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始まった新世界
第37話 十人十色
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「畜生。俺がここを押さえる。俺を置いて逃げろ」
阿鳥が、何かのドラマのような台詞を吐く。
「えっあっ。そうか。すまん」
古摺井はそう言って、顔の横でしゅたっと右手をあげると、それが別れの合図だったようで、すたこらと逃げ始めた。
「えっいや。やっぱりちょっと待て、おい。古摺井ぃー」
呼んだのだが、彼は闇の中へと消えていった。
一度も振り返らず、一目散に……
阿鳥の後ろでは、兄貴達がすでにゾンビ達の仲間となって、「うーあー」と楽しそうだ。
彼も生きながら食われている。どうせ、すぐに仲間へと加わるだろう。
古摺井は逃げた。
物音が遠くなり、やっと少し落ち着く。
ただ、場所は袋小路。
「ちっ。あっちだったのか?」
走ったせいで喉が渇いた。
ちっとか思ったのだが、魔法があることを思い出した。
「おっ、いけるかも」
手の平に水を出して飲み干すと、落ち着きを取り戻す。
だが、どう考えてもこの先には暗雲が立ちこめている。
もう奴らに食わせる餌は、居なくなってしまった。
パンパンと景気よく銃を撃っていた兄貴達。
その音に反応をして、奴らは群がった。
目が見えない普通の人間では対応出来ない。
「銃はもう弾がないし、駄目だろうな」
自分の魔法に威力がないことが分かり、絶望しかない。
力を得た時、これで俺は無敵だと思った。
なのに実戦では豆鉄砲。
「うん? 音が?」
さっきの曲がり角を、直進するために戻り始めた彼。
だが、正面から来たのは、阿鳥だった。
「おっ無事だった…… 訳じゃないんだな」
彼に向かって、使えない魔法を撃ち込む。
そう、阿鳥の視線は定まらずに動きは緩慢で、どう見ても向こう側へ行ってしまっている。
古摺井は彼に向かって威力のない魔法を撃ち込み、魔力の限界を体験をする。
そう、司が特訓で重要視をしていた、おのれの限界を知るというもの。
「ほら頭痛と吐き気が来ただろ。魔力枯渇はキツいんだ。ほらほら」
そんな事を言って、強制的にドレインをしていたのだが、虐める趣味があったわけではなく、限界時に出てくる症状を教えるため。
その証拠に、今度は魔力を無理矢理突っ込まれて、毛細血管が切れて地獄を見るのだが…… 生徒達は、鼻血を垂らしながら、魔力補充の御礼を言ったものだ。
彼の弟子達は、全員その状態を把握している。
これ以上魔法を使うのは危険だと、判断ができる。
だが、それを知らない者達は多い。
そう。ダンジョンができて国が封鎖をしていた時には、すでに始まっていた。
「きたあぁ。俺達の時代だぁ」
ラノベやアニメを見て妄想していた連中。
今、彼等は立つ。
だが、すぐに座って書き込みを開始した。
「探索者募集!!」
「冒険者募集!!」
「ハンター募集!!」
ネット上には様々な募集投稿と、政府に対して即時ダンジョンの開放を求める嘆願が送られた。
その後、司からの意見が聞き入れられて、暮らしを守るためという名目で政府は早急に一般への開放を行った。
それが開かれた瞬間、彼等は思い思いの装備やコスプレをして、ダンジョンへと殺到をした。
「やるぜえ」
「俺こそ勇者だ」
ゴブリンの撲殺という一発目の試練を乗り越えた者達は、意気揚々とダンジョン内部へと足を踏み入れた。
そして、ゴブリンはまあ良い。
そう思っていた。
平民?のゴブリン達は、禁忌感さえ克服をすれば何とか倒せた。
だが、三階から下では、現れ始めるアーチャーやゴブリンシャーマン。まあ彼等が気がつかないだけで、ゴブリンランサーやたまにホブゴブリンなども混ざっていた。
特に五階にはコボルトやオークが混ざってきて、ゴブリン達はチームを組み統制が図られて強敵となる。
そして、撃退をするのに時間を掛ければ、他のモンスターが合流をして最悪な状況へと陥る事になる。
「早く倒せぇ」
「棍棒じゃ無理だ」
「ゴブリンの槍と剣を奪え」
「おおそうか」
彼等は、ダンジョン冒険者と名乗っている。
チーム名は『暁の兵団』。
