勝手にダンジョンを創られ魔法のある生活が始まりました

久遠 れんり

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第3章 本格的侵攻開始   か?

第24話 神地さんの憂鬱

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 神崎家から、家へ帰って来た玲己は、部屋に入りため息をつく。

 新しい事務所兼、住宅も探さないといけないし、大学へ行けば、ダンジョン駆除部隊Aの連中に会う事にもなる。
 抜けたことに対しての、文句は言われる事は無いと思うが、気は乗らない。

「あ~、部屋の掃除もしなきゃ」
 部屋を空けていたのは、一週間程度。
 だが、やはり埃っぽい。
 時間が時間なので、もう掃除機をかける時間でもない。
 窓を開けて風を通し、少しぱたぱたと布団をはたく。

「明日は、う~んと、2限からでいいわね。朝に掃除をしよ。買い物もしなきゃね」
 そう、呟きながら、すこし埃臭いベッドへ飛び込んだ。

 翌朝。
 最近続けた怠惰な生活のせいで、朝7時の目覚ましによる強制的な目覚めがつらい。
 のろのろと起きだして、無自覚に冷蔵庫を開ける。
「ああ、そうだった、冷蔵庫に何もない」
 げんなりしながら、さっさと着替えて、大学の講義に使う資料を鞄に放り込む。

 途中にある、駅前のコーヒースタンドで、ラテとサンドイッチを注文して購入。
 窓側の席にポスっと座ると、おもむろにサンドイッチを頬張り道行く人を眺める。

「玲己先輩?」
 声をかけられ、後ろを振り返る。
 あの時一緒に蜘蛛に捕まっていた、あきが立っていた。
「ずっと、見ていなかったですね。どこかへ行っていたんですか?」

 あちゃー、思っていたそばから、メンバーに会うとは……。

「あーまあ、あれからすぐに一司…… 神崎さんの所へ行って入社したの」
 その瞬間。あきの目が、生あったかい視線になり、
「へー、追いかけたんですねぇ」
 と口元に、笑いを浮かべている。

「なに?」
「いいえ。別にぃ」
 へらへらしているあきに、ちょっとむかつく。

 その後、あきもドリップコーヒーとホットドックを2本買ってきて、がっつり食べる姿を眺めて、一緒に大学へと移動した。

 大学に到着後。
 当然受ける講義が違うため別れると、自分の教室へと移動する。
「あれ~。今日は、大Aか……」
 そう言うとがっくりと力を落とし、元来た道を帰る。

「さっき通り抜けたのに…… 何で、先に確認しないかな」
 そんなことを、ブツブツ言いながら歩いて行く。

 講義棟という建物があり、大抵の授業はそちらで行われるが、録画やリモート授業などでは、こちらの別棟の教室が使われる。
 たまたま今日は、その日だった。

 ちなみに、あきは大Bと言っていたので、上の教室。
 つまりさっき分かれた所の、1階と2階で受けることになる。

 教室に入り、適当な席へ着くと、おもむろに玲己は机に突っ伏した。

 頭の中では、だるーいと言う言葉が、リフレインされる。

 これは、今日受ける授業内容にも関係する。
 今日の授業は、銀行取引法。
 経済にはこの手の法律関係は必須だが、玲己にとって苦手な部類の授業だ。

 ちなみに、3限目は刑事訴訟法。
 これは、必修ではないが、おもしろそうだと取ってしまった。
 完全に自業自得だ。

 そうしていると、ぞろぞろと人が増え始る。

 気が付けば、玲己の周りにメンバーが陣取り始める。
 そして開口一番、
「お前。あれから、何処に居たんだ」
 の言葉。

 仕方がないので説明すると、全員が、によによと薄笑いを浮かべる。

 退屈な授業が終了して、習慣になっている大学内のラウンジに集まる。

 軽く食事をしながら、話をしていると、ふと見上げたテレビに、妙な光景が映る。

 司会者が、一生懸命仕事をしてもコメンテーターが喋らない変な番組。
 その後。皆が何かを探している様子を、見せ始めた所で、ちらっと映るフェンとフレイヤを抱えた一司……。

「何をやっているの、あの人は……」
 思わず、声が出てしまい。仲間がそれに反応する。
「どうしたの?」
 瀬尾さんが、声をかけてきた。
 この子も、メンバー。

「いや、テレビがね」
「さっきからやっている、訳が分からない感じのやつ?」

 場面は進み、色々な物が凍り付き、誰も彼もがスタジオから逃げている。
 そんな、場面が流れている。
 みんなが、その番組を見て、口々に感想を言い始める。
「あれ、本当かなぁ~」
「やらせじゃないのか?」
「真冬に、心霊番組か?」

「あれね。多分、本気だと思うよ」
 玲己が、そう答えている間に、司会者が意識を失い。崩れ落ちる。
「あらま」
 すると、カメラのレンズも凍ったのか、画面は薄暗く白くなっているが、黒い影が司会者に近づき、その後レンズに近づいて消えた。

「今の司会者のこけ方、演技じゃないな。いったい何があったんだ?」
 あきにだけ聞こえるように、玲己がつぶやく。
「さっき画面にちらっと一司…… 神崎さんが映り込んでいたから、この番組なにか怒らせて、悪戯されたんだと思う」

 驚く、あき。
「意外ね。助けられた時とか、優しかったのに」
「いや、基本的には優しいんだけどね。たまに? いや、思いついたら、突然非常識な悪ガキになっちゃうの。あそこの人間全員が…… 人間かなぁ?」
「へぇー」
 と返事を返しながら、あきの頭の中では、クエスチョンマークが浮いていた。

 その後、夕方から仲間たちの新年会と称した飲み会が行われることになり、玲己は強制参加をさせられ質問攻めにあった。

 だが途中で、言えないことが多すぎるのと、信じてもらえないような事ばかりだと気が付く。
 当然答えられないので、内容もしどろもどろになる。
 すると、さらに突っ込まれる悪循環。

 喋れって言ったって、喋れってないのよぉ~。
 下手すると。もう、自分も人間じゃないかもしれないのに…… そう考え、改めてその事を自分で意識して落ち込む。

 そんなこんなで、飲み会が終わり。家に帰って玲己は、
「買い物忘れた…… 掃除も……」

 明日でいいか…… と再び埃臭いベッドへ倒れこんだ。
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