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エピローグ
騒がしい毎日
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76.
【麻雀食堂】エピローグ 騒がしい毎日
俺は結局会社を辞めてあやの食堂とカラオケスナックの両方で働くことにした。それがけっこう性に合ってて毎日笑顔で働くことが出来るようになった。自分の好きな人の隣で働くことの出来る喜びを感じた。
美咲はあっという間に売れっ子の女流プロになっていた。まだ学生だから仕事の量は控えているが、明るく気さくな性格もあり異性だけでなく同性からも好かれる大人気新人麻雀プロとなった。
しかし、美咲は今執筆がうまくいかず連載中だった作品は休載になり苦しんでいるようだった。そんな悩みはおくびにも見せず、勉学に勤しみ、プロ活動の一環として麻雀の対局を配信したりと立派だった。
「やめよっかな、小説家」なんてことを言うかもと思って心配していたがそんな様子は微塵もない。
「スランプみたいだな。大丈夫なのか」と、一応声をかけてみたが……
「スランプ? そんなのは新人には無いものだよ。まだ未熟なだけ。それにこの程度のことでやめるわけにはいかないよ。ファンがいるからね。私の書いたもののファンが。そもそもここまで書けるのは間違いなく才能なんだからやめたりしない。急いで書いたっていいもの生まれないよ。今はお休みでいいの!」と言う。強い妹だ、格好いいよ、美咲。
困ったのは、最近品川愛が休みの日によくあやの食堂に顔を出すようになったことだ。
「何で来るんだ、近くないだろ」と言うと
「何でってー? 美味しいからに決まってるじゃあないですか。あと先輩の顔が見たいからってのも当然あります!」
「ケッ、俺はあんま見たくねーんだよ」
「なーんてこと言うんですかぁ! 私がこんなに先輩を慕っているのに?」
「おまえとはもう先輩後輩でも上司部下でもない。先輩呼びもしなくていい」
「じゃあ『ハ ル ト ♡』って呼びましょうか」
「やめてくれ。……先輩でいい」
(なにあの女ー。くっそカワイイんだけど。あれがハルトの部下で上司だっていう品川さん? 女の子じゃん、聞いてないんだけど)
(あーやだやだ、私らの旦那はモテ過ぎてイヤになるわね。3人目とかさすがにダメよ)
「リーチぃ!」
奥の麻雀卓では財前カオリが後輩プロの望月コトノと一緒にアマチュア相手に実戦形式の勉強会を行っていた。
元気いっぱいなリーチ発声はアマチュアではなく望月プロによるものだった。望月プロは絶好調みたいですごく楽しそうにしている。勉強会ってこういうモンなの?
「先輩はぁ、男のプライドとかあったのかもだけど私が昇給早いのは実は社長の孫だからなんです。ナイショなんだけど。だから先輩の能力不足とかじゃなかったんですよ」
「えっ?」
「でも、今は幸せそうだし。結果これで良かったかもしれませんね。私も美味しいお店を知れて良かったし」
聞いてないよそんなこと。辞める前にひとこと教えておいて欲しかった。
でもまあ、結果これでよかったは本当にそうかもしれない。
「また次の休みも来ますので。先輩出勤してて下さいね。次は木曜日です」
「木曜日は定休日だ。残念だったな」
「えっ、じゃあその日はデートしましょうよ。たまにはいいでしょう?」
「「ダメーーーーー!! 絶対にダメーー!!」」
影に引っ込んでた2人がついに口を出してきた。
「わわわ、なにごとですか? 誰? どなた様?」
「……妻だ」
「どっちがです?」
「どっちも……」
「へ? 2人いるってこと?」
「まあ……そう」
「……………………………………?」
品川愛は少しフリーズしていたがふと思い付いたように口を開いた。
「あ、なら3人目は私って事で♡」
「「だからダメだって!!」」
すると奥で麻雀をしていた望月コトノや財前カオリまでもが
「じゃ、それなら4人目はアタシー。カオリ先輩はどうします?」
「私は5人目でいいわ」
なぜそうなる。
――全く、騒がしい毎日だ。いつも俺の食卓は騒がしい。
【麻雀食堂】エピローグ 騒がしい毎日
俺は結局会社を辞めてあやの食堂とカラオケスナックの両方で働くことにした。それがけっこう性に合ってて毎日笑顔で働くことが出来るようになった。自分の好きな人の隣で働くことの出来る喜びを感じた。
