66 / 76
その7『家族』編
第九話 炎天下で飲むコーラ
しおりを挟む
66.
第九話 炎天下で飲むコーラ
新居を決めた俺は早速契約を結び引っ越し作業をすることにした。
作業自体は急ぐことないから業者は雇わずに自分でじわじわと物を運ぶことに。今住んでいる家を出ていくわけじゃないからな。焦る必要ない。
今日、俺は休みだ。木曜日だからあやの食堂のやってない日なのだが、あやのさんの荷物を運ぶのを手伝うということで食堂に来ていた。
季節はもう秋なのだが残暑がしつこく、現在の気温は32℃だった。風がないからもっと暑く感じる。
(わざわざこんな暑い日にやらんでも。っていうわけにもいかないかー。あやのさんも俺も同時に休める日ってのは限られてるもんな)
しばらくすると危ない走りをした軽トラがやってきて食堂の前にキキッ! と止まった。
「あやのー! おまたせ! 借りてきたよー!」
「ありがとうございますー!」
そこには軽トラの運転席から顔を出して声を上げるジュンコさんがいた。そっか、あやのさんはキッチンをなんとかしたいから運ぶものが多いんだな。そんで免許持ってるジュンコさんにレンタカー屋さんから軽トラを借りてきてもらった、と。
(それはいいとして、一緒に連れてきた助手席の美人さんは誰だろう)
「あやのさん、お久しぶりです。今日はお手伝いにきました」
「ありがと~。助かるわぁ」
「……あの、こちらの方は?」
「あー、言ってなかったっけ? 今日手伝ってもらう私の仲間よ」
その人は肩より少し下まである黒髪をなびかせてこちらへ歩いてきた。
年齢はあやのさんと同じくらいかそれより少し若いくらい……いや、女性の年齢を考えるのはやめよう。どうせ全く当たらないのだから。
マキを初めて見た時なんか30代前半か、もしかしたら20代後半くらいだろうと思ったからな。マキが45歳というのは今だに信じられない。
黒髪の女性の身長は155センチ前後。もう少しあるかな? とってもスリムで、それでいて健康的で。あと10センチ背が高かったら雑誌のモデルとかやってそうな感じがした。
「財前カオリです。よろしくお願いします」
「財前……カオリさん。(どこかで聞いた名前だ)初めまして。乾ハルトです」
「ハルト君。カオリちゃんが美人だからって好きになっちゃだめよー」
「はいはい。大丈夫ですよ、そんな惚れっぽい方じゃないんで」
「現在進行形で2人同時に付き合ってる人に言われてもねぇ」
「そりゃそうか……」
心配されるのは当然のことだった。財前さんはとっても魅力的な方だし、俺は2人同時に好きになってる真っ最中である。
そんな会話をしつつ、俺たちは早速荷物運びに取り掛かった。
カオリさんは見た目の華奢さに反して、意外と力持ちで、重い箱を軽々と持ち上げる姿にちょっと驚いた。
ジュンコさんは軽トラの荷台で荷物を整理し、あやのさんがキッチン用品を次々に出してくる。なんだか賑やかな引っ越し作業だ。
「乾さん、これ持っててもらえますか」
カオリさんが笑顔で箱を渡してきた。その笑顔に一瞬ドキッとしたが、すぐに気持ちを切り替えた。そして、渡された荷物があまりに重くて驚いた。あの細腕のどこにこんな力が?
とにかく、今日は作業に集中だ。
────
──
作業終了
「みんなー、お疲れ様。ありがとう。冷たい缶コーヒーとかコーラとかあるから、好きなの飲んでね」
俺はコーラを飲んだ。
(うまい!)
