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あつい視線
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放課後の昇降口。
薄暗い廊下に足音が響いた。
「一年? どこ行くんだよ」
「ちょっと遊んでこうぜ」
背後から伸びてきた手が、結人の肩を掴んだ。
振り返ると、上級生が三人。にやりと笑って近づいてくる。
「その書類? ちょっと見せろよ」
「怖がんなって。少し話すだけだから」
心臓が喉を叩く。
逃げたいのに、足が動かなかった。
その時。
「……その手を、どけろ」
低い声が、空気を裂いた。
視線を上げると、そこに立っていたのは──神谷徹。
長身で整った顔立ち、鋭い目。
その存在だけで、空気が一変した。
上級生たちは一瞬怯み、「いや、なんでもねえ」と退散していった。
取り残されたのは二人だけ。
「……ケガ、ないか」
徹は結人の目を見て、静かに言った。
言葉にならず、結人は首を横に振る。
「……よかった」
安堵の色をわずかに滲ませて、徹は背を向ける。
──その瞬間。
結人の胸に、熱が広がった。
……そうだ。あの時も。
昼休み、教室の隅でパンをかじっていた時。
ふと顔を上げると、二階の廊下に徹の姿があった。
真っ直ぐに結人を見ていた。
目が合った瞬間、息が詰まり、動けなくなった。
ただ「見られている」だけなのに、肌を這うような熱さ。
その時の視線と、今の声が重なる。
(……この人は、最初から僕を知っていた?)
胸の奥で、心臓が大きく鳴った。
薄暗い廊下に足音が響いた。
「一年? どこ行くんだよ」
「ちょっと遊んでこうぜ」
背後から伸びてきた手が、結人の肩を掴んだ。
振り返ると、上級生が三人。にやりと笑って近づいてくる。
「その書類? ちょっと見せろよ」
「怖がんなって。少し話すだけだから」
心臓が喉を叩く。
逃げたいのに、足が動かなかった。
その時。
「……その手を、どけろ」
低い声が、空気を裂いた。
視線を上げると、そこに立っていたのは──神谷徹。
長身で整った顔立ち、鋭い目。
その存在だけで、空気が一変した。
上級生たちは一瞬怯み、「いや、なんでもねえ」と退散していった。
取り残されたのは二人だけ。
「……ケガ、ないか」
徹は結人の目を見て、静かに言った。
言葉にならず、結人は首を横に振る。
「……よかった」
安堵の色をわずかに滲ませて、徹は背を向ける。
──その瞬間。
結人の胸に、熱が広がった。
……そうだ。あの時も。
昼休み、教室の隅でパンをかじっていた時。
ふと顔を上げると、二階の廊下に徹の姿があった。
真っ直ぐに結人を見ていた。
目が合った瞬間、息が詰まり、動けなくなった。
ただ「見られている」だけなのに、肌を這うような熱さ。
その時の視線と、今の声が重なる。
(……この人は、最初から僕を知っていた?)
胸の奥で、心臓が大きく鳴った。
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