不運だけど、快楽と無双を武器に、異世界を生きていく。

久遠 れんり

文字の大きさ
116 / 135
第7章 宇宙(そら)へ

第116話 飛んだ

しおりを挟む
 力を得た。と言うか奪った。

 この…… 
「長いから、アデルでいいや」
 今目の前で、ガクガクしている女。
 今日生まれたてで、今日喜びを知って、今日限界を越えた。

 こいつは女神で、力を吸い取ったから今はこちらの方が強い。

 そして魔法とかの、理に属する所を知識として得た。

「よし、こうだな」
 重力を遮断をして、体を浮かせる。
 おもしろい。だがこれ、気を付けないと頭に血が上る。

 重力とは、全てに働いているのだ。
 遮断をすると、いきなり無重力になる。
「意外と使いにくい。何か物質を無重力にして、それに乗る方が安全そうだな」

 と言う事で、翌日から、魔導具の試作を始める。

 先ずは、この星の周りに全方位の探査用魔導カメラを、空気の影響がない二〇〇キロ以上。
 今回は、三万六千キロくらいを目安に投げた。

 そうこの世界、投げただけで衛星の打ち上げができる。
 非常に便利な世界。

「このくらいだよな?」
 見に来ていた関係者、全員が口を開けたまま空を見ている。

「コンソールを見に行こう」
 城にある管制ルーム。

 基本的には自動で軌道調整しつつ、全方位の写真を撮る。
 そいつを解析をして、今の星が宇宙のどこなのかを計算させる。
 そして、魔導波を受信をして、人の居そうな星を探す。
 人と言うより、生物が存在をしていると魔導波が大きく乱れる。

 星とかだと一定だし、何もないと一定なのだ。

 一応女神から力を奪ったときに、この宇宙の絵が見えたが、何が何やら把握できていない。
 だが生物が居る所は結構あり、知識を持って生活をしている所も結構あるようだ。
 
 とりあえずは、今の居場所を知る。
 そして、探査はその後だ。

「魔素の流れは、宇宙の決まった方向から流れている」
 それを、ボードに書き説明をする。

 そして、星や宇宙の概念を持っていない、ヴァレリーとベルトーネに説明をする。

「足元は、大地。これを地球と言う」
 覚えやすいから地球で通す。

 図に書く。
「ここの火の玉が太陽、水素という物質がヘリウムになる核融合という仕組みでずっと燃えている」
 ふんふんと二人は頷く。

「それでまあ、この太陽系なんだが…… 名前をアデルミラから名前をとってつけた」
 そう説明をすると、彼女はピタッと横にくっ付いてくる。
 昨夜からの快楽浸け、色々文句を言う度に相手をしていたら、細かな事を気にしなくなったようだ。
「アデル。ちょっと離れて」

 そうコイツが、二人に見つかったときは大騒ぎだった。

 見たのは一度? いや二度か?
 女神だと説明して、事故で力を奪ってしまったので連れてきたこと。
 体は、俺が造ったことを説明をした。
「ヨシュート様はこの世界を統べる神となりました。頭が高い」
 ユキがそう言って、場を納めた?

 そうしてまあ、この宇宙には一方方向の魔力の流れがあるから、それを調査してマークし計算させる必要が出来た。
 まあ軌道計算とか色々あるし必要なので、ちょいとアカシックレコードを覗く。

 こちらは素人だが、説明があるなら創れる。
 そう創れるのだ。
 神気を使い、ある生物のバイオシートを創り、そいつに対してアドレスを振り線を繋ぐ。
 このシートある方向から電圧をかけるとイオンチャネルが閉じ、色も変わる。
 逆に電圧をかけると、反転して、さっき閉じた方が開く。
 そして横から電圧をかけると全部が開き、逆だと全部が閉じる。

 そう記憶装置として使える。
 カルシウムイオンでも良いけれど、光を使い制御する。
 組み合わせると、まあ、AND回路やOR回路が作れるということ。
 今はモジュールで組み合わせて、決まっている動作をさせたりしているが、プログラミング言語がもっとまともになれば動きはスムーズになるだろう。

 秘匿システムなので、直属の錬金術師と魔道士を教育をして、マシン語を今造っている。

 だけどその計画途中に、ユキがアクセスした情報、その中にコンピューターの暴走というのがあった。
 どこかで、それのおかげで文明が滅んだようだ。

「何か安全装置、その言葉を聞いたら自壊するシステムが必要ですわね」
「ああ、そうだな。マザーは壊れても自己修復をするしな」
 そう治癒魔法で治る。

「言わない言葉、それで忘れない…… 難しいわね」
「ベルトーネが嫌いにしましょう」
 ベルトーネがそう言って笑う。
 喧嘩をすると、ヴァレリーの口からしょっちゅう飛び出してくる。

「そんな毎日、言うような言葉は駄目よ」
「言わなきゃ良いでしょ」
 そう言ってじゃれ合う二人。

 ふと記憶の中で、何かが浮かぶ。
「バルスって何だっけ?」
「さあ?」
「知らない」
 二人とも知らない様だ、ふと浮かんだ謎の言葉。
 何だろう?

 まあそう言いながら、決まったのが、『ヨシュート嫌い』だった。

 そうして、二日後。空飛ぶ船、円盤形を飛ばすことにした。
 最初は、海に浮かべていた戦艦を改造しようとしたんだ。
 だけど、何か判らない力が駄目だと教えてくる。

 そのため汎用的な円盤となった。

 内部は、テスト機だしワンルーム。
 休憩用のベッドや、シャワールーム。
 ちょっとしたキッチンも付いている。

「艦の上下には収納式の魔導砲、そして両サイドには自動追尾型の速射砲が付いている」
 ざっと説明をして、パワーオン。
 船の底に飛行用、重力制御装置。 
 室内側は、別エリアとして重力を制御している。

 そして、慣性もコントロールをしているので、エレベーターのような違和感もない。

「えっもう飛んでいるの?」
「飛んでるよ」
 パネルのスイッチを切り替える。
 すると壁全体が、外の景色に切り替わる。
 そう、いきなり空に放り出されたと錯覚をする。
「いやああぁ」
 笑いながら、元に戻す。

 だが驚きのあまり、ベルトーネがちびった様だ。
「うもーお、『ヨシュート嫌い』」
「「「あっ」」」
「システム終了します」

「ああぁー」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

処理中です...