疲れてたし暑いからいつもの倍くらい美味く感じる。思わず一気飲みしてしまった。コーラを一番美味しく飲む方法は多分、今日みたいな炎天下で飲むことだろうな。なんて業の深い飲み物なんだ。
「コーラを一気飲みとか若いわねぇ」
「暑いからですって。普段はやりませんよ」
かくして、軽トラに荷物を積み終え、俺たちは新しい一歩を踏み出す準備を進めた。
さて、この先どんな騒動が待ってるやら。
第九話 炎天下で飲むコーラ
新居を決めた俺は早速契約を結び引っ越し作業をすることにした。
作業自体は急ぐことないから業者は雇わずに自分でじわじわと物を運ぶことに。今住んでいる家を出ていくわけじゃないからな。焦る必要ない。
今日、俺は休みだ。木曜日だからあやの食堂のやってない日なのだが、あやのさんの荷物を運ぶのを手伝うということで食堂に来ていた。
季節はもう秋なのだが残暑がしつこく、現在の気温は32℃だった。風がないからもっと暑く感じる。
(わざわざこんな暑い日にやらんでも。っていうわけにもいかないかー。あやのさんも俺も同時に休める日ってのは限られてるもんな)
しばらくすると危ない走りをした軽トラがやってきて食堂の前にキキッ! と止まった。
「あやのー! おまたせ! 借りてきたよー!」
「ありがとうございますー!」
そこには軽トラの運転席から顔を出して声を上げるジュンコさんがいた。そっか、あやのさんはキッチンをなんとかしたいから運ぶものが多いんだな。そんで免許持ってるジュンコさんにレンタカー屋さんから軽トラを借りてきてもらった、と。
(それはいいとして、一緒に連れてきた助手席の美人さんは誰だろう)
「あやのさん、お久しぶりです。今日はお手伝いにきました」
「ありがと~。助かるわぁ」
「……あの、こちらの方は?」
「あー、言ってなかったっけ? 今日手伝ってもらう私の仲間よ」
その人は肩より少し下まである黒髪をなびかせてこちらへ歩いてきた。
年齢はあやのさんと同じくらいかそれより少し若いくらい……いや、女性の年齢を考えるのはやめよう。どうせ全く当たらないのだから。
マキを初めて見た時なんか30代前半か、もしかしたら20代後半くらいだろうと思ったからな。マキが45歳というのは今だに信じられない。
黒髪の女性の身長は155センチ前後。もう少しあるかな? とってもスリムで、それでいて健康的で。あと10センチ背が高かったら雑誌のモデルとかやってそうな感じがした。
「財前カオリです。よろしくお願いします」
「財前……カオリさん。(どこかで聞いた名前だ)初めまして。乾ハルトです」
「ハルト君。カオリちゃんが美人だからって好きになっちゃだめよー」
「はいはい。大丈夫ですよ、そんな惚れっぽい方じゃないんで」
「現在進行形で2人同時に付き合ってる人に言われてもねぇ」
「そりゃそうか……」
心配されるのは当然のことだった。財前さんはとっても魅力的な方だし、俺は2人同時に好きになってる真っ最中である。
そんな会話をしつつ、俺たちは早速荷物運びに取り掛かった。
カオリさんは見た目の華奢さに反して、意外と力持ちで、重い箱を軽々と持ち上げる姿にちょっと驚いた。
ジュンコさんは軽トラの荷台で荷物を整理し、あやのさんがキッチン用品を次々に出してくる。なんだか賑やかな引っ越し作業だ。
「乾さん、これ持っててもらえますか」
カオリさんが笑顔で箱を渡してきた。その笑顔に一瞬ドキッとしたが、すぐに気持ちを切り替えた。そして、渡された荷物があまりに重くて驚いた。あの細腕のどこにこんな力が?
とにかく、今日は作業に集中だ。
────
──
作業終了
「みんなー、お疲れ様。ありがとう。冷たい缶コーヒーとかコーラとかあるから、好きなの飲んでね」
俺はコーラを飲んだ。
(うまい!)
疲れてたし暑いからいつもの倍くらい美味く感じる。思わず一気飲みしてしまった。コーラを一番美味しく飲む方法は多分、今日みたいな炎天下で飲むことだろうな。なんて業の深い飲み物なんだ。
「コーラを一気飲みとか若いわねぇ」
「暑いからですって。普段はやりませんよ」
かくして、軽トラに荷物を積み終え、俺たちは新しい一歩を踏み出す準備を進めた。
さて、この先どんな騒動が待ってるやら。
11
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる