麻雀食堂−mahjong cafeteria−

彼方

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その6『三人の契約』編

第七話 理詰め

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第七話 理詰め




 マキの料理はさすがとしか言いようがなかった。

 まず『あめ色玉ねぎ』(少し焦げてた)

 見た目は悪くなっていたが甘くて美味しい玉ねぎ。あめ色にすることでメイラード反応を利用して甘くしている。




 マキは科学的な知識をフル活用していた。玉ねぎを炒める手つきはぎこちなく、フライパンを握る手にも明らかに無駄な力が入りすぎている素人ぶり。それでも、彼女の理系脳が「反応」を計算し尽くした結果、香ばしい甘さが引き出されていた。




 次は豚バラ肉を先入れしてしっかり焼く。その横でスペース作ってフライパンに直接醤油を垂らして焦がす『焦がし醤油』と『ごま油』これにより匂いだけでも食欲が唆られた。こうなると白米なしでは食べられないだろう。




 さらに粉末のかつおだしと塩昆布を入れた事で起きるイノシン酸とグルタミン酸の相乗効果。輪切り唐辛子のアクセントも効いていて最高にごはんが進む。最後にかけた万能ねぎもいろどりとしても味としても良い仕事をしている。




 マキは理系人間だ。料理もマキらしく科学反応を利用した理詰めで作ってる。美味い。豚バラ肉が長いのだけが気になる。これじゃまるでベーコンよ。




「ふう、食べた。ごちそっさまー」




 早い、相当お腹が空いていたのだろう。私はまだ食べ終わらない。




「ねえあやの。アンタ、ハルトとエッチするでしょ?」




ブッ! ガッハ、ゲホ。はー




「えっ、何? いきなり。ごはん吹き出したじゃない。やめてよ」

「ごめんごめん。でも、ヤるつもりでしょ? 将来的には。大人同士で好き同士なんだから当たり前よね。アタシだってそのつもりだし。そんでね、ここ重要なんだけど」

「うん」

「エッチは別々にやろうね。これは絶対。だって恥ずかしいし」

「そそそんなの当たり前じゃない! 決め事にするまでもないよ!」

「そうよね。でも、三人仲良く愛されるってことはホラ、あり得るのかな? 3Pとかって……って考えたら恥ずかしくて。良かった、あやのも同じ意見で」

「私はふたりで普通にエッチするのだって明るいと恥ずかしいんだから、さらに人数増やすなんてムリだよ!」

「わかるー。男ってなんか明るくしたがるよね、恥ずかしくないのかしらねえ」

「でも、彼はどう考えてるかこればっかりはわかんないよ?」

「よし、契約書の第一項目に書いておこう」

「それがいい」




◆◇◆◇




契約書




その1 三人で仲良く愛し合うが、性行為は別々のタイミングで行うこと。




 マキは真剣な顔でノートを取り出し、ボールペンをカチカチ鳴らしながら「契約書」と大仰に書き込んでこれを書いた。

 私はその様子を見て、笑いを堪えるのに必死だった。こんな馬鹿らしい取り決めを、まるで研究論文の要項みたいに書くかね。

 ハルトがこの契約書を見たらどんな顔をするだろう。と想像して、私は思わず笑えてきた。




 なんだかくだらない契約書が完成しそうな予感がする。
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