あの視線の主人【高校〜のストーリー】

kouji

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同棲

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 結人が会社から帰ると、徹の部屋の灯りがすでについていた。
 大学時代から何度も出入りしていたこの部屋。
 けれど、今日だけは、何かが決定的に違っていた。

 リビングの壁際には、結人の本が整然と並べられた棚ができていて、
 クローゼットの一部には、結人の着替えがすでにハンガーにかかっていた。

「……これ、いつ……?」

「昼休みに休診時間があったから、運んだ。君の家から」

「引っ越しを提案したのは僕だよ? 君は『考える』って言った。
 でも、考える時間が長くなるほど、不安になるんだ。だから……準備だけでも先にしておいた」

 徹の声は優しくて、どこか拗ねたようだった。

 結人は反論しかけて、言葉を飲み込んだ。
 そこまでしてくれたのに、自分はまだ迷っている、そう思うと、申し訳なさすら湧いてきた。

 「でも……僕、まだ心の整理が……」

「整理なんてしなくていい。ここにいればいい。……今夜も、明日も、その次も。
 結人がここにいれば、僕はそれだけでいい」

 そう言って、徹は結人の手を取った。

「ここにいて。……俺だけの結人でいてよ」

 ああ、まただ‥
 優しいのに、逃げられない。
 抱きしめられた腕の強さに、胸が苦しくなる。

 「……わかりました。今日から、ここに住みます」

 そう答えると、徹は微笑んだ。
 心から安心したように、柔らかく結人を引き寄せる。

「ありがとう。大丈夫、絶対に後悔させないから」

 でも、心のどこかで。
 “ここから出られなくなっていく”予感を、結人は確かに感じていた。
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