ねは大切だ。
騒がしくしてしまったから、また周りの居残り組がこちらを迷惑そうに遠巻きに見ていたが俺は構わずラゼルににじりよった。
「聞きしに勝る痛さだな。おい、ラゼル。こいつ地雷だぞ。やめておけ」
若干引き気味に金髪の転入生、フリュウはラゼルに哀れんだ目を向ける。
「は? 無関係な奴が口出してくんなよ」
俺はすぐさま応戦する。
「あ? この俺様にそんな口叩くたぁ、いい度胸だな?」
身体を揺らしてゴロつきみたいに顔を近づけて威嚇してきた。貴族の子息のみに門戸を開くこの学院に転入を許可されたっていうんだからこいつの実家は爵位持ちの筈。それなのにこの品位のかけらもない立ち居振る舞いは謎。あ、だから礼儀作法か! ラゼルの説明を思い出して納得。貴族の息子にしてはガラが悪いし訳ありだな。
「ちょっと俺に話しかけないでくれる? 俺、君みたいな野蛮で下品な言葉遣いの男、無理だし。ラゼル、案内は終わったんでしょ? じゃあ一緒に帰ろうよ」
でもそんなの俺には関係ない。金髪転入生を一蹴してラゼルにしなだれかかる。
ラゼルは相変わらず押し黙って感情の読めない顔で俺にされるままになっていた。
「これ本当にオメガか? こんなすげえの初めて見た」
フリュウが唖然と零した。
珍獣みたいに言うなっての。
この世には男女性の他にも第二の性を持つものがいる。
起源はわからない。何故人類がそうした進化を遂げたのか、未だ研究の途上らしい。
突如として現れた第二性持ちの人間。
誰にでも顕れるわけではなく、大抵の人達は男女性のみだ。その中でごく稀に第二の性を持って産まれてくる者がいる。
第二性持ちは更に二つの種類に分けられる。
一つは恵まれた体躯に優れた身体能力、全てにおいて平均以上の能力を持つ優秀種。あらゆる分野で才能を発揮する世界の先導者。
一つは第一の性問わず妊娠可能な存在。特殊なフェロモンを発して強力な誘引性で受精行動を他者に促す、高い繁殖能力を持つ胎主。
前者はアルファと呼ばれ、後者はオメガと呼ばれて区分されている。
第二性は野生に近い生態に属し、種の繁栄の為に特化した人種だとも言われている。
オメガの分泌フェロモンは人の心を乱し、生ある者全てに与えられた種の保存の本能を強制的に奮い起こさせる。
そのフェロモンに強烈に引き寄せられるのが対極にあるアルファ。オメガのフェロモンを摂取する事で、アルファも誘引フェロモンを発する。オメガはそのフェロモンにより更に繁殖欲求を強めるのだ。アルファは優秀な遺伝子を求めるオメガとは切っても切り離せない存在だ。
だからといってオメガが必ずしもアルファを選ぶとは限らないし、アルファが第二性持ちでは無い相手と結ばれることもある。
けれどやはり 第二性の性質上、惹かれ合う関係だから圧倒的にアルファオメガの組み合わせは多い。
人類の比率で言うとどちらも割合が少なく、第二性持ちは全人口の二割程度と言われている。その割合の中でアルファ・オメガの比率は6・4だ。
そして特筆すべきは希少種オメガという存在。第一の性を男性、第二の性をオメガとして産まれてくる非常にレアな存在だ。
体力も無く身体つきは華奢。オメガ特有の身体的特徴だ。その脆弱性をひっくり返す繁殖能力。加えて相手がアルファだと高確率でアルファ性の子を孕む特異性。
第二性持ちは突発的に産まれてくるもので、第一性のみの組み合わせでもアルファやオメガは誕生する。存在自体は突然変異だから全ての人類にその遺伝情報が潜んでいるらしく、その特徴が顕現するかどうかは運次第と言われている。これは昨今の研究で解明されている部分。けどごく稀だ。
