不運だけど、快楽と無双を武器に、異世界を生きていく。

久遠 れんり

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第6章 魔人族大陸平定

第100話 出発

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「さあて、行くか」
 そのやる気の無いかけ声で、ミニチュア艦隊は出港をした。

 目指すは、魔人族の居る大陸。
 だが獣王国へ向かう海と違い、途中から黒くなっていく。

 釣ってはいるが、獲物が深海魚のようなグロテクなものに変化して、ものすごく色がおかしい。
「しゃぎゃー」
 そう言って、ガシガシと噛みつきに来る。

「駄目ですね、怖くて食えません。それに捌いてみたら肉が……」
 見ると、寄生虫だったのだろうが、なんか変に変化して、食い荒らしている。
 内臓まで喰われているのに、魚の方が元気で生きているのもおかしい。

「こいつ、ゾンビじゃ無いのか?」
 そう言って浄化すると、効果てきめん。
 ドロドロと崩れて、消えていく。

「駄目だこれ。やめろ。網を壊されたら大損だ」
 結局今回の航海中はインスタントと保存食。
 樹脂で固めた真空パック。
 見た目は固いが、茹でればビニールの様になる樹脂。
 柔らかくなった所ではがすと、綺麗にはがれる。

 そして低温保存の野菜達。
 まあ、結構満足の出来る食事だ。

「あー何か来る。警戒」
 船のセンサーよりも、ヨシュートのセンサーの方が感知範囲が広い。

 各船に、方向と敵のサイズが伝えられる。
 
 姿を現したのは、巨大な溶けかかったクジラ。

 全長三十メートルの、見た目シロナガスだがびっしりと生えている歯。
 言わば、平べったいサメ?

 だが色は悪く、目には目玉が無く眼空のみが開いている。
「主砲用意、二時方向…… てえぇ」
 きゅううううんと独特の音がして、ドシューと弾が撃ちだされる。
 炸裂タイプでは無く、土魔法で錬成された短い槍。
 でかい岩でも突き通す。

 それが刺さるが、本体が腐っているようで突き抜け、ダメージも無いようだ。

「だめだ、対ゾンビ用特殊弾装備。てぇー」
 こいつは、クリスタル型浄化魔法弾。

 白い光が、敵に突き刺さる。

 その瞬間、周囲一キロくらいが光に包まれる。
 その中で、海に溶け込む瘴気まで一気に浄化される。

 この海域に存在をする、ゾンビ達が蒸発をする。
「うーん。もう大丈夫だが、二十四時間警戒だな」
「承知しました」
 船長はそう言ったが、必殺の装置がある。
 センサーに反応があれば、何でもかんでも魔法弾を自動で発射出来る。

 躊躇無く、船長はそのスイッチを入れる。
 その日から、獣人の大陸と、魔人族の大陸との海峡で奇妙な光が度々目撃される。

 そうして、三日ほどで大陸が見え始める。

 だが、黒い霧が大陸を覆っている。
「どうします?」
「霧がかぶっているなら、居るのはゾンビだ。撃て」
 決めつけて、主砲が撃ち込まれる。

 その時、港の奥にある山。
 そこの崖に洞穴が開いており、村の魔道士達がシールドを張り頑張っていた。

 風向きとかにより、一週間とか二週間で大体霧は晴れる。
「しばらくすれば晴れるはずだ、頑張れ」
「だけど作物はもうだめだろう。村を捨てよう。村長?」
「そうだな、前に比べれば頻度が増えた。海の魚もうだめだ」
「一体何が起こっているんだ……」
 籠もっている村人だが、その雰囲気は暗く、絶望に包まれている。

 そんな所に、まばゆい光が差しこんでくる。
 シールドを張る魔道士、テアは外を睨んでいた。
 その目が、光に塗りつぶされる。

「みぎゃあああぁ、むえぐわぁー」
 言葉にならない言葉を叫ぶ。

 だがなんとか、シールドは張っていた。

 魔人族と言っても、見た目は人間。
 だが、ちょこんと額に角が生えている。
 
 女性の方が魔力に対する親和性が強いらしく、魔道士達は女性だ。
 だが、男とナニをすると一気に魔力が落ちるらしい。

 村の魔道士達は、さっき呻いていたテア十五才、ヴァンヘンピ十八才、アハテー十七才、イリニヤ二十才。
 そんな感じで皆若い。

 そして、テレサ二十二才。
 彼女が今、皆を仕切っている。

 だが断続的に、震動と光が差しこむ異常事態。
 外で何が起こっているのか、中に居る村人全員が理解出来ない。

 だが、ヨシュート特製の浄化魔法。
 治癒効果も持っている。
 長年における、瘴気曝露。
 彼らの遺伝子はそれにより変異し、皮膚は紫色に変わり角が生え、そのかわり魔力に対する親和性が上がっていた。

 だがその遺伝子の損傷を治癒していく。

「むう駄目……」
 とうとうシールドを張り続けることが出来なくなり、彼女は……
 喘ぎだす。

 と言うか、その穴の中に居る村人全員が快楽に襲われる。
 治療による激痛が、なぜか快楽へと変換される。

 女だけではなく、男まで。
 女は、透明な液体を噴き出すだけだが、男は別のものが噴き出す。強烈な快感と共に。
 洞窟内に特殊な匂いが立ちこめそうだが、それはすぐに浄化される。

 それは洞窟にこもり、水浴びの出来なかった体や、薄汚れた服まで浄化をする。

 光が収まったとき、色白な人々が裸の状態で転がっていた。


「よしもういいだろう。上陸するぞ」
 ヨシュート達は、何も知らず上陸をする。

 その時、洞穴の中では少し騒ぎになったが、あまり細かな事を気にしない人々。
 畑仕事の途中で、行為を始めるような人々だ。
 それは自然な姿。

 そして、上陸をしたヨシュート達の前に裸族が現れる。
 そう遺伝的な変異が収まり、彼らの角まで無くなっていた。

「魔人族は裸族だったのか?」
 ざわざわと動揺が広がる。
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