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逃避
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雨上がりの路地を、結人は走っていた。
徹がシャワーを浴びている隙に部屋を出た。
夜の街はしっとりと濡れて、冷たい風が頬をなでる。
心臓がうるさい。
背後を振り返るたび、あの腕が、声が、追ってくるような気がして、
足が止められなかった。
(行かなきゃ、行かなきゃ……)
スマホの画面には、はるとの名前。
タクシーに飛び乗り、目的地を告げる。
誰にも見られたくなかった。
徹にも、自分自身にも。
ドアを開けた瞬間、はるとがいた。
Tシャツにスウェットのまま、髪が少し濡れている。
「……結人」
その声だけで、胸が詰まる。
「来てくれて、よかった」
言葉より先に、腕が伸びてくる。
抱きしめられた身体が、震えていたのは、冷えていたからだけじゃない。
「……何があったのか、、、
電話も出ないし、ラインも既読にならないし」
聞かれたくないのに、聞いてほしかった。
結人は黙って首を振る。
けれど、はるとはそれ以上は問わず、タオルを取ってきてくれた。
「シャワー、使え。あったかくして」
結人は素直に頷いた。
湯気の立つバスルームの中で、指先がかすかに震える。
徹の腕の中にいた時間が、じわじわと肌から剥がれていくようだった。
バスローブを羽織って部屋に戻ると、照明が少しだけ落とされていた。
はるとはソファに座ったまま、カップに何かを注いでいる。
「ホットミルク。少しは落ち着け」
「……ありがと」
目を合わせたくなくて、でも逸らすのも怖くて、結人はカップを受け取った。
けれど
「……好きだよ、結人」
唐突に落ちたその言葉に、手が止まる。
「ずっと、あの夜から……君のこと、考えてた」
唇が触れるのは、一瞬だった。
けれど、離れることなく、もう一度、深く。
はるとの手が、頬をなでて、首筋へ、肩へ。
「……嫌だったら止めるから」
その一言が、結人の糸をほどいた。
ベッドの上で、肌に肌が触れる。
息が交わるたび、どこかに閉じ込めていた感情がほどけていく。
「苦しかったんだろ?」
「……うん」
はるとの指が、丁寧に、優しく、結人の輪郭をなぞっていく。
徹の冷たい支配とは違う、あたたかな手。
胸の奥に沈んでいた何かが、やっと浮かび上がるような夜だった。
夜の帳の中で、結人ははるとの腕に抱かれていた。
その体温に、心がほどけていくのを感じながら。
携帯は鳴り続ける。
遠くから冷たい視線がこちらを見ている気がした。
徹がシャワーを浴びている隙に部屋を出た。
夜の街はしっとりと濡れて、冷たい風が頬をなでる。
心臓がうるさい。
背後を振り返るたび、あの腕が、声が、追ってくるような気がして、
足が止められなかった。
(行かなきゃ、行かなきゃ……)
スマホの画面には、はるとの名前。
タクシーに飛び乗り、目的地を告げる。
誰にも見られたくなかった。
徹にも、自分自身にも。
ドアを開けた瞬間、はるとがいた。
Tシャツにスウェットのまま、髪が少し濡れている。
「……結人」
その声だけで、胸が詰まる。
「来てくれて、よかった」
言葉より先に、腕が伸びてくる。
抱きしめられた身体が、震えていたのは、冷えていたからだけじゃない。
「……何があったのか、、、
電話も出ないし、ラインも既読にならないし」
聞かれたくないのに、聞いてほしかった。
結人は黙って首を振る。
けれど、はるとはそれ以上は問わず、タオルを取ってきてくれた。
「シャワー、使え。あったかくして」
結人は素直に頷いた。
湯気の立つバスルームの中で、指先がかすかに震える。
徹の腕の中にいた時間が、じわじわと肌から剥がれていくようだった。
バスローブを羽織って部屋に戻ると、照明が少しだけ落とされていた。
はるとはソファに座ったまま、カップに何かを注いでいる。
「ホットミルク。少しは落ち着け」
「……ありがと」
目を合わせたくなくて、でも逸らすのも怖くて、結人はカップを受け取った。
けれど
「……好きだよ、結人」
唐突に落ちたその言葉に、手が止まる。
「ずっと、あの夜から……君のこと、考えてた」
唇が触れるのは、一瞬だった。
けれど、離れることなく、もう一度、深く。
はるとの手が、頬をなでて、首筋へ、肩へ。
「……嫌だったら止めるから」
その一言が、結人の糸をほどいた。
ベッドの上で、肌に肌が触れる。
息が交わるたび、どこかに閉じ込めていた感情がほどけていく。
「苦しかったんだろ?」
「……うん」
はるとの指が、丁寧に、優しく、結人の輪郭をなぞっていく。
徹の冷たい支配とは違う、あたたかな手。
胸の奥に沈んでいた何かが、やっと浮かび上がるような夜だった。
夜の帳の中で、結人ははるとの腕に抱かれていた。
その体温に、心がほどけていくのを感じながら。
携帯は鳴り続ける。
遠くから冷たい視線がこちらを見ている気がした。
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