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その7『家族』編
第七話 キャンベラ的な
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第七話 キャンベラ的な
「はぁい、600300円。じゃあ気を付けて持ち帰ってね。お兄さんおめでとうございます」
「ありがとうございます」
俺は当たった60万円をカバンにしまい、とりあえず銀行ATMへ向かうことにした。
────
60万円持ち歩くなんてのはソワソワしちゃうので脇目も振らずATMへと直進。真っ先に自分の銀行に入金完了。とりあえずこれで一安心だ。
「いやーしっかし驚いたー。ていうか60万円その場で手渡しで貰えるんだねぇ」
「100万円からは銀行手続きが必要だったはず。……しかし、本当に当たるんだな。すげぇな美咲、おい」
「当たったお金、どうするの?」
「うん、それなんだけど。部屋を借りようかと思ってる」
「あ、つまり! 雰囲気だけでも新婚みたいな感じにするってこと? え、お兄ちゃんおうちから出てっちゃうっていうこと?」
「ま、まあな……」
「嫌だよう~。それは嫌だ~」
なんだこいつ、かわいいな。そんなに俺と離れたくないのか。
「ただでさえ少ない家族なんだから人手が減るのは困るよお」
違った。そりゃそうか。
「んー、でもなあ。麻雀食堂までここからだとけっこう遠いからなー」
「あ、分かった。それならさ、あやのさん達の所とウチのそのちょうど中間地点に当たるとこにお兄ちゃんの部屋を借りればいいんじゃない?」
「中間地点だとそれまたド田舎になるけどな。まあいっか。キャンベラ※的な。うん、そうしよう」
※オーストラリアの首都『キャンベラ』は2箇所の大都会『シドニー』と『メルボルン』が首都を取り合ってお互い譲り合わなかったため、間を取ってド田舎であった中間地点のキャンベラを首都にしたという経緯がある。
「絶対我が家にも毎週2回以上は来てくんないとヤダかんね。完全に出ていくのは無しね!」
「はいはい」
────
俺はこのことをあやのさんとマキと俺の3人で作成したグループメッセージの場で話した。
"──というわけで、ちょうどいい感じのお金が急に手に入ったので部屋を借りようと思ってるんだ"
"それはいい考えかもね。仕事場からも近くすれば睡眠時間も確保しやすいし"
"そうなんですよ。正直言うとそれが大きな理由なんです"
"でも、それでお金は大丈夫なの? 部屋を借りるってことは長期的なことよ。頭金は宝くじで60万円を当てたからいいとしても。……まあ、いざとなればアタシらが支援したっていいけどさ。ね、あやの"
"そうね。私達はもう家族みたいなものだしね"
あやのさんに家族と言われてふとあたたかい気持ちになった。そっか、俺たちはもう家族のようなものなんだ。
"家族……か。ありがとう、でもお金は大丈夫だと思ってる。最近給料上がったし。ただ、それと同時に仕事も遅くまでになることが増えたから食堂に行く時間が作れなくて嫌だったんですよ"
"時間の確保という意味があるんならいいんじゃないかしら。それは大切なことだから。私は賛成かな"
"で、そこにアタシらも遊びに行ったり泊まったりしていいってことね。疑似新婚生活的な"
"そう、どうかな?"
"いいんじゃない? あやのはどーしても2人きりになりたい時はアタシとかメタがいのりちゃん預かるし"
" ありがとう、それは安心"
こうして、俺は中間地点に部屋を借りることを決めた。まだ探してもないんだけど、いい物件が見つかるといいな。
第七話 キャンベラ的な
「はぁい、600300円。じゃあ気を付けて持ち帰ってね。お兄さんおめでとうございます」
「ありがとうございます」
俺は当たった60万円をカバンにしまい、とりあえず銀行ATMへ向かうことにした。
────
60万円持ち歩くなんてのはソワソワしちゃうので脇目も振らずATMへと直進。真っ先に自分の銀行に入金完了。とりあえずこれで一安心だ。
「いやーしっかし驚いたー。ていうか60万円その場で手渡しで貰えるんだねぇ」
「100万円からは銀行手続きが必要だったはず。……しかし、本当に当たるんだな。すげぇな美咲、おい」
「当たったお金、どうするの?」
「うん、それなんだけど。部屋を借りようかと思ってる」
「あ、つまり! 雰囲気だけでも新婚みたいな感じにするってこと? え、お兄ちゃんおうちから出てっちゃうっていうこと?」
「ま、まあな……」
「嫌だよう~。それは嫌だ~」
なんだこいつ、かわいいな。そんなに俺と離れたくないのか。
「ただでさえ少ない家族なんだから人手が減るのは困るよお」
違った。そりゃそうか。
「んー、でもなあ。麻雀食堂までここからだとけっこう遠いからなー」
「あ、分かった。それならさ、あやのさん達の所とウチのそのちょうど中間地点に当たるとこにお兄ちゃんの部屋を借りればいいんじゃない?」
「中間地点だとそれまたド田舎になるけどな。まあいっか。キャンベラ※的な。うん、そうしよう」
※オーストラリアの首都『キャンベラ』は2箇所の大都会『シドニー』と『メルボルン』が首都を取り合ってお互い譲り合わなかったため、間を取ってド田舎であった中間地点のキャンベラを首都にしたという経緯がある。
「絶対我が家にも毎週2回以上は来てくんないとヤダかんね。完全に出ていくのは無しね!」
「はいはい」
────
俺はこのことをあやのさんとマキと俺の3人で作成したグループメッセージの場で話した。
"──というわけで、ちょうどいい感じのお金が急に手に入ったので部屋を借りようと思ってるんだ"
"それはいい考えかもね。仕事場からも近くすれば睡眠時間も確保しやすいし"
"そうなんですよ。正直言うとそれが大きな理由なんです"
"でも、それでお金は大丈夫なの? 部屋を借りるってことは長期的なことよ。頭金は宝くじで60万円を当てたからいいとしても。……まあ、いざとなればアタシらが支援したっていいけどさ。ね、あやの"
"そうね。私達はもう家族みたいなものだしね"
あやのさんに家族と言われてふとあたたかい気持ちになった。そっか、俺たちはもう家族のようなものなんだ。
"家族……か。ありがとう、でもお金は大丈夫だと思ってる。最近給料上がったし。ただ、それと同時に仕事も遅くまでになることが増えたから食堂に行く時間が作れなくて嫌だったんですよ"
"時間の確保という意味があるんならいいんじゃないかしら。それは大切なことだから。私は賛成かな"
"で、そこにアタシらも遊びに行ったり泊まったりしていいってことね。疑似新婚生活的な"
"そう、どうかな?"
"いいんじゃない? あやのはどーしても2人きりになりたい時はアタシとかメタがいのりちゃん預かるし"
" ありがとう、それは安心"
こうして、俺は中間地点に部屋を借りることを決めた。まだ探してもないんだけど、いい物件が見つかるといいな。
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