美咲はあっという間に売れっ子の女流プロになっていた。まだ学生だから仕事の量は控えているが、明るく気さくな性格もあり異性だけでなく同性からも好かれる大人気新人麻雀プロとなった。
しかし、美咲は今執筆がうまくいかず連載中だった作品は休載になり苦しんでいるようだった。そんな悩みはおくびにも見せず、勉学に勤しみ、プロ活動の一環として麻雀の対局を配信したりと立派だった。
「やめよっかな、小説家」なんてことを言うかもと思って心配していたがそんな様子は微塵もない。
「スランプみたいだな。大丈夫なのか」と、一応声をかけてみたが……
「スランプ? そんなのは新人には無いものだよ。まだ未熟なだけ。それにこの程度のことでやめるわけにはいかないよ。ファンがいるからね。私の書いたもののファンが。そもそもここまで書けるのは間違いなく才能なんだからやめたりしない。急いで書いたっていいもの生まれないよ。今はお休みでいいの!」と言う。強い妹だ、格好いいよ、美咲。
困ったのは、最近品川愛が休みの日によくあやの食堂に顔を出すようになったことだ。
「何で来るんだ、近くないだろ」と言うと
「何でってー? 美味しいからに決まってるじゃあないですか。あと先輩の顔が見たいからってのも当然あります!」
「ケッ、俺はあんま見たくねーんだよ」
「なーんてこと言うんですかぁ! 私がこんなに先輩を慕っているのに?」
「おまえとはもう先輩後輩でも上司部下でもない。先輩呼びもしなくていい」
「じゃあ『ハ ル ト ♡』って呼びましょうか」
「やめてくれ。……先輩でいい」
(なにあの女ー。くっそカワイイんだけど。あれがハルトの部下で上司だっていう品川さん? 女の子じゃん、聞いてないんだけど)
(あーやだやだ、私らの旦那はモテ過ぎてイヤになるわね。3人目とかさすがにダメよ)
「リーチぃ!」
奥の麻雀卓では財前カオリが後輩プロの望月コトノと一緒にアマチュア相手に実戦形式の勉強会を行っていた。
元気いっぱいなリーチ発声はアマチュアではなく望月プロによるものだった。望月プロは絶好調みたいですごく楽しそうにしている。勉強会ってこういうモンなの?
「先輩はぁ、男のプライドとかあったのかもだけど私が昇給早いのは実は社長の孫だからなんです。ナイショなんだけど。だから先輩の能力不足とかじゃなかったんですよ」
「えっ?」
「でも、今は幸せそうだし。結果これで良かったかもしれませんね。私も美味しいお店を知れて良かったし」
聞いてないよそんなこと。辞める前にひとこと教えておいて欲しかった。
でもまあ、結果これでよかったは本当にそうかもしれない。
「また次の休みも来ますので。先輩出勤してて下さいね。次は木曜日です」
「木曜日は定休日だ。残念だったな」
「えっ、じゃあその日はデートしましょうよ。たまにはいいでしょう?」
「「ダメーーーーー!! 絶対にダメーー!!」」
影に引っ込んでた2人がついに口を出してきた。
「わわわ、なにごとですか? 誰? どなた様?」
「……妻だ」
「どっちがです?」
「どっちも……」
「へ? 2人いるってこと?」
「まあ……そう」
「……………………………………?」
品川愛は少しフリーズしていたがふと思い付いたように口を開いた。
「あ、なら3人目は私って事で♡」
「「だからダメだって!!」」
すると奥で麻雀をしていた望月コトノや財前カオリまでもが
「じゃ、それなら4人目はアタシー。カオリ先輩はどうします?」
「私は5人目でいいわ」
なぜそうなる。
――全く、騒がしい毎日だ。いつも俺の食卓は騒がしい。
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出会い編まで読みましたよ!
本作は食事処×雀牌ということで、
麻雀をより楽しむためのアミューズメントに訴えかける作品でもあると感じる走り出しですね!
お腹が空くタイミングで読むにも、
打って付けな着眼点で良いです!!
麻雀初心者、麻雀無知の人でも読める作品として感想は閉じさせていただきます。
いななきくん
いつも応援ありがとうございます!!
そう、この物語は麻雀を知らない人でも最後まで楽しく読めるように心がけて書きました。
読んでくれて本当にありがとう!!
応援します!
むらたさん♡
応援ありがとうございます!!
おかげさまで20位台という好成績でフィニッシュすることができました!