バックパックガールズ ~孤独なオタク少女は学園一の美少女たちの心を癒し、登山部で甘々な百合ハーレムの姫となる~

宮城こはく

文字の大きさ
77 / 133
第四章「陽を見あげる向日葵のように」

第二十話「一つ屋根の下で」

しおりを挟む
 大騒ぎのシャワーを終え、私はなんだかドキドキしっぱなしだった。
 こういう時は早く寝て、気持ちをリセットするに限る。
 テントに戻ると、さっそく寝袋を取り出した。

 時計を見ると夜の九時だ。
 陽彩さんと先生は今頃、宿直室で寝ている頃だろう。
 明日の朝はなるべく目立たない時間にテントを片付けたいので、少し早い時間だけど私たちも寝ることにした。

 テントの外から聞こえる風の音はさっきよりも強まっている。
 明日の朝はテントを片付けるけど、雨にならなければいいなと願うしかなかった。

「えへへ。お隣ですね」
「うん。手をつなご」

 私は千景さんの隣に寝そべると、千景さんが手を差し伸べてくれる。
 そのきれいな指に触れようとした時、「とりゃっ」という掛け声と共に私の上に美嶺がのしかかってきて、千景さんとの間に割り込んできた。
 私はその拍子にテントの奥のほうにはじき出されてしまう。

 美嶺がこんなことをした理由はわかってる。
 千景さんと私がイチャイチャしてるとジェラシーの炎が燃え上がってしまうらしいのだ。

「もぉ~美嶺! 急に挟まって来ちゃ、ケガするでしょ!」
「す、すまん。……つい」

 美嶺もやりすぎたと思ったのか、ちょっと弱腰だ。

「……あの、やっぱり伊吹さんがましろの隣に行ってください」
「美嶺さん、そこがいいのでは?」
「いや……。アタシが邪魔しちゃったんで。どうぞ」
「今のままで、いい。美嶺さんも好きだから」

 そして千景さんはにこっと笑った。
 美嶺は顔を真っ赤にして動揺し始める。
 その二人の様子はなんだか微笑ましかった。

(わかる。わかるよ、美嶺。千景さんの瞳は魔性なんだよ……)

 私はウンウンと無言でうなづく。


 すると、テントの一番奥、私の隣にほたか先輩がやって来た。

「ましろちゃんのお隣で寝ていっかな」
「いいですけど……。いつも入り口側で寝られているのに、珍しいですね」
「あの……えっと……。風の音が怖くって。一番奥がいいなぁって……」

 そう言いながらも、ほたか先輩はモジモジした様子で私を見つめている。
 その時、私はふとこのテントの中の状況がおかしいことに気が付いた。

(あれ……? なんだろうこれ。なんか、私の横で誰が寝るかみたいなことになってる?)

 三人が私の隣を取り合っているように思えてくる。
 まるで私がハーレムの中心にいるようだった。
 そんなはずは絶対にないので、必死に変な妄想を頭から追い払う。

(気のせいだよね。うん。気のせい)

 心を静め、改めてほたか先輩のほうを見つめた。


 すると、寝袋の穴から見覚えのあるぬいぐるみの頭が見えているではないか。
 私は驚きの声を出しそうになり、慌てて口を閉じた。
 そしてほたか先輩の近くに忍び寄って、先輩だけに聞こえるように囁いた。

「なんでぬいぐるみを抱きしめてるんですか?」
「……実はいつも、夜が怖かったの。だから、お守り」
「……なんで私なんですか?」
「それは……」

 ほたか先輩は困ったような表情になり、言葉に詰まる。
 そして、無言で口だけを動かした。
 先輩が示した口の動きは三つ。

 私には「ひ・み・つ」と言っているように見えた。


「みんな、おやすみなさ~い」

 ほたか先輩はわざとらしい大きめの声で呼びかけると、ランタンの光を消す。
 そして訪れる暗闇。
 私はほたか先輩の呼吸を聞きながら、なかなか寝つけなくなってしまった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~

楠富 つかさ
恋愛
 中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。  佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。  「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」  放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。  ――けれど、佑奈は思う。 「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」  特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。  放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。 4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

モヒート・モスキート・モヒート

片喰 一歌
恋愛
主人公・翠には気になるヒトがいた。行きつけのバーでたまに見かけるふくよかで妖艶な美女だ。 毎回別の男性と同伴している彼女だったが、その日はなぜか女性である翠に話しかけてきた。 紅と名乗った彼女は男性より女性が好きらしく、独り寝が嫌いだと言い、翠にワンナイトの誘いをかける。 根負けした翠は紅の誘いに応じたが、暑い盛りと自宅のエアコンの故障が重なってしまっていた事もあり、翠はそれ以降も紅の家に頻繁に涼みに行くようになる。 しかし、妙な事に翠は紅の家にいるときにだけ耐え難い睡魔に襲われる。 おまけに、ほとんど気絶と言って言い眠りから目覚めると、首筋には身に覚えのないキスマークのような傷が付いている。 犯人候補は一人しかいない。 問い詰められた紅はあっさり容疑を認めるが、その行動の背景には翠も予想だにしなかった事情があって……!? 途中まで恋と同時に謎が展開しますが、メインはあくまで恋愛です。

処理中です...