例えば第二性無しの普通の女性がアルファ相手の子を産んでも大抵は普通の子供が産まれる。普通同士の組み合わせとほぼ差異はなく。しかしオメガならば第二性持ちを出産する確率はぐんと跳ね上がる。更に希少な男オメガだとアルファの種でほぼ間違いなくアルファ性の子を宿すのだ。
優秀なアルファを求める風潮の世の中で男オメガは貴重な胎主として別格扱いされているんだ。
俺はその希少種の男オメガ。
オメガは気質が柔らかく、争いを好まない。大抵はアルファの庇護下に入り、そのアルファの子を産んで平穏に人生を送るのが一般的だ。選んだ、または選ばれた伴侶によって人生が大きく変わる事もあるが、総じて受け身がちな性質なのだ。
だから俺がオメガである事に大抵の人間が驚く。
俺はこれぞオメガと言うくらい見てくれはオメガオメガしている。
背は平均より低いし身体の作りも頼りない。筋肉もほとんど無い痩せっぽっちだ。淡い色の髪の毛と蜂蜜色の瞳。やや吊り目がちだけど顔は綺麗だとよく褒められる。俺自身は生まれた時から付き合ってる顔だから自分の顔の評価なんてできないけど、世間的には美形の部類に入るみたいだ。だから余計にビックリされる。俺のオメガらしかぬアクの強さに。
「ねぇさ、城下に最近オープンした雑貨屋があるでしょう? そこへ今から行かない? 今話題の有名デザイナーがその店に小物を卸してるんだって。お洒落でハイセンスな品揃えだっていうし、俺、そのデザイナーのファンだからなにか買ってみたい。ラゼルとお揃いの物欲しいな」
邪魔者の存在を意図的に頭の中から消して俺はラゼルに纏わりつく。猫撫で声も忘れない。
「悪いが用事がある。そこへ行きたいのなら誰か他の人間をあたってくれ。フリュウ、案内はここまでだ。後は自分で確認しろ」
ラゼルは俺から腕を引き抜くと踵を返して今降りてきた階段をまた昇りだす。
「はは、振られてやんの」
馬鹿にしたようにフリュウは煽ってくる。けどシカト。
「じゃあラゼルの都合のいい日。俺は、ラゼルと行きたいからいつまでも待ってるからね」
追いすがりたいのを我慢して階段を上がるラゼルの後ろ姿に一方的な約束を投げた。
けれどラゼルからは何の返事も返ってこない。やがてラゼルの姿が二階にある別棟への通用口の一つに消えるまで俺はその後ろ姿を見送っていた。
「……俺が付き合ってやろうか?」
さっきのオラついた態度とは打って変わってフリュウが気の毒そうにこちらを見ている。けど俺はそれをやっぱり無視。踵を返し玄関の出入り口から外へと歩き出す。ちょっとだけ振り返るとフリュウはこちらを物言いたげな顔で見ている。
何、あいつ。
もしかして俺に同情してるのかな。
でもまぁ、好きにしたらいい。
ラゼル以外の他人のことなんてどうでもいいし関わるだけ時間の無駄だから。
「アスター、これ。念入りに洗っておいて。ラゼル以外のアルファの匂いが付いて気持ち悪い」
迎えの馬車に乗り込むなり、従者のアスターに制服のジャケットを突き出して渡す。
俺の小さな従者は恭しく頭を下げて俺が差し出したジャケットを受け取った。
「かしこまりました。少し早いですが昼食前にいつものお茶をお持ちしますか?」
アスターは聡い。俺の少しの異変を敏感に感じ取る。これでやっと十歳なんだから老成してるよなぁといつも感心。
「うん。ちょっとイライラしてるから先に飲んで落ち着きたいかな」
「大公子息様と何かあったのですか?」
俺とラゼルの仲は家族や家の使用人達皆の知るところだ。俺も別に隠していないし。
「ラゼルとは何も無いよ。いつも通り格好良かった」
俺は至極真面目に答えた。
「それでは何か他にお心を痛めるようなことがあったのですね」
アスターも慣れたもので会話は流れるように続く。
「まぁ、そんなとこ。けどまぁ些細な問題だよ。目に余るようになったらいつも通り排除してやるだけ」
