不運だけど、快楽と無双を武器に、異世界を生きていく。

久遠 れんり

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第6章 魔人族大陸平定

第108話 出逢いと、新たなる世界

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 ヨルーオは、目に付くゾンビと変異体を倒して、吸収をしていく。
 そして従える事ができはじめると、周囲に似た者が居ないかと探し始める。
 できればメスがいい。

 体の奥底で湧き上がる衝動。
 生物として、基本的な衝動は不変であり、攻撃と捕食、生殖である。
 攻撃による防衛、そして喰う、後は子孫を残す。

 人間近縁種で見れば猿などがそうだろう、より強い者が全てを手にする。
 それは種を守るために合理的である。

 弱ければ滅ぼされ奪われる。
 今彼はこのコロニーにおいて王となった。


 
「さあてと、どうするよ?」
 問いかけている相手は、保護されている村人達。
 話を聞いて、貯蔵庫である洞窟に隣接する形で、壁に囲まれた住居を作った。

「我々は、魔王を見つけて倒すつもりだ。ここには居ることが出来ない」
「そんなぁ、何とかなりませんか?」
「ならん」
「この娘達を差し上げます」
 どうして獣王国といい、すぐに娘を差し出す?

「娘達には娘達の人生があるだろう。それを優先させるが良い」
 そう言うと、横でヴァレリーとベルトーネが頷く。

 だが娘達本人達は、えっ何それ状態?
「あのー、自由にというなら、ついて行きます」
 そう言って皆がうんうんと頷く。

 本来なら、子をなすために近隣の農家へ出て行くか、自分が婿を取り家に居座る。
 その二択。
 全ては、貴族から預かっている農地を守るため。
 それ以外の生き方は存在しない。

 そう、農家は基本奴隷なのだ。
 土地からは離れられず、ひたすら作業をする。
 勝手に土地を離れると、それだけで死罪になったりする。
 ただ現状、貴族も存在せず、モンスターが跋扈するため、畑も作れない。
 そう、備蓄がなくなれば終了。
 
 その事は、理解している。
「よし分かった」
 魔導車の改造はユキが終了させた。

 保冷車を作り、その中に穀物などを積み込む。
 バスのような、人運搬車も作って、村人を乗せる。

「行くかあ」
 そう言って、その土地に変わった建物が残されることになる。
 丸いリング状の遺跡。
 数千年後、ストーンサークルと呼ばれたとか……


 さて、その頃両軍が睨み合っていた。
 ヨルーオとマドゥラ。
 共に伴侶を探していたが、弱ければ意味が無い。
 半端者やゾンビ達が、まあるく二人を取り囲む。

「来なさい坊や」
 目の高さに上げられたマドゥラの手の平、指が器用にくいくいと彼を誘う。

「ふん。我の足にしがみつき、乞い願うがよい」
 胸の前で腕を組み、そこに来て初めて、彼女の纏う気を感じる。
 
 どこかの世紀末覇者がそこにはいた。
 ヨルーオの、短くひ弱だった角は、太く立派になり、両肩にも棘が生えている。

 肘や膝にも、棘。
 肘の棘は、肘から背後に向けて生え、上腕にかけて肩までをカバーする。
 膝は皿の上から生え、太ももの前面をガードする。
 弱点となる、側面と背面は守らないようだ。

 そして、彼女が吐き出す気配に負け、両足はガクブルで震えていた。
 なんだこれ、こええっ。

 対峙してから、突然彼女の気配は変わり、体に感じるプレッシャーが彼の体を締め付ける。

 完全に、膝はかくかく。
 だが棘の生えた膝がかくかくしているのは、何かの技を狙っている様にも見える。

 そうだわ、私と同じ完全体。
 覇気をかくして誘い、あの角で……
 まさか、私の体など眼中になくて、股間からあれで突き上げるつもり?

 長さは三〇センチくらいある。
 流石にあれで突かれれば、子宮を通り過ぎ内臓まで達する。
 昔どこかで聞いた拷問のようである。
 あれはフジ、じゃない不義密通に対する罰則。
 自重で腹まで突き通ったという。

 ブルブルしているから、一気に突き通ってきそう。ちょっとそれを思っただけで、お尻の上辺りにぞくぞくと快感が走ったが、痛そうなので却下だと思い直す。

 そう、一瞬突かれてみたい気が起こった。

「駄目よ、死んじゃうわ。あんな立派な物で、教本のように死にそうな快楽と、実際死ぬのは違う」
 彼女はそっち方面の知識を、脳内から検索をしていた。
 貴族家、女性心得。

 貴族の娘が、嫁ぐ前に教えられる房中術ぼうちゅうじゅつ秘技。
 門外不出のものであるが、魔人族領では意外と家が滅んでいた。
 そんな時に、掘り出し物として出てくるし、人気が高い。
 彼女は、薄い本を見た記憶を探す。

 そう、今まさに彼女は、運転中にスマホ状態。
 それに対して、余裕のないヨルーオは、諦めていた。
 向かい合い、彼女の強さは肌で感じた。
 敵わない。

 今はただ、何も考えず、右拳に全てを託す。
 彼は今覚悟を決めて、右拳に全てを込めてたたき込む。
 それだけを考えた。

 彼は、弱いときの癖で、目をつむっていた。
 だが、振り出した拳が、何かにあたった感触。

 思いのほか、それは軽く振り抜けた……
 そう目をつむったので、間合いが足りず、彼女の顎先をかすめて首の骨をねじった。
 頭は激しく揺られて、彼女の体から力が抜ける。
 そして、彼女はストンと座り込む。

「ちょっと待て、今のは無しだ」
 意識はあるので、そう言い訳をする。だが真剣勝負、そんな理屈は通らない。

 ゾンビ達とはいえ、周囲を囲まれている中で彼女はひんむかれて、一気に貫かれる。
 一瞬の痛み、だが強靱な体はそれをすぐに修復。
 今度は、敏感な刺激が、何倍にも増幅されて脳へと届く。

 それは今まで感じたことのない刺激。
 一瞬で意識が飛びそうになり、脳内麻薬が乱舞する。

 一瞬で、幾度も達した彼女は、円の中心で愛を叫ぶ。

「こんなん。惚れてまうヤロー。ああああっ、もっと、ふかくぅーうぅぅ。うふっ好き……」
 チョロかった……

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