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第四章 脅威は広がっていた
第52話 感染者
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井戸口 愛美さんに望まれ、家に向かう。
「二人きり? だめよ、そんなの」
そう言って雫がついてきた。
「まだ帰ってこないから、ゆっくりしていて」
彼女の家はマンションの一部屋。
普段、戸建てだから珍しい。
見回し、探査するが怪しいものはない。
だけど少しよどんでいる気がして、浄化をする。
「あれ? 部屋が明るくなった? なんで……」
彼女が困惑する。
「気にしないで」
お茶を貰い、すすっていると、お母さんの方が先に帰ってきた。
「お邪魔しています」
二人で挨拶をすると、お母さんの目が光る。
「まあまあまあ、愛美のお友達? まあこの子ったらぁ……」
「ちょっとお母さん落ち着いて、こちら風祭君と、水祭さん」
そう言うとお母さんは固まる。
家は有名だし、指定されている組織と噂されることもある。
こしょこしょと、愛美さんと話を始める。
「えっ、違うでしょ。前にお父さんとか見たけど普通の…… 人だったわよ。多分」
ああヤッパリという感じ。
「家は道場をやっていて、警察の方とか結構来ますから、怖いとか噂が立っていますけど、普通の家ですよ」
「道場。警察の方?」
「ええ」
「まあ、そうなのね。ほほほ、あっクッキーが確かこの辺りに」
とまあ、そこから根掘り葉掘り一時間ほど、雫との関係とか色々聞かれた。
「幼馴染み、そうなの。流派が違うとかなり違うのかしら?」
「全然違いますね。お互いに助け合いです」
「助け合い? 何かをするの?」
「ええまあ、親善試合とかを」
背中に嫌な汗が流れる。
そうしていると、お父さんが帰ってくる。
見た感じ普通だが、何か闇に憑かれている感じがする。
雫と目をあわせ、浄化をする。
狭い家の中でなぜか突風が吹き始める。
「ぐっ、があああぁぁ」
お父さんは一瞬暴れようとするが、ガクッと力が抜け倒れ込んでしまう。
そのまま硬直をして、痙攣を始める。
意識は無く、口からなにか泡とすすのようなものを吐き出す。
それは浄化の風に触れると消えていく。
目立ったのは口からだったが、その時全身の穴という穴から出てきていた。
皆は愕然としてみていたが、母親が近寄り、あわて始める。
この時実はお母さん浮気をしていた、だがこの時の一件で浮気相手と別れたとか。
救急車と騒いでいたら目を覚まし、お父さんに抱きつきながら良かったと涙をこぼす。
「あなたに何かがあれば、どうしようかと思った」
そう言って……
母親は、突然おかしな事になりパニックを起こした。
お父さん死んじゃうんじゃないかと。
救急車を呼ぼうとする前、あわてて、不倫相手に電話をしようとしたが、そこではたと考える。
相手も家庭がある。
ここでこの人が死んだ場合、向こうはお金もないし私を捨てるわよね。
相手は、娘が中学校の時に通っていた塾講師。
給料は安い。
生命保険はあっても、数年……
お葬式とか色々……
まだ愛美も高校生、大学とかお金は要るし……
そうよ、まだこんなとこで死なれちゃ困るわ。
そうよお金、今の状況がバレれば、有責で慰謝料とか……
一瞬で判断をする。
もう不倫はやめよう。
この人は大事。
実に現金な判断を下す。
色々な不安からセロトニンが分泌され、浮気をしたが、呪縛から冷めたようだ。
「救急車を呼ばなきゃ」
そう叫んだら旦那さんが気がつく。
目を開けて、キョロキョロと周りを見回す。
「あれっ? どうしたんだ……」
「いきなり倒れて痙攣をしてて。死ぬかと思ったわよ。よかったわ、あなたぁ」
此の数年レスだった妻。
いきなり気がつけば、抱きつき泣いている。
意味が分からないが、なんとなくほっとする。
浮気でもしているのでは無いか、そう思っていたが、杞憂だったようだ。
こんなにも心配をしてくれる。
突然のパニックで、秘密裏に家族の結束が強まったようだ。
長年のレスも解消したようで、愛美ちゃんから、後日夫婦仲が良くなったと報告を受けた。
だが、颯司と雫は浄化で消えたあの黒いすす。
あれが良くないものだと理解をした。
すぐに、親に相談をして、大規模な探査が始まった。
憑かれているものは、闇を背負っている。
それはわずかなもので、ふつうなら気がつかないレベル。
だが探そうと、すれば見られないものではない。
報告が集まると、かなりの範囲に蔓延をしていた。
「何か闇のものに憑かれているな、何か傀儡的なものだろう」
愛美ちゃん情報で動きが止まるとか、そんな妙な行動をする事を言っておいた。
操られているとすれば、いきなり蜂起を起こすことだって考えられる。
政府機関にも伝えられ、無論、分家衆も動き始める。
すると、日本中に広がっていることが分かる。
危険性を考えて、浄化の風が吹くことになる。
「ぐわあぁ、なんだこの風は……」
生き霊は順調に広がっていた勢力が、今壊れたことを理解した。
窓を閉めていても吹き込んでくる風。
奥さんも、正気に戻る。
だが、すぐに染められる。
正気になった浮気相手。
そこでも、井戸口家と同じ様な騒動があったようだ。
鬼谷 祐一は動き始める。
そこで、風祭家達の存在を意識する。
「こいつらが存在する限り、俺達は追われる。なんとかしなければ……」
