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明日天気になあれ
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「あ~した、天気にな~あれっ!」
ハルちゃんの元気な声と共に、ぽーん、と高く下駄が飛んだのが見えた。
ハルちゃんの下駄は、ひっくり返って砂利道に落ちたけど、明日はきっと晴れだ。西の空の夕焼けが、あんなに赤い。
「あ~した、天気にな~あれっ!」
ハルちゃんは、何度も何度も下駄を飛ばす。そのたびに、下駄はひっくりかえって落ちる。あの下駄は、きっと表にならないようにできているんじゃないかな?
「ハルちゃん、もうやめたら?何度やっても裏にしかならないじゃない。でも、夕焼けだから、明日はきっと晴れるよ」
見かねてハルちゃんに言ってみる。
「知ってるよ。下駄が裏でも表でも、きっと関係ないの。夕焼けだから、明日はきっと晴れ。でもね、何度も何度もやって、下駄の表が出て、明日晴れたら、私が頑張って晴れにしてやったんだぞ!って気にならない?私には、すごい力があるんだぞってならない?」
ハルちゃんは、顔を上気させて力説してくる。
「それに、もしかしたら、本当に私の力で晴れになるのかもよ?そうじゃないって証拠だってないでしょ?」
そっか、そういうこともあるんだ。世の中のいろいろが、自分とどんな関係があるのかわからない。自分の力なんか、全然関係ないんだって、つい思っちゃう。でも、そう思っているだけで、本当は違うのかもしれない。
世の中で良いことがあったら、それはもしかしたら、私の力なのかもしれない。そうじゃないって証拠だってないんだから。
「ハルちゃん」
「なに?」
「私も一緒にやっていい?」
「うん!」
「それじゃ、せーの!」
「「あ~した、天気にな~あれっ!」」
ハルちゃんの下駄と私のサンダルが、勢いよく夕焼け空に飛んだ。
明日はきっと晴れるだろう。上を向いた、私の心と共に。
ハルちゃんの元気な声と共に、ぽーん、と高く下駄が飛んだのが見えた。
ハルちゃんの下駄は、ひっくり返って砂利道に落ちたけど、明日はきっと晴れだ。西の空の夕焼けが、あんなに赤い。
「あ~した、天気にな~あれっ!」
ハルちゃんは、何度も何度も下駄を飛ばす。そのたびに、下駄はひっくりかえって落ちる。あの下駄は、きっと表にならないようにできているんじゃないかな?
「ハルちゃん、もうやめたら?何度やっても裏にしかならないじゃない。でも、夕焼けだから、明日はきっと晴れるよ」
見かねてハルちゃんに言ってみる。
「知ってるよ。下駄が裏でも表でも、きっと関係ないの。夕焼けだから、明日はきっと晴れ。でもね、何度も何度もやって、下駄の表が出て、明日晴れたら、私が頑張って晴れにしてやったんだぞ!って気にならない?私には、すごい力があるんだぞってならない?」
ハルちゃんは、顔を上気させて力説してくる。
「それに、もしかしたら、本当に私の力で晴れになるのかもよ?そうじゃないって証拠だってないでしょ?」
そっか、そういうこともあるんだ。世の中のいろいろが、自分とどんな関係があるのかわからない。自分の力なんか、全然関係ないんだって、つい思っちゃう。でも、そう思っているだけで、本当は違うのかもしれない。
世の中で良いことがあったら、それはもしかしたら、私の力なのかもしれない。そうじゃないって証拠だってないんだから。
「ハルちゃん」
「なに?」
「私も一緒にやっていい?」
「うん!」
「それじゃ、せーの!」
「「あ~した、天気にな~あれっ!」」
ハルちゃんの下駄と私のサンダルが、勢いよく夕焼け空に飛んだ。
明日はきっと晴れるだろう。上を向いた、私の心と共に。
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