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その6『三人の契約』編
第六話 マキの料理
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53.
第六話 マキの料理
私もマキも仲良く両名付き合ってもらうと決めた日。店の暖簾を仕舞うとマキと話し合いをすることになった。
「さて、契約書の内容どんな感じにしようか」
「とりあえずアタシたちで考えとこうよ。決め事を作っといたほうがいいのはアタシたちの方なわけだしね」
「そりゃあそうよね~。私たちは二人で一人の男を分け合うんだから」
「ねえ、お腹すいてきた。何か作ってよ」
「もう本日は営業時間終了でーす。キッチン使わせてあげるから自分で作って下さい」
「ちぇっ。ケチ」
そう言うとマキは立ち上がり、キッチンの大きな冷蔵庫をガパッと開けた。
「冷蔵庫にある野菜やら肉やら使っていいの?」
冷蔵庫を覗き込みながらマキが聞いてくる。どうやら何か作るイメージはあるようだ。
「いいよ、どうせ明日買い物行くし、お好きにどうぞー」
「よーし、そしたらまず玉ねぎを切って……」
トントントントン
マキがリズム良く包丁を使う。意外だ。私の記憶の中では彼女はこんなに器用ではない。
「包丁の使い方慣れてるじゃん。マキ、家で料理やるようになったのね」
「何歳だと思ってんのヨ! たまには作るっての」
「フフ、そりゃ失敬」
するとマキがキョロキョロと辺りを見回した。何かを探しているようだ。
「何探してるの?」
「んー。焼酎の空瓶がないかなーって」
「『鏡水』の空瓶ならあるよ。何に使うの?」
私は焼酎の空瓶をヒョイと渡した。
「あ、フタがついてないじゃん。フタ欲しいんだけど」
「あー、フタはこっちに分けてあるはずだけど……あった!」
「ありがとありがと」
するとマキは焼酎のフタを軽く洗ってピッピッと水を切ると、そのフタをピーマンのヘタ部分にグリグリグリッと回しながら当てた。
フタはピーマンの実を簡単に切り、穴を開け。なんとタネがセットでスポンと取れている。
「わあ、面白い! そんな方法があるんだ!? マキは意外なこと知ってる時あるよねー」
「知識あるだけでやってみたのはコレが初めて。すんごく上手く取れたね!」
「ウイスキーのフタでもいいのかな」
「あれだと小さいんじゃない? 多分持ち難いと思う。『鏡水』のがちょうどいいよ」
「そか、でもいい事知ったわ。コレ取っとこ♪」
「さて、と。次は……」
タネをくり抜いたピーマンをマキは普通にトントントンと切りだした。
「なんだ、くり抜いて容器にしたのに結局切っちゃうの? ひき肉でも詰めて揚げるのかと思った」
私がそう言うとマキはハッ! とした顔をしていた。
「そんなの思い付きもしなかった! このタネの取り方はやってみたかっただけなの」
「あ、そういうこと」
そのあとマキは少量のシメジと少しのザク切りキャベツと万能ねぎを用意して最初にまず玉ねぎを炒め始めた。
「あめ色玉ねぎになるまで根気よくやるわよー」
しかし火力が強すぎる。マキの(早く出来上がれ! 早く食いたい!)という気持ちが火力に出ている。まあ少し焦がすくらい良いか。と思って私は口出ししないでおいた。せっかく珍しくマキが料理してるのだ。一人でやらせてみたい。
「もういいかなぁ? そしたら今度は豚バラ肉! ……デカいか? ま、いいや。切ると包丁もまな板も汚れるし、このまま投入~!」
ジャアアアア!!
強火力のアツアツなフライパンに豚バラ肉のラードが溶け出す。
「少しスペースをあけて…… ここに醤油を垂らして焦がし醤油にしよう」
ジャアアアアア!!
