ダンジョンのできた世界で、俺は世界を救えと望まれる。えっ、やだよ。ーその男、神の遊戯に巻き込まれて最強となるー

久遠 れんり

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始まった新世界

第43話 天命と啓示

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 魔法を使い、身体強化を行う。

 それにより、一時的に筋力は上昇するかもしれない。
 その状態で、無理矢理動き回り、壊れた体を超回復。
 また強化をして……
 それを繰り返せば、今の子達のように強くはなれる。

 だが、急激に上昇をした力に馴染むのには、やはり時間がかかる。
 急激な変化は、やはりバランスを崩すのだ。

 だが彼女。
 桜のようにスポーツによって、時間を掛けてつくり上げた体は、長年の努力が積み上がり、その競技にあった体となっている。
 テニスなどは、ダッシュとストップをひたすら繰り返すために、瞬発力と持久力を併せ持つ。

 体脂肪の少ない、均整のとれた体。
 それは、美しくしなやかな体。

 周りの女の子は特訓を初めて、やっと三ヶ月と少し。
 そう、一見すると動きはすごくとも、体はまだまだできあがってはいない。

 それに比べると、桜はテニスで積み上げてきた歴史がある。
 天然物の鍛え上げられた体。

 猫耳のおかげで興味を引かれて、ざっと体を見てしまった。だが見たことで、その良さに気がついた。

 そう、自分と同じく、長年努力をした彼女。
 ダンジョンとテニスは違うのだが、きっと同じ様な苦労をしたのだろうとふと思う。


 おかげで、プールにいる間に気になって、いく度も見てしまい目が合った。
 彼女には、ぷいっと顔を背けられてしまった。
 まずかったのだろうか?



「―― ああああぁっ。はずかしいいぃぃ」
 調子に乗って耳を付けて……
 あげく自分用のを買っちゃった。

 年も考えずに変な格好をしていたから、司さんに変な顔で見られたぁ。
 家のベッドで、桜はもだえていた。

 そう、あまり顔をまともに会わすことはなかった。
 いつも、初期の時は人数が少なく、まじまじと顔を見ることも多かったのだが、が増えるにつれ、目が合う頻度は下がっていた。

 ところが今日は、二十三回も目が合った。

 それも、耳を付けてから乗数的に回数は増えていった。
「いえ。対数的にかな? まあ良いけど。 変に思われたのかなぁ?」


 人は苦しみ足掻いた先に、成功をつかめるかも知れない。
 無論努力をしても、つかめない者達も大勢居いる。
 だがハッキリしているのは、足掻いてない人間に、成功は降ってこない。
 まれに、天命とか偶然とかという、一見すると幸運を掴む者もいるのだが、偶然手に入れた幸運を人は持て余し、破滅へと向かう。

 おおよそ、宝くじ当選者の約九十パーセントが七年以内に当選金を使い果たし、さらに五十パーセントが四年以内に破産を申し立てる事になるという。

 人間とは弱きもの。
 おのれの努力以外で力を得ても、それを物に出来ず、その力を持て余して破滅へと向かう。

 それは、宿命。
 神の与えた試練。


 司はシンすら驚くほどの努力をした。
 司にすれば、それは遊びの延長であり、そんなに深くは考えていなかった。

 強くならなければ、死が近い世界。
 その中で、彼は安全にために、努力をして強くなった。

 一部のゲーマーが好んで行う、レベル上げ。
 シンが呆れるくらい、彼はひたすらそれを行った。
 初期の安全なエリアで。

 だから同じように、一階から十階の間を周回しろと皆に言った。
 意外と皆は素直なので、彼女達は強くなり人型モンスターには対応できる様になった。

 きっと、銃に頼っている警察や自衛隊よりも強いだろう。

 まあ組織の人間も、弾数には限りがあるため、最近は魔法や体術、剣術に重きを置いて訓練を始めた。
 だけど、直接の攻撃は、銃とは違い手応えが残る。
 それを飲み込むには、精神的な強さも必要になるためにかなりキツい。


 ―― この頃になると、日本では皆が思い思いにダンジョンライフを初めていた。

 そんなある日、天から声が聞こえた。
 天からと言うか、直接頭の中に声が響くという、ものすごく迷惑な状態。
 寝ていようが何だろうが容赦されない。

「やあっ。地球の諸君。我が創った修行の場。ダンジョンは活用をしているかね。あれは現在、この星に生息している者達の修行の場であり、種族に変革をもたらすものとして用意を行った。来るべき魔神との聖戦のために努力せよ。強くなれ。現世への干渉には制限があるため、用意が出来たのはダンジョンくらいだ…… まあ利用せずに、滅亡への道を歩むのであればそれも運命。それも一つの道だろう。選択するが良い……」

 なんていう、訳の分からないメッセージが、頭の中で響いた。



 ―― 時間は少し遡る。
「この星に住むものは、あまり素直では無いな」
 グビグビとソーマを飲みながら、空中を見つめていたシン。

「そうなのか?」
 シンはコンソールを見ながら文句を言う。

 未だに、氾濫警報が多くの土地で出ている。
 あまり利用がされておらず、力業で封鎖されているダンジョンが多い。

「つまらん。かといって、これ以上増やすと住めなくなりそうじゃ。どうするべきか?」
「そんなもの、シンが前に言っていた共通の敵がいれば良いんじゃ無い」
「共通の敵ねえ。宇宙人の侵攻などとすれば、本当に友誼を結びに来た時に困るぞ」
 そう言って、ちらっとパネルをシンが見た。
 宇宙人が来るのか? いや、そもそもいるのか? まあ、気にしないでおこう。

「今はダンジョンのおかげで、戦争が起こっていないんだろ」
「ああ。まあそうだな」
「じゃあ、存在をしていなくとも、敵が来るって言えば良いだろ」
「嘘をつけと?」
「嘘じゃ無いよ。将来的に…… 明確に何時とは言わなければ、良いだろ。この先の未来のどこかで敵となる奴が出てくるかもしれないし」
「ふむ。それならば…… 今の所、動きは無いが、良いだろう……」
 そんな不穏なことをぽつり……

 司との日課。
 酒を酌み交わしながら、軽いノリで、人類存亡に関わる話が布告された。
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