直接、行動を起こすようだ……
そして狙われたのが、お気楽に家に出入りをするアマンダ。
彼女は、わらじを一つ残し失踪した……
「二人きり? だめよ、そんなの」
そう言って雫がついてきた。
「まだ帰ってこないから、ゆっくりしていて」
彼女の家はマンションの一部屋。
普段、戸建てだから珍しい。
見回し、探査するが怪しいものはない。
だけど少しよどんでいる気がして、浄化をする。
「あれ? 部屋が明るくなった? なんで……」
彼女が困惑する。
「気にしないで」
お茶を貰い、すすっていると、お母さんの方が先に帰ってきた。
「お邪魔しています」
二人で挨拶をすると、お母さんの目が光る。
「まあまあまあ、愛美のお友達? まあこの子ったらぁ……」
「ちょっとお母さん落ち着いて、こちら風祭君と、水祭さん」
そう言うとお母さんは固まる。
家は有名だし、指定されている組織と噂されることもある。
こしょこしょと、愛美さんと話を始める。
「えっ、違うでしょ。前にお父さんとか見たけど普通の…… 人だったわよ。多分」
ああヤッパリという感じ。
「家は道場をやっていて、警察の方とか結構来ますから、怖いとか噂が立っていますけど、普通の家ですよ」
「道場。警察の方?」
「ええ」
「まあ、そうなのね。ほほほ、あっクッキーが確かこの辺りに」
とまあ、そこから根掘り葉掘り一時間ほど、雫との関係とか色々聞かれた。
「幼馴染み、そうなの。流派が違うとかなり違うのかしら?」
「全然違いますね。お互いに助け合いです」
「助け合い? 何かをするの?」
「ええまあ、親善試合とかを」
背中に嫌な汗が流れる。
そうしていると、お父さんが帰ってくる。
見た感じ普通だが、何か闇に憑かれている感じがする。
雫と目をあわせ、浄化をする。
狭い家の中でなぜか突風が吹き始める。
「ぐっ、があああぁぁ」
お父さんは一瞬暴れようとするが、ガクッと力が抜け倒れ込んでしまう。
そのまま硬直をして、痙攣を始める。
意識は無く、口からなにか泡とすすのようなものを吐き出す。
それは浄化の風に触れると消えていく。
目立ったのは口からだったが、その時全身の穴という穴から出てきていた。
皆は愕然としてみていたが、母親が近寄り、あわて始める。
この時実はお母さん浮気をしていた、だがこの時の一件で浮気相手と別れたとか。
救急車と騒いでいたら目を覚まし、お父さんに抱きつきながら良かったと涙をこぼす。
「あなたに何かがあれば、どうしようかと思った」
そう言って……
母親は、突然おかしな事になりパニックを起こした。
お父さん死んじゃうんじゃないかと。
救急車を呼ぼうとする前、あわてて、不倫相手に電話をしようとしたが、そこではたと考える。
相手も家庭がある。
ここでこの人が死んだ場合、向こうはお金もないし私を捨てるわよね。
相手は、娘が中学校の時に通っていた塾講師。
給料は安い。
生命保険はあっても、数年……
お葬式とか色々……
まだ愛美も高校生、大学とかお金は要るし……
そうよ、まだこんなとこで死なれちゃ困るわ。
そうよお金、今の状況がバレれば、有責で慰謝料とか……
一瞬で判断をする。
もう不倫はやめよう。
この人は大事。
実に現金な判断を下す。
色々な不安からセロトニンが分泌され、浮気をしたが、呪縛から冷めたようだ。
「救急車を呼ばなきゃ」
そう叫んだら旦那さんが気がつく。
目を開けて、キョロキョロと周りを見回す。
「あれっ? どうしたんだ……」
「いきなり倒れて痙攣をしてて。死ぬかと思ったわよ。よかったわ、あなたぁ」
此の数年レスだった妻。
いきなり気がつけば、抱きつき泣いている。
意味が分からないが、なんとなくほっとする。
浮気でもしているのでは無いか、そう思っていたが、杞憂だったようだ。
こんなにも心配をしてくれる。
突然のパニックで、秘密裏に家族の結束が強まったようだ。
長年のレスも解消したようで、愛美ちゃんから、後日夫婦仲が良くなったと報告を受けた。
だが、颯司と雫は浄化で消えたあの黒いすす。
あれが良くないものだと理解をした。
すぐに、親に相談をして、大規模な探査が始まった。
憑かれているものは、闇を背負っている。
それはわずかなもので、ふつうなら気がつかないレベル。
だが探そうと、すれば見られないものではない。
報告が集まると、かなりの範囲に蔓延をしていた。
「何か闇のものに憑かれているな、何か傀儡的なものだろう」
愛美ちゃん情報で動きが止まるとか、そんな妙な行動をする事を言っておいた。
操られているとすれば、いきなり蜂起を起こすことだって考えられる。
政府機関にも伝えられ、無論、分家衆も動き始める。
すると、日本中に広がっていることが分かる。
危険性を考えて、浄化の風が吹くことになる。
「ぐわあぁ、なんだこの風は……」
生き霊は順調に広がっていた勢力が、今壊れたことを理解した。
窓を閉めていても吹き込んでくる風。
奥さんも、正気に戻る。
だが、すぐに染められる。
正気になった浮気相手。
そこでも、井戸口家と同じ様な騒動があったようだ。
鬼谷 祐一は動き始める。
そこで、風祭家達の存在を意識する。
「こいつらが存在する限り、俺達は追われる。なんとかしなければ……」
直接、行動を起こすようだ……
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