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その4『初デート』編
第六話 本気の人の邪魔はしない
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35.
第六話 本気の人の邪魔はしない
食事のあと、カラオケに誘われて2時間ほど歌うとカロリーを消費したのか少しだけ楽になった。
犬飼さんはカラオケスナックのオーナーというだけあり歌がすごく上手かった。俺はと言うと、80点前後。全国平均とかも見れるからわかるんだけど、すごく普通の点数。正直カラオケも久しぶりだし、点数とか出したこともないんだけど、俺の歌唱力は普通なんだな。あと5点くらい上手いつもりでいたけど。
「ねえ、犬飼さん――」
「待った! その、『犬飼さん』ってのいい加減やめにしない? ふたりきりで食事してカラオケした仲じゃない。もう『マキ』でいいわよ。そもそも『イヌカイ』と『イヌイ』でややこしかったし」
「ま、まあそれはそうだけども…… 失礼じゃないかな?」
「本人がやめていいって言ってんのに失礼もなにもないわ」
「え、でも俺は『イヌイ』なの?」
「なら『ハルト』でもいいわよ♡」
そう言って犬飼さん……もとい、マキさんはいたずらっぽくウインクしてきた。本当に45歳? めちゃくちゃカワイイんだが。
「ゔっ…… なんかドキドキします。慣れてないというか」
「よし、決まり。今後はハルト呼びするね。面白いから」
「やめてよマキさん」
「『さん』はいらないかな~。友達だと思ってんだから呼び捨てにしてよ」
「へい……」
もう、終始マキのペースだった。俺は意味不明に「へい」とか答えてるし。八百屋か?
とにかく、この日はあやのさんと距離を縮めるつもりの初デートのはずが、気付いたらマキとも初デートをしていたのだった。そんなんあんの?
◆◇◆◇
「おかえり~。お兄ちゃん、けっこう遅かったね。どうだった? こんなに時間あったんだし、既成事実でも作った?」
「既成…… おま、どーゆー思考回路してんの! やっぱり小説書いてるだろ。18禁のやつとか」
「ぎくゥ! いや、そんなん書いてないってー(書いては消してをしてるだけ)……たまーに、読むけどネ」
「はー。まぁいいけど。俺より先にデキちゃいました、はい結婚。とか言い出すなよ。人生には順序ってもんがある」
「ハイハイ。大丈夫よ、今のとこ誰とも付き合ってみたいと思わないし。誰見てもトキメかないのよねー。お兄ちゃんのせいで」
「なんで俺のせいなんだよ」
「ったくゥ。……とにかく、全部お兄ちゃんのせいなの! だから安心してていいから。私の事はいいのよ。それより今日のデートはどうだったのかって聞いてンの!」
「それがさ……」
────
──
「そんなパターンある? 赤いお姉さん手強いなー! 強運キャラじゃん。まいったな、これは三角関係に発展するフラグがビンビン立ってるよ。ていうか、もう三角関係だよね実質」
「マキは友達って言ってたぞ」
「そんなん方便とか建前とかそういうアレに決まってんジャン! まずはそう言っといて距離縮めようって腹よ。実際グンと縮まったわけだから」
言われてみればそうだ。今日1日でマキとの距離はほぼゼロ距離に近いほど近付いた。カラオケの時はいつの間にかピタッと隣に座ってたし。
そもそも今まで女性を呼び捨てにするなんて妹にしかしたこと無い。
「赤い……マキさんだっけ。あのお姉さん、本気ね。ついにお兄ちゃんにモテ期が来ちゃったかー。ウフフフフ」
「何か嬉しいのか?」
「そりゃ嬉しいわよ。モテないお兄ちゃんよりモテるお兄ちゃんがいいに決まってる。モテる人はカッコイイもん。でもそっかー、マキさんも本気だとなると私はもうちょっかい出すのやめよー」
「いいのか?」
「本気の人の恋路は邪魔しちゃいけないからね。あとはお兄ちゃんが選んだらいいよ。私はもう静観する。フフ」