うん。いつものように。
あいつがラゼルと俺の邪魔をするなら完膚なきまでに叩きのめせば良いだけだからね。
「無理なさらないでくださいね」
アスターは決して俺に意見したりしない。三年前、孤児だったアスターを俺が拾って公爵家へ招き入れたことに恩を感じているようだ。身の回りの世話をする従者として俺の役に立とうとアスターは大人だらけの使用人の中で朝早くから夜遅くまで頑張ってくれている。俺はそんなアスターだけは誰よりも信頼している。
「うん。お前だけは俺の味方だよ」
アスターの頭を親愛を込めて撫でる。ふわふわの茶色の髪の毛が手に気持ち良かった。
「私はいつでもトワ様の味方です」
アスターは静かに微笑んだ。
※ ※ ※ ※
「お前って一周回って健気だな」
「ちょっと、これ以上近寄らないで! お前の体臭が服に移っちゃうだろ!」
翌日。
俺は何故か例の金髪転入生フリュウの対面に座る羽目になっていた。
試験週間の午前授業。いつものように下校時刻になって隣のクラスへラゼルを捕まえに行くと、少しの間フリュウの勉強を見て欲しいと頼まれたのだ。
他ならぬラゼルの頼み。俺は快諾した。そんなわけでこの教室でフリュウと向かい合って顔を突き合わせている。
「潔癖症かよ」
「俺はラゼルの物なの。その俺がラゼル以外の男の匂いさせる訳にはいかないだろ」
「そのお前の彼氏はお前に他の男の世話を押し付けてどっかへ行ったみたいだけどな」
フリュウの言うようにラゼルは席を外している。居残り組もいなくてこの教室には俺とフリュウの二人だけ。
「ラゼルは優秀だから誰からも頼られて忙しいんだ。ラゼルの役に立つなら気の乗らない頼まれごとでも嫌な顔一つしないでやり切って見せるよ」
「俺には悪態尽くし、都合よく使われてるのにこっちが気の毒なるくらいチョロくて逆に憐れだぞ」
机に重心を預けるように片肘をついて身を乗り出してくる。俺はその分仰け反って距離を取る。
「だから、こっちに近寄るなって! お前のアルファ臭で鼻が曲がる!」
「噂通りでむしろ笑えるな。『公爵家の高飛車お姫様』」
悪様に罵ったけどフリュウは怒ったりしなかった。反対に馬鹿にした目をこちらに向けてくる。
俺のここでの二つ名。
転入早々のフリュウもその噂を知ってるくらい有名。フリュウがラゼルの知り合いだからって余計なお節介を焼いた奴がいるんだろうな。
ここへ入学してからしばらくは俺を口説いてくる勘違いしたアルファやラゼルに近寄るオメガを実家の権力で駆逐してやった。今でこそ俺やラゼルにちょっかいをかけてくる痴れ者は居なくなったけど、当時の呼び名は健在だ。今も影でそう呼ばれていることは知っている。
でも今は意味合いが変わっている。
氷の王子様にお熱の痛いオメガ。
ラゼルが氷の王子様と例えられるのは納得。ラゼルは常に無表情だ。整った顔をしているから尚更それが強調されるんだろう。優秀だけど周りの人たちと少し遠い距離感。大公家という王族所縁の身分のせいでもある。ラゼルの父君の大公閣下はこの国の国王陛下の弟君。やんごとない血筋なのだ、ラゼルは。周りに置く人間にも常に気を払わなければならない立場。
そんなラゼルに毎日熱烈に付き纏う俺。俺がオメガなのは一目瞭然。オメガ特有の身体の線の細さと、首の保護具。項はオメガの運命を左右する大事な急所だから無防備に晒しておけない場所。希少種オメガだから周りの俺を見る目は少し特殊。でもラゼルは俺を特別扱いはしない。その他大勢と一緒の対応。ラゼルが俺に素っ気ない態度なのは今に始まった事じゃ無い。
だから俺はそんな事くらいでめげない。
だって俺たちは運命の番なのだから。
運命の番っていうのは、アルファとオメガだけの特別な繋がりだ。
