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第三章 国との関わり

第38話 答えは決まっている

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「こんな情報は、当面無視だ。マルタイの伝手で、向こうと交流が始まるなら考える。だが、今現在は、考えない。以上」
 会議室で、バッサリと切られて終わる。

「まあ。そうだよな」
 隊長橋本は、上司からそう言われて、少し安堵をした。

 これで対象が増えると、面倒ばかりが増える。
 大体、広大な宇宙で、ピンポイントで隕石を当ててくるなんて、普通の人間がどうにかなる話ではない。

 ただし、念を押された。
「天使の話は別件だ。話が広がると各国の動きは絶対に活性化する。対象にうかつにしゃべるなと、念を押しておいてくれ」
「はい」

「そういう事で、よろしくお願いいたします」
 そう言って、隊長さんが頭を下げる。

 向かいの席。つまり俺の横では、家の父さんと母さんが、目を見開き。まるで貞○かと言うくらい。とんでもない顔をしている。

 玄関まで、隊長さんの橋本さんを見送っていく。
「君はVIPだという事を、自覚してくれないと困る」
「はい。分かりました」
 一応そう答える。

 そして居間に戻ると、父さん達から聞かれる。
「その宇宙人の親御さんとか、まだ生きているのか?」
 父さんの顔は真剣だ。

「ひょっとして、挨拶に行かなきゃとか思っている?」
「あーうん。そんな事もあるかもなと思ってな。お前が会いたいとか思うのなら、会いに行っても良いし」
 多少顔が引きつりながら、俺のことを思ってくれているのが、理解できて嬉しい。

「まあ行くのは良いけれど、両親の記憶はないし、おばあちゃんがいるけれど会うためには今の体では絶対に会えない。せめて、羽が三対はないと許可が下りない」
「そうか」

 そんな話をしていると、マイリがすり寄ってくる。

「あのね。今の体だと不便だから、人工生命体で来ちゃ駄目?」
「いや向こうの体は、どうせ、ドラガシメル人だろ?」
「それが、賢者様が創った体は、地球人型。きちんと黒髪黒目だし。大丈夫だと思う」
「ちょっと待ってね」
 父さんと母さんに聞いてみる。

「マイリがね。宇宙船に行けば、地球人型の体があるらしいんだけれど、持って来て良いかって」
「あーもうこの際。良いんじゃないの?」
 母さんが、投げた感じで答えてくれる。

「でも、伶菜さんには聞いた方が良いな」
「あらそうね。聞いていらっしゃい」
 父さんの言葉に、母さんも賛同のようだ。

「分かった聞いてみる」
 そうして、伶菜の家に行こうかと思ったが、気になって隊長さんに聞いてみる。

 廊下へ出て、階段を降りて一段下の階へ降りる。
 階段から一番近い部屋が、警備事務所となっている。

「すみません。橋本さん、いらっしゃいますか?」
「はい。どうした?」
「あの、マイリの事なんですが、人間型の体を持っているらしくて、犬だと不便だから持って来たいと」
 少し考えて許可をくれる。良いのかどうかは知らない。

 だが、きちんと、受け入れの準備はしてくれるそうだ。
「持って来たら、一度連れてきてくれるかい? 容姿の登録や、戸籍なども作らないといけないだろう」
「あっそうですね。お願いいたします」

 そしてその晩、伶菜はやって来る。
「ねえ伶菜」
「うん? なあに」
「マイリがさ、体と言っても人工体なんだけれど、宇宙船にあるんだってさ」

「へー。宇宙人さんの姿?」
「いや、地球人型だってさ」
「賢者さんの掌?」
 伶菜が楽しそうにそう言う。

「そうだね」
「持ってくるの?」
「ああ。いいか?」
「聞かないでよ。良いに決まっているわ。すごく強力なライバルになりそうだけれど。ねえ美人かな?」
 ちょっと眉間に皺が寄っている。

「見せて貰っていないから、分からないな」
「今となったら、焦らなくていいから、ハーレムも良いわね。でも均等に愛してね」
「あーうん」
 そう言う僕の笑顔は、少し引きつっていたかもしれない。

 翌日、マイリと一緒に宇宙船へ飛んでみる。

「ああ、軍用じゃなくて民間?? なんだこの船? オートシールドにLFB大陸プレート破壊弾? 地球を破壊するつもりなのか?」
「あー武器もあるし、他にも生体調整ポッド。メディカルユニット付き。スリープポッドは今ひとつ使っているから。それと政府機関用、亜空間使用ライセンスと他にも色々。この前テレビでやっていた、未来から来たロボットを出来るわよ。ちょっと体を変えてくる」

そう言って、カッカッと歩いて行く。

「ばあちゃんに、連絡をしておこうか」
 急にそう思い立ち、指輪を使いドラガシメル人に見た目を変える。

「えーと、バイオパスが使えないからコード入力か」
 絶望しながら、六十四にも及ぶコードを入力をする。

「おーついに来たね。元気かい。ミー=キャエル」
「久しぶりというか、感覚的には、この前会ったばかりだけれどね」
「そりゃお互いに、生きている時間が違うからね。さて、時間がないからよくお聞き。その船の生体調整ポッドへ行って、今から言うコードを入力しな。今のままじゃまともに力が使えないだろう。必要なときに限界突破できるようにしてあげる」
「いま、地球人を、やめたくないんだけれど」
「分かっているさ。必要なときだけだよ。それに、どうせ地球人は…… まあ良い。――言うよ」

 ばあちゃんが言う、コードを入力して中へ寝転がる。

「さあてと、ミー=キャエルは間に合った。地球人の説得と統率。間に合うかねぇ。まあ最悪は、船の機能を使って、全部を……」
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