ツキも実力も無い僕は、その日何かを引いたらしい。- 人類を救うのは、学園最強の清掃員 -

久遠 れんり

文字の大きさ
1 / 97
第一章 神の世界創造と都合

第1話 女神の管理宇宙と、ある偶然

しおりを挟む
「あー。つまんない。強い者が弱い者を捕食して増えるだけ。魂の数だけ増えても仕方が無いのよ…… 質。そうよ質。高位の魂になるまで、どのくらいの時を待てばいいのかしら??」

 文句を言いながら、また、少し遺伝子をいじり始める。

 そう、ぼやいている彼女。
 彼女は女神。
 
 それも女神に成り立ての新神。
 世界を創るのも、管理をするのも初めて。
 自分が創った世界に『プリモス=ムンダスデオリューム』と名付けていじり回っている。

「性を二つに分けたら、ずっと繋がりっぱなし…… 意味ないじゃない。あー滅んだ。多様性を持たせないとすぐ死んじゃうし、そう思って強くすれば、他の生き物をすべて食べ尽くす。もう……」

 この数十億年、ぼやきっぱなしである。

 なれない者は、一足飛びに結果を求め。すぐに手を加えてしまい、それがさらに悪い方に……

 新人女神マジッカ=ヘタ=ケイケニャン=シヴは手引き書『原生生物にも理解できる宇宙構築論』を眺める。

 最初に、宇宙を創るフォーマットには基本がある。
 物質に、過剰な力を与えると燃えてしまい、それは他のものにまで影響を与える。
 また、電子すら運動できない低温では、物質は変化をしない。
 そのバランスが、重要だ。

 そして、それ以外の機能を付加すると、神はずっと神気を供給せねばならない。
 それは、複数の宇宙を管理するには弊害となるだろう。
 その点は、古代神オーディン様の創る世界を参考にすればよい。

 構築する世界の中心に、必要なものを与えて一気に反応させて光を起こし、放って置くのが効率的だ。

 だが、この方法は宇宙創造として効率的でも、魂の進化においては限界があることが判っている。

 そこからが、管理者の力の見せ所。
 だが、あまり、目を掛けすぎ。上手うまく行かないからと、ホルンを鳴らして、ラグナロクを起こすのは愚の骨頂だ。また一からとなる。
 そう、この本を読んでいる新神のための言葉だ。

「はあっ。どうすればいいのよ」
 そう言って彼女は、空間に穴を開けて、色々な世界。
 つまり、他の神が管理をする世界を、のぞき見る。

 物理だけの所もあれば、魔素を創り魔法の使える世界。
 神気を世界の上に固定するダンジョンシステムにより、循環供給をして、神気の供給回数を減らす工夫がされている。

 体の小さい弱き者が生き残るために、魔法という特別な力を生物に与える。

「これは良いわね。いただくわ」

 他にも、スキルシステムと言うものを創り、初心者でも道具の運用や魔法を効率的に行える能力。
「これも良いけど、ああそうね。上限を設けないと使用者の体が持たないのね…… だけど、使えるわ」

 禁忌だというのに、他の世界との間に穴を開けて、覗き回る彼女。

 色々な世界の、良いところだけを取り込み、自分の世界に神気をぶち込む。
「疲れたわ。寝よ……」

 そうして彼女は、せっかく出来た世界を、混ぜっ返すだけ混ぜっ返して眠りにつく。

 その結果出来上がった、混沌とした世界でも、生物は生まれて輪廻を繰り返し、進化をする。

 数十億年後。

 そんな世界でも、人類は生まれ、ある程度落ち着いた人々の暮らし。
 社会生活を行い、魔物などの脅威と戦う。

 与えられたスキルシステムを使いこなし、修行の場と化したダンジョンも上手く利用をしているようだ。


 だがダンジョンと魔素の副産物として、この世界に発生した、人の営みをジャマする脅威。
 魔素の影響で変化をした動物は、モンスターとなる。
 それは、魔素の供給源であるダンジョン近くで発生をして、周囲へ広がっていく。

 そんな脅威だが、それに対抗するために、彼女が与えた力。
 武器や魔法、それを扱うシステムはスキルと呼ばれる。
 スキルの発現者は、およそ五パーセント。

 七歳を目処に人々はテストを行い、スキルを有する者は国を管理する者として、重用される。
 そして、もう一度が十二歳。
 それで拾われなければ、能力無しとして平民のまま。

 能力無しも、むろん魔法も剣も使えるし、たゆまぬ研鑽をすれば、その能力はスキル持ちを凌駕する。
 それを、先人は歴史の中で知るが、何時しかその事実は封印される。
 そう、スキル持ちが国を管理する上で不都合な事実。

 スキルには、上限がある。
 だが早熟さと、便利さ。
 その効率的運用を貴族が各流派として体系化していく。

 特に、歴史の中で、モンスター対人の世界では、非常に有効だったスキルだが、国が乱立し、人対人となったときには、スキル使用の隙を攻撃される。
 スキルは発動すると、自動的に体が動いてしまう。
 そしてその動きは画一的であり、熟練者は発動した瞬間に、その動きが、これからどういう軌跡をたどるのか理解されてしまう。
 
 弱点だらけの技。
 そのため、重要なのが流派。
 弱点を埋め、効率的運用を発見し、子孫や弟子に伝える。

 歴史の流れで、それは極められていく。

 七歳になると国民が受ける、『判定の儀』。
 そこでスキルがあると判断がされると、貴族が養子として取り込み学園へと通わせる。

 騎士コースと、魔法使いコース。
 エリートと言われる、魔法剣士コース。

 共通科目として、法律と礼儀作法。戦術と算学。
 貴族としての教育を受ける。

 大体この大陸にある、どの国でも行われる事は同じ。
 ああ一つ、ダンジョンを管理し、商売のみで国を経営するフィリップ商国のみ少し違う。

 そう、惑星フロンティに存在する、大陸ローレンス。
 その大陸は、現在七つの国が統治している。

 その中で、ダンジョンが存在する北の半島を持つコンラート王国は、教育においても、戦力においても別格となっていた。

 そこに存在するドラゴンダンジョンである日、ちょっとした異変が発生した。

「うん? これは、違う世界か?」
 空間に穴が開き、骸骨が覗き込む。
 その目は赤く光り、こちら側で倒れ込み、死にそうな少年を見つめる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...