出会った瞬間、二人は惹かれ合い、番契約が成立したように離れ難い激しい感情を相手に抱く事になる。そんな二人が番契約を交わすと、その絆は揺るぎないものになる。
運命の番同士じゃなくても、番契約を行えば同様の絆はできるけど、運命の番相手だとその何千倍も強い絆で繋がれるのだ。
番契約っていうのは肉体的交渉中にアルファがオメガの頸を噛む事で成立する関係。番が成立するとオメガはそのアルファ以外を受け付けなくなる。フェロモンもその番相手にしか効かないものに変化して他を寄せ付けなくなる。オメガは自分の一生をその番に捧げる事になるのだ。それがたとえ、本意ではないアルファ相手でも。蛇足だけど、俺たちが自分の首に常に保護具のベルトを巻いてあるのは、意に染まぬ事故を防ぐ為にだ。オメガにとってそれくらい番契約は重大な人生の選択なのだ。
だから運命の番は特別なものだった。求め求められる強い想い。アルファでさえそのオメガ以外に目がいかなくなる。お互いがお互いを自分の一部だと認識し、命すら共有する。それほどの愛に溺れる。
運命の番に出会えた二人は幸せな生涯を送ることができるのだと。
そしてラゼルは俺の運命の相手。俺はそう信じてるからラゼルの俺への態度がどんなに冷たくてもラゼルに好きだと意思表示することをやめれない。
「それでその問題解けたの? 解けたんだよな? さっきから手が止まってるし」
俺はお喋りをやめさせるために、フリュウの手元の板書用のノートを抜き取る。教科書の例題を見ながら四苦八苦しながら色々書き込んだ数字や記号の羅列。癖の強い字だ。
「あ、こら」
フリュウが慌てて取り返そうと手を伸ばしてきたけどそれを躱し、ざっと回答に目を通す。
「な、なんでこんな答えになるの? 俺の説明聞いてた? こんな基礎教養レベルの問題どうしたら間違えるんだ」
「お前の説明が下手だからだろ」
フリュウは憮然とした顔で明後日の方向を睨む。
「俺のせいだっていうの⁈」
聞き捨てならない。あれだけ懇切丁寧に説明してやったのに!
「だってお前、こっちの理解度無視して話進めるし。あ、あれか。自分が理解できてるから理解できない奴は何が理解できないか理解できないっていう。お前、指導者向きじゃ無いな」
「理解理解って語彙力死んでてうるさいよ! 自分の頭がポンコツだからって僻むなよ」
「お前って本当に生意気だよな」
「ふん! 殴りたそうな顔してるね。いいよ、殴って。そうしたらこの低レベルの勉強会もお開きになるし」
「お前、嫌な仕事でもあいつの為にやり切るって言ったじゃねぇか」
「俺はそのつもりだけど君がそれを拒否して暴力を振るうならそれは俺の責任じゃない」
「言ったな。お前怖くねぇの? お前のそのお綺麗な顔が醜く膨れ上がったり跡が残ったりするかもよ?」
おふざけ半分だろうが威嚇してきた。けど俺は屈しない。
「殴りたきゃどうぞご自由に」
綺麗と言われるけど俺はこの顔がそれほど大切では無い。必要なのは相手をぐうの音も出ないほど捩じ伏せる権力だ。因みに俺の家は三大公爵家の一つである。申し分ない実家に感謝だ。
「はぁ、もーどーでもいいわ。文章題苦手なんだよ。最後まで読み進める集中力が俺には無い」
俺の挑発にフリュウは乗らなかった。意外と賢い? ちぇっ、この不本意な時間を強制終了させるチャンスだったのに。
「言葉不自由そうだしね。君はまず読解力を身につけたほうが良いのかも。計算問題なら難易度高くても結構いい線行ってるし。凡ミスも多いけどな」
正直勘は悪く無い。下地が足りないから手こずっているけど、至る所に知性の片鱗が見え隠れする途中式。正答に辿り着けなかったけどなかなか立派なものだ。流石腐ってもアルファ。
