麻雀食堂−mahjong cafeteria−

彼方

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その7『家族』編

第九話 炎天下で飲むコーラ

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第九話 炎天下で飲むコーラ




 新居を決めた俺は早速契約を結び引っ越し作業をすることにした。

 作業自体は急ぐことないから業者は雇わずに自分でじわじわと物を運ぶことに。今住んでいる家を出ていくわけじゃないからな。焦る必要ない。




 今日、俺は休みだ。木曜日だからあやの食堂のやってない日なのだが、あやのさんの荷物を運ぶのを手伝うということで食堂に来ていた。




 季節はもう秋なのだが残暑がしつこく、現在の気温は32℃だった。風がないからもっと暑く感じる。




(わざわざこんな暑い日にやらんでも。っていうわけにもいかないかー。あやのさんも俺も同時に休める日ってのは限られてるもんな) 




 しばらくすると危ない走りをした軽トラがやってきて食堂の前にキキッ! と止まった。




「あやのー! おまたせ! 借りてきたよー!」

「ありがとうございますー!」 




 そこには軽トラの運転席から顔を出して声を上げるジュンコさんがいた。そっか、あやのさんはキッチンをなんとかしたいから運ぶものが多いんだな。そんで免許持ってるジュンコさんにレンタカー屋さんから軽トラを借りてきてもらった、と。




(それはいいとして、一緒に連れてきた助手席の美人さんは誰だろう)




「あやのさん、お久しぶりです。今日はお手伝いにきました」

「ありがと~。助かるわぁ」




「……あの、こちらの方は?」

「あー、言ってなかったっけ? 今日手伝ってもらう私の仲間よ」




 その人は肩より少し下まである黒髪をなびかせてこちらへ歩いてきた。

 年齢はあやのさんと同じくらいかそれより少し若いくらい……いや、女性の年齢を考えるのはやめよう。どうせ全く当たらないのだから。




 マキを初めて見た時なんか30代前半か、もしかしたら20代後半くらいだろうと思ったからな。マキが45歳というのは今だに信じられない。




 黒髪の女性の身長は155センチ前後。もう少しあるかな? とってもスリムで、それでいて健康的で。あと10センチ背が高かったら雑誌のモデルとかやってそうな感じがした。




「財前カオリです。よろしくお願いします」

「財前……カオリさん。(どこかで聞いた名前だ)初めまして。乾ハルトです」

「ハルト君。カオリちゃんが美人だからって好きになっちゃだめよー」

「はいはい。大丈夫ですよ、そんな惚れっぽい方じゃないんで」

「現在進行形で2人同時に付き合ってる人に言われてもねぇ」

「そりゃそうか……」




 心配されるのは当然のことだった。財前さんはとっても魅力的な方だし、俺は2人同時に好きになってる真っ最中である。 




 そんな会話をしつつ、俺たちは早速荷物運びに取り掛かった。

 カオリさんは見た目の華奢さに反して、意外と力持ちで、重い箱を軽々と持ち上げる姿にちょっと驚いた。

 ジュンコさんは軽トラの荷台で荷物を整理し、あやのさんがキッチン用品を次々に出してくる。なんだか賑やかな引っ越し作業だ。




「乾さん、これ持っててもらえますか」

 カオリさんが笑顔で箱を渡してきた。その笑顔に一瞬ドキッとしたが、すぐに気持ちを切り替えた。そして、渡された荷物があまりに重くて驚いた。あの細腕のどこにこんな力が?




 とにかく、今日は作業に集中だ。




────

──




作業終了







「みんなー、お疲れ様。ありがとう。冷たい缶コーヒーとかコーラとかあるから、好きなの飲んでね」




 俺はコーラを飲んだ。




(うまい!)




 疲れてたし暑いからいつもの倍くらい美味く感じる。思わず一気飲みしてしまった。コーラを一番美味しく飲む方法は多分、今日みたいな炎天下で飲むことだろうな。なんて業の深い飲み物なんだ。 




「コーラを一気飲みとか若いわねぇ」

「暑いからですって。普段はやりませんよ」




 かくして、軽トラに荷物を積み終え、俺たちは新しい一歩を踏み出す準備を進めた。

 さて、この先どんな騒動が待ってるやら。

 

 








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