美咲はなんだかとても楽しそうだった。これは多分、小説のネタにされるんじゃないかな。と、ピンときた俺だった。
第六話 本気の人の邪魔はしない
食事のあと、カラオケに誘われて2時間ほど歌うとカロリーを消費したのか少しだけ楽になった。
犬飼さんはカラオケスナックのオーナーというだけあり歌がすごく上手かった。俺はと言うと、80点前後。全国平均とかも見れるからわかるんだけど、すごく普通の点数。正直カラオケも久しぶりだし、点数とか出したこともないんだけど、俺の歌唱力は普通なんだな。あと5点くらい上手いつもりでいたけど。
「ねえ、犬飼さん――」
「待った! その、『犬飼さん』ってのいい加減やめにしない? ふたりきりで食事してカラオケした仲じゃない。もう『マキ』でいいわよ。そもそも『イヌカイ』と『イヌイ』でややこしかったし」
「ま、まあそれはそうだけども…… 失礼じゃないかな?」
「本人がやめていいって言ってんのに失礼もなにもないわ」
「え、でも俺は『イヌイ』なの?」
「なら『ハルト』でもいいわよ♡」
そう言って犬飼さん……もとい、マキさんはいたずらっぽくウインクしてきた。本当に45歳? めちゃくちゃカワイイんだが。
「ゔっ…… なんかドキドキします。慣れてないというか」
「よし、決まり。今後はハルト呼びするね。面白いから」
「やめてよマキさん」
「『さん』はいらないかな~。友達だと思ってんだから呼び捨てにしてよ」
「へい……」
もう、終始マキのペースだった。俺は意味不明に「へい」とか答えてるし。八百屋か?
とにかく、この日はあやのさんと距離を縮めるつもりの初デートのはずが、気付いたらマキとも初デートをしていたのだった。そんなんあんの?
◆◇◆◇
「おかえり~。お兄ちゃん、けっこう遅かったね。どうだった? こんなに時間あったんだし、既成事実でも作った?」
「既成…… おま、どーゆー思考回路してんの! やっぱり小説書いてるだろ。18禁のやつとか」
「ぎくゥ! いや、そんなん書いてないってー(書いては消してをしてるだけ)……たまーに、読むけどネ」
「はー。まぁいいけど。俺より先にデキちゃいました、はい結婚。とか言い出すなよ。人生には順序ってもんがある」
「ハイハイ。大丈夫よ、今のとこ誰とも付き合ってみたいと思わないし。誰見てもトキメかないのよねー。お兄ちゃんのせいで」
「なんで俺のせいなんだよ」
「ったくゥ。……とにかく、全部お兄ちゃんのせいなの! だから安心してていいから。私の事はいいのよ。それより今日のデートはどうだったのかって聞いてンの!」
「それがさ……」
────
──
「そんなパターンある? 赤いお姉さん手強いなー! 強運キャラじゃん。まいったな、これは三角関係に発展するフラグがビンビン立ってるよ。ていうか、もう三角関係だよね実質」
「マキは友達って言ってたぞ」
「そんなん方便とか建前とかそういうアレに決まってんジャン! まずはそう言っといて距離縮めようって腹よ。実際グンと縮まったわけだから」
言われてみればそうだ。今日1日でマキとの距離はほぼゼロ距離に近いほど近付いた。カラオケの時はいつの間にかピタッと隣に座ってたし。
そもそも今まで女性を呼び捨てにするなんて妹にしかしたこと無い。
「赤い……マキさんだっけ。あのお姉さん、本気ね。ついにお兄ちゃんにモテ期が来ちゃったかー。ウフフフフ」
「何か嬉しいのか?」
「そりゃ嬉しいわよ。モテないお兄ちゃんよりモテるお兄ちゃんがいいに決まってる。モテる人はカッコイイもん。でもそっかー、マキさんも本気だとなると私はもうちょっかい出すのやめよー」
「いいのか?」
「本気の人の恋路は邪魔しちゃいけないからね。あとはお兄ちゃんが選んだらいいよ。私はもう静観する。フフ」
美咲はなんだかとても楽しそうだった。これは多分、小説のネタにされるんじゃないかな。と、ピンときた俺だった。
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