「文字読むの苦手なんだよ。ここんとこ短期間でいろいろ詰め込まれて頭パンクしそうだし、脳味噌溶けそう」
ぼやきながらぐったりと大きなガタイを机に突っ伏して動かなくなった。
「仕方ないな。ちょっと休憩しよう。お茶淹れてくる」
ほんのちょっとだけ見直したので情けをかけてやるとするか。
「なんだ、この飲み物は」
「オリジナルブレンドのハーブティー」
いざという時に落ち着けるように俺は常飲している茶葉を鞄に入れて持ち歩いていた。それを特別にお裾分けしてやった。
用務員室の給湯所には簡単なお茶ができるティーセットが置いてある。生徒たちが自分で用意する分には自由に解放してくれている。従者は特別な理由を除いて基本校内までは入れないからね。
「酸っぱい甘いエグい。腐ってんじゃ無いのか」
口に含んだ瞬間文句を垂れる。
「この茶葉はリラックス効果があって頭の疲労を取ってくれる」
「でも味がなぁ」
舌を出してカップの中身に顔を顰めている。まったく下品な男だ。
「黙って飲め。君も貴族ならこういった席で感情を顔に出すな。卒なく振る舞え」
今ここにいる俺の心の平穏のために。
嗜められて諦めたのか大人しく素直に中身を飲んでいる。猫舌みたいでふうふうと息を吹きかけているのが少し滑稽。
「流石にサマになってるよなぁ」
フリュウがハーブティーを飲む俺をまじまじと観察しながら感心したように嘯いた。確かに味は独特で美味しく無いけど俺は飲み慣れてるからなんてことは無い。背筋を伸ばし眉一つ動かす事なく丁寧に口に運ぶ。
「こうして黙ってれば、ていうかあいつが関わらなければお前ってまともだよな」
いちいち気に触る奴だ。
俺は至って普通だ。
ラゼルに近寄る悪い虫を家の権力を使って蹴散らすのも、多少グレーな揉め事を秘密裏にもみ消すのも、愛を勝ち取る為には普通のこと。
「それにしたって俺は何だってこんな時期に転入しちまったんだ」
確かに試験直前に転入っておかしなタイミングだ。想像だけどあまりの素行の悪さに問答無用でここへ放り込まれたのかな。あり得そう。
けど俺はこいつの事を詮索したりしない。塵ほどもこいつに興味が無いから。ラゼルの知り合いじゃ無ければ勉強を見ろなんて頼まれごとも断ったと思う。
「なぁさ。あいつの何処がいいんだ? 昨日知り合った俺から見た限りでも全然相手にされてないっていうか」
ころころ話題の変わる奴だ。転入二日目だからまだ知り合いも居なくて会話に飢えているのだろうか。
「全部。見た目も中身も格好いい」
くだらない話題ばかりを振ってくるので黙殺を決めてたけど、さすがにカチンときたからつい反応した。
「無口で陰気な男だと思うけど」
む。
寡黙で慎重って言うんだ!
心の中で抗議する。
ここまで明け透けにラゼルを評する度胸。ラゼルの家の家格を考えれば、親しくも無い他人にそんな発言をするのは迂闊以外の何者でも無い。大公位は王族の血縁のみが名乗れる特別な爵位だ。こいつは本当に度し難いアホなのか、若しくはラゼルと同等以上の家柄の出? …まさかね。
「俺とラゼルは運命の番なんだよ」
ラゼルを悪く言われて気分が悪い。
仕方ないからこいつに俺とラゼルの絆を教えてやる。
「お前、現実見えてるか?」
失礼な。
俺とラゼルは初めて会った十二歳の時からお互い好きあっていた。これは本当のこと。この学院へ入学してから少し関係性が変わったけど、求め合う心は確かに存在していた。そんな素地がなければ俺だって盲目的にラゼルを運命の相手呼ばわりしない。
「お前、あんな態度取られて傷つかないの?」
「何で傷つく必要があるのさ?」
「いや、好きな奴にあんな冷たくされたら普通に嫌じゃねぇ?」
頭をぼりぼり掻きながら聞いてくる。ほんと粗雑!