高校で、異世界大好きの連中が集まって結成された。
彼等の望みは勇者となり、美しい姫と結婚をしてハーレムをつくりたいという。本人にしてみればささやかな夢。
本人達は、本気でそう思っている。
「俺はこんな所で終わる人間じゃねぇ」というのが、座右の銘だとか……
そのため、政府の一般開放が決まると、公園で木刀を素振りして警察官に叱られて、家の中では天井に付いたライトを壊した。
動画サイトで色々な体術を見て、型を真似をした。
魔法を使うことになった後、チームの面子で集まり、日々知恵を出しながら試行錯誤を行い修行をする。
無論それは、高校生だけでは無い。
大学生達は探索者と名乗り、チームを組む。
主目的はナンパ、お目あての女の子を誘い。
薄暗いダンジョンへ誘い。アトラクション的な恐怖状況で俺強えを見せたいが為に、努力を行った。
無論それを実行した時、嬉々としてゴブリンを殴り殺す彼等。
一緒に行った女の子達に、思いっきり引かれてしまう。
当然だ。日本は平和なのだ。暴力は基本的に禁忌される。
ラブコメでよくある、危険が迫っているヒロインを救う勇敢な男だとは、受け取ってもらえない様だ。
あげくには、異常者扱いをされるのだが、それはまだ少し先の話。
チーム名は『トワイライトウォーリア』。
そう、薄暗い所で戦う者達という、ナンパ目的ギンギンのチーム名。ミッドナイトとどちらが良いか随分悩んだそうだ。
そして、長年自宅で警備員をしていた者達も、闇より這い出してきた。
チームは組まず、ソロで最強を目指すために……
孤高の戦士だと、本人は思って参加している。
最強の武器は、アニメやラノベで収集した知識。
今までに、星の数ほど居る、ネット上の作者達が考え尽くした魔法に対する考察。
それを彼等は、読み尽くしていた。
智は力なり。
それぞれが思いを胸に、ダンジョンの奥へと足を踏みれて行く。
そんな彼等、本気勢が世界をまたに活躍を始めるのは、まだ随分と先のことである。
一月経っても、たまに出没をする五階のオークが倒せずに逃げていた。
どこかから、五階のボス部屋はオークとの対決だと、情報がリークされている。
しかも、倒せないと通路が開かないというデスゲーム。
ただゲームとは違い、ベットをするのはおのれの命。
失敗しちゃったぁではすまない……
阿鳥が、何かのドラマのような台詞を吐く。
「えっあっ。そうか。すまん」
古摺井はそう言って、顔の横でしゅたっと右手をあげると、それが別れの合図だったようで、すたこらと逃げ始めた。
「えっいや。やっぱりちょっと待て、おい。古摺井ぃー」
呼んだのだが、彼は闇の中へと消えていった。
一度も振り返らず、一目散に……
阿鳥の後ろでは、兄貴達がすでにゾンビ達の仲間となって、「うーあー」と楽しそうだ。
彼も生きながら食われている。どうせ、すぐに仲間へと加わるだろう。
古摺井は逃げた。
物音が遠くなり、やっと少し落ち着く。
ただ、場所は袋小路。
「ちっ。あっちだったのか?」
走ったせいで喉が渇いた。
ちっとか思ったのだが、魔法があることを思い出した。
「おっ、いけるかも」
手の平に水を出して飲み干すと、落ち着きを取り戻す。
だが、どう考えてもこの先には暗雲が立ちこめている。
もう奴らに食わせる餌は、居なくなってしまった。
パンパンと景気よく銃を撃っていた兄貴達。
その音に反応をして、奴らは群がった。
目が見えない普通の人間では対応出来ない。
「銃はもう弾がないし、駄目だろうな」
自分の魔法に威力がないことが分かり、絶望しかない。
力を得た時、これで俺は無敵だと思った。
なのに実戦では豆鉄砲。
「うん? 音が?」
さっきの曲がり角を、直進するために戻り始めた彼。
だが、正面から来たのは、阿鳥だった。
「おっ無事だった…… 訳じゃないんだな」
彼に向かって、使えない魔法を撃ち込む。
そう、阿鳥の視線は定まらずに動きは緩慢で、どう見ても向こう側へ行ってしまっている。
古摺井は彼に向かって威力のない魔法を撃ち込み、魔力の限界を体験をする。
そう、司が特訓で重要視をしていた、おのれの限界を知るというもの。
「ほら頭痛と吐き気が来ただろ。魔力枯渇はキツいんだ。ほらほら」
そんな事を言って、強制的にドレインをしていたのだが、虐める趣味があったわけではなく、限界時に出てくる症状を教えるため。
