あの視線の主人【高校〜のストーリー】

kouji

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目覚める 徹視線

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 音のない暗闇から、少しずつ現実の輪郭が立ち上がってくる。

 機械音。消毒液。呼吸の音。そして……誰かの気配。

 俺は、まだまぶたを上げない。
 だが、すべてを把握している。

 ベッドのそば。
 この空気を震わせているのは、結人。
 俺が、手を離したくない唯一の大切な存在。

 「……せんぱい……お願い、もう目を開けて……っ」

 涙を含んだ声。
 懐かしい。ずっと、聞きたかった。

 (ようやく、ここまで来たか)

 結人がいなくなってから、
 居場所を探すのに、ろくに寝ていない、
 どうしたら結人がまた俺のそばに戻ってくるか、
 それだけをずっと考えていた。

 死んでも良かった。
 どうしても彼を自分の側に呼び戻したかった。

 ただそれだけのために、車に飛び込んだ。

 はると。
 ただ優しいだけの男。

 でも、甘いだけの優しさでは、結人の心は掴めない。
 結人は優しくされればすぐに好きになる簡単なやつだ。
 でも本当は
 迷ったときに、手を取って導いてくれる誰かを求めてる。

 そして、その役をできるのは俺だけだ。

 結人の手が、俺の腕に触れたとき

 ……ああ、これは演技じゃ、もう抑えきれない。

 この手の温度を感じた瞬間、心がざわめいた。
 けれど、まだ目は開けない。
 もう少し、もう少しだけ、結人の声を聞いていたかった。

 「……死なないで……お願い、俺、まだ……っ」

 “まだ”、、、、その先の言葉を、聞かなくてもわかる。

 ゆっくりと、目を開ける

 重たげに、でも確かな意思でまぶたを持ち上げる。
 光が差し込み、ぼやけた視界の先に、泣きはらした結人の顔があった。

 「……結人……?」

 かすれた声で呼ぶ。わざと、弱々しく。
 その瞬間、結人の顔が崩れた。

 「せんぱい……っ、目……覚めた……っ!」

 泣きながら俺に縋りつくその身体を、点滴につながれた手でそっと撫でる。

 ようやく、戻ってきた。

 俺のいない場所で、他の誰かに抱きしめられているおまえを、
 想像するのが耐えられなかった。

 だから、俺は仕掛けた。
 死んでもいい。
 全部失ってもいいと思った。結人さえ戻ってくるなら。


 「……怖かった?」

 俺が問いかけると、結人はこくんと頷いた。

 「ごめんなさい、、、」

 その言葉を聞いた瞬間、確信した。

 もう、離さない。

 今度こそ、おまえのすべてを、俺だけのものにする。
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