「別に。俺がラゼルを好きなんだからその他のことはどうでも良くない?」
別に俺は誰かにわかって欲しいわけじゃ無い。ラゼルにだけ伝わっていればいいんだ。
「意味不明すぎて頭おかしくなるな。好きな相手には同じ気持ちを返してもらいたいって思うもんじゃ無いの?」
そうなのかな?
俺はラゼルのそばに居られるだけで幸せなんだけどな。
ていうか、俺はどうしてこいつと恋バナしてるんだ…?
「痛…っ」
「どうした? 顔色が悪いぞ」
「急に胸が…」
痛みはズクズクと激しくなっている。なんだこれ? 右下腹から左肩口にかけてまるで鋭利な刃物で薙ぎ払われたみたいに斜めに走る激痛。俺は咄嗟にその箇所を手で押さえつけた。
「フリュウ? 何をしている?」
椅子に座ったまま痛む身体を抱き抱える俺の耳にドアが開く音と馴染みのある心地いい声が届いた。
「こいつが急に」
「トワ、どうした?」
少し慌ててるようなフリュウの声と、訝しげなラゼルの声。衣擦れの音と共に足音が近づいてきたと思ったらふわりといつもの甘い香りが薫ってきてそれと同時に視界が翳る。
「ラ、ゼル…」
脂汗の滲む顔を上げると俺が求めてやまない男の顔が逆光の中すぐそばにあった。
綺麗で凛々しくて。
俺の愛しい男。運命の伴侶。
身体の痛みを堪えて俺はラゼルに微笑みながら手を伸ばす。ずっと恋焦がれる俺の運命。
愛しさに満たされて伸ばした手がラゼルの滑らかな頬に触れる寸前、それは来た。
それは記憶の奔流。
俺の頭の中に凄まじい勢いで膨大な量の映像が一気に流れ込む。
──俺に何も望むな。この婚姻はお前と公爵家を監視するのに都合がいい、それだけの理由で結ばれたものだとお前も納得していただろう。
温度のない視線、言葉。
今より精悍な顔をした大人のラゼル。
──全くとんだ欠陥品を摑まされたな、ラゼルよ。アルファを産めないオメガなぞ何の役にも立たないでは無いか。オメガだというから過去の悪事に目を瞑って我が家へ迎え入れたが、これではただの厄病神ではないか。
繰り返される侮辱。
そして──
「やっとこっちを見てくれたね。僕の親愛なるトワ……」
幼さを残した少年。その手には細身の剣。
「や、やめてくれ…! どうして…、ロゼア…ラ……」
その少年に対峙した、尻餅をつき無様に地に這いつくばる大人になった俺。閃く刃。脇腹から肩口に走る鋭い衝撃と血飛沫。その先は深い闇──
「おいっ⁈ しっかりしろ!」
「フリュウ、救護の教諭を呼べ!」
慌てたような二人のやり取りを遠くに聞いて目を開けてみる。けれど焦点が合わず霞んでよく見えない。
「…ここは? 俺は?」
俺は身体中に脂汗をかいて震えていた。おこりのように身体が強張り力が入らない。
「落ち着けトワ」
落ち着く? この声は。その声に誘われるように目を瞬かせる。目の前には緊迫した顔をしたラゼルが居た。
「ラゼル…?」
「そうだ」
気がつくと椅子の座面にもたれかかった姿勢で俺は床に座り込んでいた。椅子から滑り落ちたんだろう。ラゼルは服が汚れるのも構わず片膝を立てて俺の手首を握って身体を支えてくれていた。
「ラゼル⁈」
俺はやっと覚醒した。
「一体どうしたんだ」
手首を握られている。ラゼルに触れられて嬉しい状況なのに、袖越しに伝わるラゼルの体温に俺は思わずゾッとする。
「や、やだ…っ」
俺はラゼルの手を振り払った。けれど俺の手首を掴むラゼルの手は離れない。
「トワ?」
困惑した声が俺の名を呼ぶ。
「離して!」
更に全力で腕を振り回しやっと解放された。