その証拠に、今度は魔力を無理矢理突っ込まれて、毛細血管が切れて地獄を見るのだが…… 生徒達は、鼻血を垂らしながら、魔力補充の御礼を言ったものだ。
彼の弟子達は、全員その状態を把握している。
これ以上魔法を使うのは危険だと、判断ができる。
だが、それを知らない者達は多い。
そう。ダンジョンができて国が封鎖をしていた時には、すでに始まっていた。
「きたあぁ。俺達の時代だぁ」
ラノベやアニメを見て妄想していた連中。
今、彼等は立つ。
だが、すぐに座って書き込みを開始した。
「探索者募集!!」
「冒険者募集!!」
「ハンター募集!!」
ネット上には様々な募集投稿と、政府に対して即時ダンジョンの開放を求める嘆願が送られた。
その後、司からの意見が聞き入れられて、暮らしを守るためという名目で政府は早急に一般への開放を行った。
それが開かれた瞬間、彼等は思い思いの装備やコスプレをして、ダンジョンへと殺到をした。
「やるぜえ」
「俺こそ勇者だ」
ゴブリンの撲殺という一発目の試練を乗り越えた者達は、意気揚々とダンジョン内部へと足を踏み入れた。
そして、ゴブリンはまあ良い。
そう思っていた。
平民?のゴブリン達は、禁忌感さえ克服をすれば何とか倒せた。
だが、三階から下では、現れ始めるアーチャーやゴブリンシャーマン。まあ彼等が気がつかないだけで、ゴブリンランサーやたまにホブゴブリンなども混ざっていた。
特に五階にはコボルトやオークが混ざってきて、ゴブリン達はチームを組み統制が図られて強敵となる。
そして、撃退をするのに時間を掛ければ、他のモンスターが合流をして最悪な状況へと陥る事になる。
「早く倒せぇ」
「棍棒じゃ無理だ」
「ゴブリンの槍と剣を奪え」
「おおそうか」
彼等は、ダンジョン冒険者と名乗っている。
チーム名は『暁の兵団』。
高校で、異世界大好きの連中が集まって結成された。
彼等の望みは勇者となり、美しい姫と結婚をしてハーレムをつくりたいという。本人にしてみればささやかな夢。
本人達は、本気でそう思っている。
「俺はこんな所で終わる人間じゃねぇ」というのが、座右の銘だとか……
そのため、政府の一般開放が決まると、公園で木刀を素振りして警察官に叱られて、家の中では天井に付いたライトを壊した。
動画サイトで色々な体術を見て、型を真似をした。
魔法を使うことになった後、チームの面子で集まり、日々知恵を出しながら試行錯誤を行い修行をする。
無論それは、高校生だけでは無い。
大学生達は探索者と名乗り、チームを組む。
主目的はナンパ、お目あての女の子を誘い。
薄暗いダンジョンへ誘い。アトラクション的な恐怖状況で俺強えを見せたいが為に、努力を行った。
無論それを実行した時、嬉々としてゴブリンを殴り殺す彼等。
一緒に行った女の子達に、思いっきり引かれてしまう。
当然だ。日本は平和なのだ。暴力は基本的に禁忌される。
ラブコメでよくある、危険が迫っているヒロインを救う勇敢な男だとは、受け取ってもらえない様だ。
あげくには、異常者扱いをされるのだが、それはまだ少し先の話。
チーム名は『トワイライトウォーリア』。
そう、薄暗い所で戦う者達という、ナンパ目的ギンギンのチーム名。ミッドナイトとどちらが良いか随分悩んだそうだ。
そして、長年自宅で警備員をしていた者達も、闇より這い出してきた。
チームは組まず、ソロで最強を目指すために……
孤高の戦士だと、本人は思って参加している。
最強の武器は、アニメやラノベで収集した知識。
今までに、星の数ほど居る、ネット上の作者達が考え尽くした魔法に対する考察。
それを彼等は、読み尽くしていた。
智は力なり。
それぞれが思いを胸に、ダンジョンの奥へと足を踏みれて行く。
そんな彼等、本気勢が世界をまたに活躍を始めるのは、まだ随分と先のことである。
一月経っても、たまに出没をする五階のオークが倒せずに逃げていた。
どこかから、五階のボス部屋はオークとの対決だと、情報がリークされている。
しかも、倒せないと通路が開かないというデスゲーム。
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