「で、ちょびっとだけごま油」
チョイ
「かつおだしの粉末をまぶして輪切り唐辛子を入れる……」
かなりいいにおいがする。においだけでごはんが進みそうだ。やるな、マキ。
「あとは、残りの野菜をドサッと全部入れてよく火が全体に通るように面倒見て……」
「塩こんぶと塩コショウをかけたら混ぜて……上に万能ねぎパラパラっとかけたら完成! どーよ。これがアタシの野菜炒めよ」
「美味しそうだね! 肉がでかいけど」
「アタシが食うんだからいいのよ。少し食べてみる?」
「うん」
少しと言いながらマキはほとんどはんぶんこにして分けてくれた。そういう所、大好きよ。
私はごはんとお茶を2人分用意することにした。そして、実食――
「「いただきます」」
パク パク
「「美味しいー!」」
第六話 マキの料理
私もマキも仲良く両名付き合ってもらうと決めた日。店の暖簾を仕舞うとマキと話し合いをすることになった。
「さて、契約書の内容どんな感じにしようか」
「とりあえずアタシたちで考えとこうよ。決め事を作っといたほうがいいのはアタシたちの方なわけだしね」
「そりゃあそうよね~。私たちは二人で一人の男を分け合うんだから」
「ねえ、お腹すいてきた。何か作ってよ」
「もう本日は営業時間終了でーす。キッチン使わせてあげるから自分で作って下さい」
「ちぇっ。ケチ」
そう言うとマキは立ち上がり、キッチンの大きな冷蔵庫をガパッと開けた。
「冷蔵庫にある野菜やら肉やら使っていいの?」
冷蔵庫を覗き込みながらマキが聞いてくる。どうやら何か作るイメージはあるようだ。
「いいよ、どうせ明日買い物行くし、お好きにどうぞー」
「よーし、そしたらまず玉ねぎを切って……」
トントントントン
マキがリズム良く包丁を使う。意外だ。私の記憶の中では彼女はこんなに器用ではない。
「包丁の使い方慣れてるじゃん。マキ、家で料理やるようになったのね」
「何歳だと思ってんのヨ! たまには作るっての」
「フフ、そりゃ失敬」
するとマキがキョロキョロと辺りを見回した。何かを探しているようだ。
「何探してるの?」
「んー。焼酎の空瓶がないかなーって」
「『鏡水』の空瓶ならあるよ。何に使うの?」
私は焼酎の空瓶をヒョイと渡した。
「あ、フタがついてないじゃん。フタ欲しいんだけど」
「あー、フタはこっちに分けてあるはずだけど……あった!」
「ありがとありがと」
するとマキは焼酎のフタを軽く洗ってピッピッと水を切ると、そのフタをピーマンのヘタ部分にグリグリグリッと回しながら当てた。
フタはピーマンの実を簡単に切り、穴を開け。なんとタネがセットでスポンと取れている。
「わあ、面白い! そんな方法があるんだ!? マキは意外なこと知ってる時あるよねー」
「知識あるだけでやってみたのはコレが初めて。すんごく上手く取れたね!」
「ウイスキーのフタでもいいのかな」
「あれだと小さいんじゃない? 多分持ち難いと思う。『鏡水』のがちょうどいいよ」
「そか、でもいい事知ったわ。コレ取っとこ♪」
「さて、と。次は……」
タネをくり抜いたピーマンをマキは普通にトントントンと切りだした。
「なんだ、くり抜いて容器にしたのに結局切っちゃうの? ひき肉でも詰めて揚げるのかと思った」
私がそう言うとマキはハッ! とした顔をしていた。
「そんなの思い付きもしなかった! このタネの取り方はやってみたかっただけなの」
「あ、そういうこと」
そのあとマキは少量のシメジと少しのザク切りキャベツと万能ねぎを用意して最初にまず玉ねぎを炒め始めた。
「あめ色玉ねぎになるまで根気よくやるわよー」
しかし火力が強すぎる。マキの(早く出来上がれ! 早く食いたい!)という気持ちが火力に出ている。まあ少し焦がすくらい良いか。と思って私は口出ししないでおいた。せっかく珍しくマキが料理してるのだ。一人でやらせてみたい。
「もういいかなぁ? そしたら今度は豚バラ肉! ……デカいか? ま、いいや。切ると包丁もまな板も汚れるし、このまま投入~!」
ジャアアアア!!
強火力のアツアツなフライパンに豚バラ肉のラードが溶け出す。
「少しスペースをあけて…… ここに醤油を垂らして焦がし醤油にしよう」
ジャアアアアア!!
「で、ちょびっとだけごま油」
チョイ
「かつおだしの粉末をまぶして輪切り唐辛子を入れる……」
かなりいいにおいがする。においだけでごはんが進みそうだ。やるな、マキ。
「あとは、残りの野菜をドサッと全部入れてよく火が全体に通るように面倒見て……」
「塩こんぶと塩コショウをかけたら混ぜて……上に万能ねぎパラパラっとかけたら完成! どーよ。これがアタシの野菜炒めよ」
「美味しそうだね! 肉がでかいけど」
「アタシが食うんだからいいのよ。少し食べてみる?」
「うん」
少しと言いながらマキはほとんどはんぶんこにして分けてくれた。そういう所、大好きよ。
私はごはんとお茶を2人分用意することにした。そして、実食――
「「いただきます」」
パク パク
「「美味しいー!」」
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