俺の力に負けたというよりは、俺の切迫した様子に驚いて思わず手を離したといった感じだ。
「おい、お前、大丈夫なのか?」
心配そうに俺を見るフリュウ。呆気に取られている。
「だ、大丈夫…。ちょっと頭がこんがらがって」
俺は奥歯が噛み合わないくらい震え出した。そんな自分の身体を抱きしめる。
服の下の、現実にはないはずの傷もどうしてかまだずきずきと疼くように痛むし、背中には悪寒。手足の先は氷のように冷たいのに、頭は血が滾ったように熱い。息が上手く吸えなくて歯を食いしばる。
息苦しくて目の奥がチカチカする。
働かない頭で一生懸命考える。
これは何?
一体なんの記憶なの?
流れ込んできた映像は俺の未来?
未来で俺は…。
駄目だ。あまりに突拍子も無くて思考が追いつかない。
流れ込んだ映像は断片的で前後の脈絡もない。出来の悪い読み物を読まされているようだ。
けれど処理が追いつかない中でも拾えた情報があった。
俺は目の前の二人の姿を見やる。
俺の異変に茫然と佇むラゼルとフリュウ。
髪や目の色こそ違う。けど、よくよく見れば奇妙に似通ったところのある容姿。
似ているのは当たり前だ。この二人は血の繋がりのある従兄弟同士なんだから…
だからフリュウはラゼルに横柄だし、ラゼルはフリュウの不調法を見逃してきた。
ラゼルの従兄弟。そして大公家より上の家柄。そんなの一つしか無いじゃないか。
フリュウは王族の直系だ。市井で育ったこの国の第二王子だった。
俺たちの未来のようなその記憶では、フリュウは兄である第一王子を差し置いてこの国に君臨し王となる。
ラゼルは大公家を継ぎ、俺はラゼルの伴侶として大公家に迎え入れられた。
ラゼルの伴侶となる。その念願が叶い、幸せに暮らしているはずの未来の俺。けれど──
俺は蒼白になる。
未来の俺はこの国が滅んだ元凶とも言える大罪人だった。最後は惨たらしく『ロゼアラ』に殺されて死んでしまう──
──嘘だろ!
これは何の冗談だ⁈
※ ※ ※
『ロゼアラ』に殺された俺は、何故かその先の未来をも知っていた。
『ロゼアラ』はその後国王フリュウを操り、国内に混乱と破滅を招き激しく国を衰退させた。
やがて『ロゼアラ』を唯一神と崇拝する勢力が台頭し、混迷を極める暗黒の時代へと突入。無秩序が生む悲惨な歴史。
神となった『ロゼアラ』が粛清した民の数は数十万にものぼり、この国を絶望に染めあげた。
人々は畏怖を込めて『ロゼアラ』をこう呼んだ。
悪戻のロゼアラ、と。
絹のような黒髪。油膜を張ったように虹色に輝く黒く濡れた瞳。その色は俺が愛した人の面影。
卵形の幼さが残る顔、上を向いた小さな鼻。くりっとした小動物のような目は愛くるしい。唇は紅を挿したように赤く色づく。色白で柔らかそうな肢体は可憐。
その姿形は、俺がよく知る人物そのもの。鏡に映る俺自身の特徴を色濃く残した、俺とラゼル二人の息子、ロゼアラ。
──俺たちの息子がこの国を滅ぼした。
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更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。
テンプレの罰ゲーム告白ものです。
表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました!
ムーンライトノベルズでも同時公開。
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