20 / 40
第四章 帝国の滅亡へ向けて
第20話 計画
しおりを挟む
「あー、ごめんね」
最初に反応をしたのは、ジャンナ。
「いえ。オネスティが王子だっていうのは知っていたけれど、王様って簡単になれるものなの?」
「普通は、成れない。それに、メーヴィス王国のままで、王になっても意味が無い」
俺がそう言うと、ニクラスは気が付いたようだ。
「そうか、条約が有効なら誰が王になっても一緒だな」
「そうそう」
不安そうな顔になっている、ジャンナ達を抱き寄せる。
「まず、メーヴィス王国を倒すぞ」
俺が言うと皆の顔が『はあっ?』ってなった。
「しかし協定は? 国を守っているのは帝国兵だぞ」
確かに、三番目に双方での武力衝突は禁止する。破った国は賠償責任を負う。なんて言う文言はある。だがそれは……
「皆が勘違いをしているようだが、これは国と国の協定だし。民が自国を攻撃するのは関係ない」
「はあっ?」
ニクラスは驚いているが、皆は『へっ?』という感じ。
「今は民一人一人に力が無く、いやいや従っているが、民が国を倒し。国そのものが変われば、協定は破棄だ…… むろん、帝国兵がジャマするなら、そのとばっちりで倒す」
「そんな、へりくつ」
呆れたように言ってくるが……
「理屈は理屈だ。簡単だろ。違う国になれば、ついでにメーヴィス王国の借金もチャラになる。はっはっはっ。その後は、新国家として各国と新たに同盟を結ぶ」
ベッドに寝転がり、天井を見ながら宣言をする。
「ペテンじゃないか……」
「害はない…… いや、帝国だけは貧乏くじだな」
そんな話を、当然エルドランド王国の王。ノルベルト=アーリエンは報告として受ける。
「オネスティ殿は、そんな事を。むろん王族。部屋に物見が潜んでいることは知っていただろう」
そう言って宰相と、顔を突き合わせて考え始める。
「当然その計画、各国と同盟を結ぶということは、帝国を倒すのに手を貸せという事じゃな」
「そうでしょうなあ。かの御仁。評価が随分変わりすぎて。前情報では、放蕩息子で悪さをしていたとなっておりますが、面会時のイメージ。いえ、お会いした瞬間から随分評判と違う様な気がします」
宰相がそう言うと、王も椅子にゆっくりとそして腰を深く掛けなおす。腹の前に手を組み、何かを考えはじめる。
「今彼が何処で何をしておるのか、一チーム付けなさい。むろん迷惑がかからないように」
「御意に。ただ明日。謁見の間ではなく、この部屋ででも、聞けば話をしてくださるかとも思いますが……」
「そうか、そうだな。素直に聞いてみるか。下手な探り合いは、帝国のつけいる隙を見せることになるやも知れぬ」
そうして翌日。王、ノルベルト=アーリエンは、時代を飛び越した非常識な光景を見ることになる。
「おはようございます。よく、おやすみになれましたでしょうか?」
宰相さんが現れて、声をかけてくる。
あれから後、結局皆が一つのベッドで寝た。
そうは言っても、皆それぞれ思うことがあったようで、寝られなかったようだ。
今までの皆を見て自信はあったが、此処で裏切られることになると、大きく計画が狂うことになる。
宰相さんに呼ばれて、王の部屋へ入る。
「申し訳ない。話を聞いてしまった」
「いえ、聞かせるつもりでしたから…… そうですね。いま武器を作っているんです。ご覧に入れましょう」
あっさりと、オネスティは暴露する
兵達の練兵場を借りて、武器を見せる。
鎌付きの槍。槍の真ん中に良くある刃が一本。
だが付け根から、曲がった刃が生えている。
「この横からでている刃で、敵の手でも首でも、足首でも刈れます。ただ重いので昨日説明をした、塹壕からの攻撃用です。敵は突くしかできないが、こちらは引っかけて刈れます。そして弓。エステリさん。お願いします」
そして出てきたのは、無骨な弓。
的を用意したのだが、彼女が構えたのは、練兵場の端。的は逆側。
百メートルくらいの距離があったが、矢は的を突き抜いてしまう。
「おおっ。なんという強力な」
そして、非常識が始まる。
消音やマズルフラッシュを防ぐサプレッサー付きの銃。 サプレッサーとは銃の発射音と閃光を軽減するために銃身の先端に取り付ける筒状の装置である。
オネスティが手を上げ、静かに的へ向かうと、妙な音が響きはじめる。
パシュパシュとかプシュプシュとかいう音。
距離は、およそ三十メートルほど。
ただ、草を巻いた的が、音がする度にはじける。
「これじゃあ、よく分からないから、中古の鎧とかありませんか?」
そして用意された鎧。
念のため、オネスティは弾頭を変える。
距離は同じで撃ち込むと、鎧が暴れまくる。
「おお、これはすごい。鎧に穴が開いている」
喜んでいる王と、宰相を尻目に考える。
手にしているのは、手榴弾。
「すみません。離れてください」
オネスティは使ってしまった。
ぽいっと何かを投げると、逃げる。
王城全体を揺らすような音と地響き。
中庭だったから、思ったより反響をした。
それを見ていて、驚いたようだが、動き始めた者達が数人。
それを全員、あらかじめ伝えられていたとおり、宰相の命令により捕らえる。
「困りますなぁ、ベランジェ=デュナン伯爵。その手紙はなんでしょうか?」
兵は強引に手から奪い、内容を見る。
「この手紙を送る相手は、どなたかな? 別室でゆっくりとお聞きしましょう」
内部情報を流していた者達は捕らえたが、オネスティの正体と武器の本当の強さを計れた者達はいなかった。
後日、銃と手榴弾以外が搬入された。
そして、中にはクロスボウまで入っていた。
