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ニュースにて
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キスは、優しさから始まった。
けれどその触れ方は、だんだんと熱を帯びていく。
ベッドの中。
薄い布団が肌のあいだをすり抜けていくように落ちて、
結人の裸の背中に、はるとの手が滑る。
「……はると、せんぱい……っ」
囁く声に、はるとの指先が脇腹をなぞる。
指がすべり、腰へ、脚へとゆっくり辿っていく。
唇は首筋から鎖骨を吸い上げ、胸元にそっと歯を立てる。
「きれいだよ、……どこも全部、結人だってわかる」
その言葉がくすぐったくて、恥ずかしくて、でも嬉しかった。
身体は熱くなりながらも、どこか穏やかだった。
この腕に抱かれている安心感が、結人のすべてをやわらかく解きほぐしてくれる。
繋がる瞬間の、ためらいのない動き。
それは乱暴ではなく、でも明らかに欲のこもった愛撫だった。
「あ……っ、やだ……気持ちいい、……っ」
吐息の隙間に名前を呼ばれ、また深く結ばれる。
はるとの腰の動きに、結人は指を絡め、身を委ねていく。
このままずっと、ここにいたいと思った。
過去の記憶なんて、何も要らない、、、そう、思っていた。
……けれど。
事は済んだあと。
ふたりは、身体を拭き合い、部屋の隅にあるテレビをなんとなくつけた。
音量は小さく、ニュースキャスターの声が静かに流れる。
――「本日未明、都内の交差点で起きた交通事故で、男性医師が意識不明の重体に……」
画面に映ったのは、モザイク処理された病院前の映像。
画面下には、はっきりと名前が出ていた。
『神谷 徹さん(26)』
その文字を見た瞬間、結人の手が震えた。
心臓が一瞬、止まったように思えた。
「……え……?」
呼吸が浅くなる。
テレビの音が遠くなる。
隣にいるはずのはるとの声も、届かない。
――徹先輩が、事故に遭った?
あの徹先輩が。
あんなにもすべてを計算して動いていた彼が……。
頭の中で、何かが崩れる音がした。
はるとが心配そうに、結人の肩に手を置く。
「……大丈夫?」
けれど、返事はできなかった。
画面の中で、ストレッチャーが運ばれる様子が映っていた。
“意識不明の重体”
――それは、二度と会えないかもしれないという意味だった。
けれどその触れ方は、だんだんと熱を帯びていく。
ベッドの中。
薄い布団が肌のあいだをすり抜けていくように落ちて、
結人の裸の背中に、はるとの手が滑る。
「……はると、せんぱい……っ」
囁く声に、はるとの指先が脇腹をなぞる。
指がすべり、腰へ、脚へとゆっくり辿っていく。
唇は首筋から鎖骨を吸い上げ、胸元にそっと歯を立てる。
「きれいだよ、……どこも全部、結人だってわかる」
その言葉がくすぐったくて、恥ずかしくて、でも嬉しかった。
身体は熱くなりながらも、どこか穏やかだった。
この腕に抱かれている安心感が、結人のすべてをやわらかく解きほぐしてくれる。
繋がる瞬間の、ためらいのない動き。
それは乱暴ではなく、でも明らかに欲のこもった愛撫だった。
「あ……っ、やだ……気持ちいい、……っ」
吐息の隙間に名前を呼ばれ、また深く結ばれる。
はるとの腰の動きに、結人は指を絡め、身を委ねていく。
このままずっと、ここにいたいと思った。
過去の記憶なんて、何も要らない、、、そう、思っていた。
……けれど。
事は済んだあと。
ふたりは、身体を拭き合い、部屋の隅にあるテレビをなんとなくつけた。
音量は小さく、ニュースキャスターの声が静かに流れる。
――「本日未明、都内の交差点で起きた交通事故で、男性医師が意識不明の重体に……」
画面に映ったのは、モザイク処理された病院前の映像。
画面下には、はっきりと名前が出ていた。
『神谷 徹さん(26)』
その文字を見た瞬間、結人の手が震えた。
心臓が一瞬、止まったように思えた。
「……え……?」
呼吸が浅くなる。
テレビの音が遠くなる。
隣にいるはずのはるとの声も、届かない。
――徹先輩が、事故に遭った?
あの徹先輩が。
あんなにもすべてを計算して動いていた彼が……。
頭の中で、何かが崩れる音がした。
はるとが心配そうに、結人の肩に手を置く。
「……大丈夫?」
けれど、返事はできなかった。
画面の中で、ストレッチャーが運ばれる様子が映っていた。
“意識不明の重体”
――それは、二度と会えないかもしれないという意味だった。
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