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その4『初デート』編
第七話 ハルト君
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第七話 ハルト君
どうしたらいいんだろ。あやのさんとマキのどちらかなんて選べなくないか? 甲乙つけがたいとはこの事で、ふたりとも欲しい。なんでこの国は一夫多妻制が採用されていないのか。
これまでず~っとモテたことなんか無かったのに。急にこんなことになっても困るっつーの。
ん、まてよ? マキ? これ麻雀食堂で「マキ」「ハルト」って言い合うの? いや、あやのさんの前でそれは気まずいよ! 完全に恋人同士のあれじゃん。何か、何か解決策はないか。俺はまだ、どちらを取るか決めきれてないんだ!
俺はマキにメッセージを打ち込んだ。
"マキって呼ぶの、やっぱりなんか気恥ずかしいので『マキちゃん』でいいかな……?"
ちゃん付けはいいはずだ! さん付けだと年上扱いだけどちゃん付けは年下扱いっぽいから気に入るはずだ。
ピロン
返信が早い
"いいよ~。でも私は『ハルト♡』って呼ぶからねぇ"
"それはオッケーです"
それはオッケーだよな? 年上のマキが俺を呼び捨てにするのは自然な事だ。『♡』が付いてるのはまずいが。可視化はできないだろう。
そんなやり取りがあって、数日後――
今日は久しぶりに麻雀食堂に行ける。みんな集まってるだろうか。麻雀の面子が揃うといいのだが。
ガラガラガラ
「こんにちは」
店内は空いていた。麻雀面子はまだ誰も来ていない。どうやら早く来すぎたようだ。
「あっ、いらっしゃいませー。さ、座って座って。ハルト君、ご注文は何にする?」
「今日は唐揚げ定食……『ハルト君』?」
「あれ、名前呼びヤダ? だぁってマキが、ハルトハルトっていつの間にか名前呼びしてるんだもぉん。私だって、ハルト君って呼びたいなぁーって」
あやのさんは少し頬を赤く染め、人差し指と人差し指をくっつけてモジモジしていた。あまりにもあざとかわいい。
(あー、俺が数日来ない間に俺の話題になったってわけね)
「まあ、呼び方はなんでもいいですよ。あっ、唐揚げ定食ごはん大盛りね」
「ハーイ、ご注文ありがとうございます!」
「あやのさん、そう言えばさ。六月のクイズの答えわかったよ。ピンフチャンタ三色イーペーコーでしょう。東をアタマにした」
「あら、すごーい! 正解。ちなみにあのクイズ。答え2つあるのよ」
「えっ!?」
「その様子だと1つしか思い付いてないみたいね。そしたらご飯が出来るまで2つ目の答えはなんなのか考えてみてね」
なんてこった。せっかく思い付いたというのに答えが1つではないとは。
俺はケータイのメモアプリを開いてクイズの2つ目の答えを考え始めた。
────
「はい、ハルト君。唐揚げ定食ごはん大盛り、おまたせしました」
ゴト
「……」
「ンもう。まだ考えてんの? 集中すると聞こえなくなっちゃうのね。ゴーハーン! 出来たてですよ! 温かいうちに食べて下さいね」
「! あっ、ああ。いただきます」
「召し上がれ。残しちゃ嫌よ♡」
香ばしく揚がった唐揚げがうまい。相変わらずの美味しさだ。一口手を付けたらもう止まらない。唐揚げの肉汁が脳まで支配する。『うまい』それしかアタマになくなった俺は一旦クイズを考えるのをやめた。
するとほどなくして店の外から聞いたことのある話し声が聞こえてきた。マキとカンだ。
ガラガラガラ
「やっほー。油淋鶏が食べたいぞー」
「おれは唐揚げ定食ー」
「いらっしゃいませ!」
いつもの面子がやってきた。今日も楽しくなりそうだ。
第七話 ハルト君
どうしたらいいんだろ。あやのさんとマキのどちらかなんて選べなくないか? 甲乙つけがたいとはこの事で、ふたりとも欲しい。なんでこの国は一夫多妻制が採用されていないのか。
これまでず~っとモテたことなんか無かったのに。急にこんなことになっても困るっつーの。
ん、まてよ? マキ? これ麻雀食堂で「マキ」「ハルト」って言い合うの? いや、あやのさんの前でそれは気まずいよ! 完全に恋人同士のあれじゃん。何か、何か解決策はないか。俺はまだ、どちらを取るか決めきれてないんだ!
俺はマキにメッセージを打ち込んだ。
"マキって呼ぶの、やっぱりなんか気恥ずかしいので『マキちゃん』でいいかな……?"
ちゃん付けはいいはずだ! さん付けだと年上扱いだけどちゃん付けは年下扱いっぽいから気に入るはずだ。
ピロン
返信が早い
"いいよ~。でも私は『ハルト♡』って呼ぶからねぇ"
"それはオッケーです"
それはオッケーだよな? 年上のマキが俺を呼び捨てにするのは自然な事だ。『♡』が付いてるのはまずいが。可視化はできないだろう。
そんなやり取りがあって、数日後――
今日は久しぶりに麻雀食堂に行ける。みんな集まってるだろうか。麻雀の面子が揃うといいのだが。
ガラガラガラ
「こんにちは」
店内は空いていた。麻雀面子はまだ誰も来ていない。どうやら早く来すぎたようだ。
「あっ、いらっしゃいませー。さ、座って座って。ハルト君、ご注文は何にする?」
「今日は唐揚げ定食……『ハルト君』?」
「あれ、名前呼びヤダ? だぁってマキが、ハルトハルトっていつの間にか名前呼びしてるんだもぉん。私だって、ハルト君って呼びたいなぁーって」
あやのさんは少し頬を赤く染め、人差し指と人差し指をくっつけてモジモジしていた。あまりにもあざとかわいい。
(あー、俺が数日来ない間に俺の話題になったってわけね)
「まあ、呼び方はなんでもいいですよ。あっ、唐揚げ定食ごはん大盛りね」
「ハーイ、ご注文ありがとうございます!」
「あやのさん、そう言えばさ。六月のクイズの答えわかったよ。ピンフチャンタ三色イーペーコーでしょう。東をアタマにした」
「あら、すごーい! 正解。ちなみにあのクイズ。答え2つあるのよ」
「えっ!?」
「その様子だと1つしか思い付いてないみたいね。そしたらご飯が出来るまで2つ目の答えはなんなのか考えてみてね」
なんてこった。せっかく思い付いたというのに答えが1つではないとは。
俺はケータイのメモアプリを開いてクイズの2つ目の答えを考え始めた。
────
「はい、ハルト君。唐揚げ定食ごはん大盛り、おまたせしました」
ゴト
「……」
「ンもう。まだ考えてんの? 集中すると聞こえなくなっちゃうのね。ゴーハーン! 出来たてですよ! 温かいうちに食べて下さいね」
「! あっ、ああ。いただきます」
「召し上がれ。残しちゃ嫌よ♡」
香ばしく揚がった唐揚げがうまい。相変わらずの美味しさだ。一口手を付けたらもう止まらない。唐揚げの肉汁が脳まで支配する。『うまい』それしかアタマになくなった俺は一旦クイズを考えるのをやめた。
するとほどなくして店の外から聞いたことのある話し声が聞こえてきた。マキとカンだ。
ガラガラガラ
「やっほー。油淋鶏が食べたいぞー」
「おれは唐揚げ定食ー」
「いらっしゃいませ!」
いつもの面子がやってきた。今日も楽しくなりそうだ。
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