最初に反応をしたのは、ジャンナ。
「いえ。オネスティが王子だっていうのは知っていたけれど、王様って簡単になれるものなの?」
「普通は、成れない。それに、メーヴィス王国のままで、王になっても意味が無い」
俺がそう言うと、ニクラスは気が付いたようだ。
「そうか、条約が有効なら誰が王になっても一緒だな」
「そうそう」
不安そうな顔になっている、ジャンナ達を抱き寄せる。
「まず、メーヴィス王国を倒すぞ」
俺が言うと皆の顔が『はあっ?』ってなった。
「しかし協定は? 国を守っているのは帝国兵だぞ」
確かに、三番目に双方での武力衝突は禁止する。破った国は賠償責任を負う。なんて言う文言はある。だがそれは……
「皆が勘違いをしているようだが、これは国と国の協定だし。民が自国を攻撃するのは関係ない」
「はあっ?」
ニクラスは驚いているが、皆は『へっ?』という感じ。
「今は民一人一人に力が無く、いやいや従っているが、民が国を倒し。国そのものが変われば、協定は破棄だ…… むろん、帝国兵がジャマするなら、そのとばっちりで倒す」
「そんな、へりくつ」
呆れたように言ってくるが……
「理屈は理屈だ。簡単だろ。違う国になれば、ついでにメーヴィス王国の借金もチャラになる。はっはっはっ。その後は、新国家として各国と新たに同盟を結ぶ」
ベッドに寝転がり、天井を見ながら宣言をする。
「ペテンじゃないか……」
「害はない…… いや、帝国だけは貧乏くじだな」
そんな話を、当然エルドランド王国の王。ノルベルト=アーリエンは報告として受ける。
「オネスティ殿は、そんな事を。むろん王族。部屋に物見が潜んでいることは知っていただろう」
そう言って宰相と、顔を突き合わせて考え始める。
「当然その計画、各国と同盟を結ぶということは、帝国を倒すのに手を貸せという事じゃな」
「そうでしょうなあ。かの御仁。評価が随分変わりすぎて。前情報では、放蕩息子で悪さをしていたとなっておりますが、面会時のイメージ。いえ、お会いした瞬間から随分評判と違う様な気がします」
宰相がそう言うと、王も椅子にゆっくりとそして腰を深く掛けなおす。腹の前に手を組み、何かを考えはじめる。
「今彼が何処で何をしておるのか、一チーム付けなさい。むろん迷惑がかからないように」
「御意に。ただ明日。謁見の間ではなく、この部屋ででも、聞けば話をしてくださるかとも思いますが……」
「そうか、そうだな。素直に聞いてみるか。下手な探り合いは、帝国のつけいる隙を見せることになるやも知れぬ」
そうして翌日。王、ノルベルト=アーリエンは、時代を飛び越した非常識な光景を見ることになる。
「おはようございます。よく、おやすみになれましたでしょうか?」
宰相さんが現れて、声をかけてくる。
あれから後、結局皆が一つのベッドで寝た。
そうは言っても、皆それぞれ思うことがあったようで、寝られなかったようだ。
今までの皆を見て自信はあったが、此処で裏切られることになると、大きく計画が狂うことになる。
宰相さんに呼ばれて、王の部屋へ入る。
「申し訳ない。話を聞いてしまった」
「いえ、聞かせるつもりでしたから…… そうですね。いま武器を作っているんです。ご覧に入れましょう」
あっさりと、オネスティは暴露する
兵達の練兵場を借りて、武器を見せる。
鎌付きの槍。槍の真ん中に良くある刃が一本。
だが付け根から、曲がった刃が生えている。
「この横からでている刃で、敵の手でも首でも、足首でも刈れます。ただ重いので昨日説明をした、塹壕からの攻撃用です。敵は突くしかできないが、こちらは引っかけて刈れます。そして弓。エステリさん。お願いします」
そして出てきたのは、無骨な弓。
的を用意したのだが、彼女が構えたのは、練兵場の端。的は逆側。
百メートルくらいの距離があったが、矢は的を突き抜いてしまう。
「おおっ。なんという強力な」
そして、非常識が始まる。
消音やマズルフラッシュを防ぐサプレッサー付きの銃。 サプレッサーとは銃の発射音と閃光を軽減するために銃身の先端に取り付ける筒状の装置である。
オネスティが手を上げ、静かに的へ向かうと、妙な音が響きはじめる。
パシュパシュとかプシュプシュとかいう音。
距離は、およそ三十メートルほど。
ただ、草を巻いた的が、音がする度にはじける。
「これじゃあ、よく分からないから、中古の鎧とかありませんか?」
そして用意された鎧。
念のため、オネスティは弾頭を変える。
距離は同じで撃ち込むと、鎧が暴れまくる。
「おお、これはすごい。鎧に穴が開いている」
喜んでいる王と、宰相を尻目に考える。
手にしているのは、手榴弾。
「すみません。離れてください」
オネスティは使ってしまった。
ぽいっと何かを投げると、逃げる。
王城全体を揺らすような音と地響き。
中庭だったから、思ったより反響をした。
それを見ていて、驚いたようだが、動き始めた者達が数人。
それを全員、あらかじめ伝えられていたとおり、宰相の命令により捕らえる。
「困りますなぁ、ベランジェ=デュナン伯爵。その手紙はなんでしょうか?」
兵は強引に手から奪い、内容を見る。
「この手紙を送る相手は、どなたかな? 別室でゆっくりとお聞きしましょう」
内部情報を流していた者達は捕らえたが、オネスティの正体と武器の本当の強さを計れた者達はいなかった。
後日、銃と手榴弾以外が搬入された。
そして、中にはクロスボウまで入っていた。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる