麻雀食堂−mahjong cafeteria−

彼方

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その4『初デート』編

第一話 早い到着

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30.




ここまでのあらすじ




 乾春人は髙橋彩乃と2人でデートすることになった。急に決まった初デート。はたして上手くいくのだろうか?

 一方、彩乃はお弁当を準備して約束の時間を心待ちにしていた。







【登場人物紹介】




乾春人

いぬいはると




 主人公。ごく普通のサラリーマン。ゲームが得意で最近は麻雀の面白さを知ってハマり中。『あやの食堂』の料理の美味さに感動して、近頃は料理にも挑戦している。家族思いの爽やかな26歳。







髙橋彩乃

たかはしあやの




『あやの食堂』の店主。料理スキルが抜群に高い美人でグラマーな37歳独身。髙橋幸太郎と離婚しているが名前を戻すのも面倒なのでそのまま髙橋にしている。旧姓は林。7歳の娘がいる。







犬飼真希

いぬかいまき




『あやの食堂』の常連客。あやの食堂と同じ通りにあるカラオケスナックのオーナーで、容姿はとても若く見えるが年齢は45歳。なぜかはわからないが未だ結婚したことのないバツなしの独身。







乾美咲

いぬいみさき




 乾春人の妹。最近アプリゲームの麻雀にハマってる高校2年生。あやの食堂でメタと出会い、麻雀のセンスをべた褒めされたことから将来はプロ雀士を目指すことにしたようだ。







メタ

めた




 本名は『髙橋幸太郎(たかはしこうたろう)』だが誰もそう呼んでない。麻雀界では知る人ぞ知る元トッププロ。今はのんびりと田舎暮らしをして、元妻である髙橋彩乃を手伝ったりしているようだ。







寒沢司

かんざわつかさ




『カン』の愛称で親しまれるあやの食堂の常連客。21歳の若さにして麻雀の腕は一流の域。勘が良くてそう簡単には放銃しない。唐揚げ定食が大好き。たまにカレーライスも頼む。







左田純子

ひだりたじゅんこ




 あやの食堂にはご飯よりも麻雀をしに来ている年配の女性。たまに麻雀だけして帰る時もある。プロ麻雀界に詳しいようだが、その正体はまだ不明。







髙橋祈

たかはしいのり




 メタとあやのの娘。利発な7歳児。チャーハンが好きで自分でも作りたいと思っているが背が低すぎてキッチンがまだ使えない。餃子を包むのは得意。







その4『初デート 編』

第一話 早い到着




 甜麺醤テンメンジャン豆板醤トウバンジャンを使っておろし生姜の味が効いたタレをあやのはせっせと作ってた。そう、これは回鍋肉ホイコーローのタレだ。

 あやのは先日、回鍋肉定食を食べた時のイヌイの表情が実はずっと気になっていた。




(あの時、いつもの『美味しいな~! 幸せだな~!』という表情をしてくれなかった。回鍋肉は自信作のひとつなのに。口に合わなかったなんてことあるかなあ。何か苦手な野菜が入ってたとか? いや、そんなものはないはずだ。あの人は今のところなんでも食べるし。調味料だって特別嫌がられそうなものは使ってなかった。何でなのかわからない……だからもう一度味わってもらおう。今回は唐揚げのタレとして。私の作るものを美味しく食べて欲しい……!)

 

 もうすぐ約束の時間だ。あやのは料理を進めながらサッとメイクを整え香水を使った。

 香水を使うのは久しぶりのことだった。

(ふふ、私ったら浮かれてるわ。37歳にもなって。まだこんな気持ちになれるんだ。恋っていいものね)







◆◇◆◇




 一方、俺は自分から誘っておいて参ってた。彼女と過ごす時間。何を話そう。長くて2時間ほどだとしても2時間も話すことがあるだろうか。仮にあったとしても上手く話せるだろうか。不安だ。しかしもう賽は投げられた。いや、正確には投げた。

 外は暑かった。洗濯物はすぐ乾いたので取り込んでから行くことに。

 この暑さじゃすぐに汗だくだ。せめて汗臭くならないようにと、俺は駅までたった徒歩12分の距離を原付きに乗って行く事にした。

 最近あまり乗らないからバッテリーがあがってないか心配だが。




ドゥルルル……ドゥルルル…………ドゥルルルルルルルル!!! ドッドドッドドッドドッドドッド




 なんとか起動した。




(ふう、良かった)




────




 駅に到着すると予定してたのより一本早い電車に乗れそうだった。これに乗ると早すぎるかもしれないがこの暑さの中ホームで次の電車を待つのは無理だ。この駅には待合室が無いんだから。どうする、少し戻ってコンビニでも寄るか? いや、飲み物なら駅にも自販機があるし、ぬるくなってるお茶のペットボトルなら一応持ってる。

 食べ物は今からあやのさんの手作りを食べに行くのにコンビニで買うわけがない。




 俺はあやのさんにメッセージを送ることにした。




"一本早い電車に乗れるんですが。少し早く行っても大丈夫ですか?"




 どこか出先での待ち合わせならまだしも、まずはあやのさんの店に行くという約束だ。早く着いたら準備できてなくて迷惑になるという可能性もある。




"お店の鍵あけて麻雀卓起動させておくから牌で遊んで待ってて。私は多分正午ギリギリになるから。ゴメンなさいね"




"わかりました。全然大丈夫です"







 こうして俺は予定より18分早くあやの食堂に到着した。







 







 
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