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最悪な国、ニコ国
第32話 各の旅路
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まいった、ズィクムントの町へ向かっているのだが、ヴィカ達との話は必然としてカグラの事になる。
俺達は、彼についてそんなに詳しくない。
「彼のことは黄昏の五人の方が詳しいから、町にたどり着いてからのお楽しみだ」
そう言って俺達は御茶を濁す。
そして、行きに殲滅したはずなのに、なぜか湧いてくる盗賊達。
行きはカグラに殺されたが、弱いので捕まえる。
それで、改めて話しを聞くと、ニコ国の農民達だった。
収穫をすべて持って行かれるため、仕方なく副業として盗賊をやっていたらしい。
「俺たちゃ、飢えて死ぬのも、切られて死ぬのも一緒なんだ。家族が飢えて目の前で死んでいくのに何も出来なかった」
泣きながら告白する彼らのそんな言い分。その気持ちは、いたいほど気持ちは分かる。
でも此処で逃がせば、誰かが被害者になる。
彼らにとっては、犯罪奴隷として鉱山に行った方が幸せなのかもしれない。
家族に先だたれ、空腹を抱えながら死に場所を求めて生きているような感じだ。
説得をしながら、ズィクムントの町へ向かう。
食い物が足りず、結局幾人に狩りを手伝わせる。
意外と物覚えがよくて、役にたった。
彼らも、知らなかったことを覚えて、嬉しそうだ。
特に狩りにより、自分たちで獲物を獲るのは、希望となる。嬉しいようだ。
明らかに、歩みに元気が出た。
でも確か、盗賊で鉱山に行って帰ってきた奴は聞いたことがない。
盗賊をする前に知りあっていればねえ。
「残念だよ……」
―― その頃。
「お勤めが少し遅れたな」
「急ごう」
密偵である至高の極。
彼らは街道を、ニコ国に向けてひた走る。
調査対象の、ヨウシア国第一王女ロジーヌは十五歳。
ニコ国の、第一王女ヴァイオレットとは顔見知りで会うのを楽しみにしていた。
だがヴァイオレットは、十四歳の時に兄によって盗賊に売られて性奴隷状態。城の尖塔に閉じ込められていた。
ニコ国は王が変わっても、対外的な触れをせず。
まあ無論、周囲の反対勢力を粛正するために忙しかったのだが、不義理は結構周囲からの反感を買う。
それを理解したとき、彼らは不義理のフォローではなく、この園遊会で各国の要人を捕らえて、戦争に協力をさせようと画策をしていた。
だが義理を欠いた対応により、各国は様子見として代理を立ててきた。
「なんと言うことだ、これでは、計画通りにすすまんではないか」
「まあそう言わず。来ている人間も貴族ですし、ヨウシア国は第一王女です。どこか一国でも援助が来れば大助かりですよ」
エーバリがなにもせず、怒りまくる。現状、側近となった盗賊達が舵を切るやばい国となっていた。
戦費として徴収した税の大半は、自身達の贅沢に使われている。
そんな国へ、足を踏み入れた各国の代表だったが、えらく雑な扱いに困惑して、鋭い者達は来たという印だけ残して、さっさと逃げてしまう。
無論、代表できている者達、私兵が周囲を守っているため、おいそれと手も出せない。
そんな中で、ロジーヌはヴァイオレットが居ないことを不思議に思い、次女達に聞きまくり一人から情報を得てしまう。
無論、セフレノ=カルイヨン侯爵達はこの国の異常性を察知、姫にも釘を刺していたのだが、若く浅慮さが露呈。
お付きの者達を振り切って調査をするロジーヌ。
話を聞いた尖塔のドアに張り付き、中をうかがうが、ドアの隙間からでは薄暗い内部はハッキリ見えない。
素人丸出し、背後への警戒も無しで、中を覗くのに必死だった。
すると、物音に気がついたのだろう。内開きのドアがいきなり開き、部屋の中へと飛び込んでしまう。
中に居たのは、一糸まとわぬ男女達多数。
「お姫様、困りますなぁ。我が国の秘密を覗かれるとは、ヨウシア国はどういう教育を行っているのか」
当然の様にそうなり、ヴァイオレットと仲良く並ぶことになる。
思考を鈍らし、本能を呼び覚ますお香が焚かれた部屋。
ロジーヌは初めてだったはずなのに、すぐに快楽に沈むことになる。
「我が国の姫はいずこに?」
周囲を警備している兵達に問う。
「お姫様? さあ、調べはしますが、あなたたち護衛ではないのですか? 怠慢ですなぁ」
そう言って、ニコ国の兵士は答える。ニヤニヤと下品な笑いを浮かべながら。
どの口がと言いたくなる。彼らの態度は、自国の兵であれば粛正物だ。その位ひどい。
「ナニを言う、城の中で要人が行方不明になるなど、どういう警備体制なのだ? それともそなた達が姫を攫ったのか?」
「おやおや、自分たちの責任を我らに押しつけようとは、ヨウシア国は恐ろしいですなぁ」
そう言って、探すとは言ったがその様子は見られず。そして城内は、何処に行っても国家機密と言われて我らが入れない場所が多い。
恥を忍んで、セフレノ=カルイヨン侯爵は本国に使いを出す。
この国へ来て、二週間が経っていた。
そして、至高の極達は、やっと到着。
侯爵と会えたのは事の始まりから二ヶ月後だった。
冒険者の装束を解きニコ国の兵士や、付き人のような振りをして城内へと散らばる。
尖塔は流石に危険だとわかり、この時サバトの会場は城の地下へと移動をしていた。
宝物殿とかがある警戒厳重な区画。
だが、所詮は盗賊達。
酒や食事が奇妙なところに運ばれるのは、ブルーノ達によりすぐに見つかった。
配膳をする下女を眠らせて、ソフィーが成り代わる。
その扉を開けた瞬間ソフィーは一瞬目をつむる。その光景、人の欲望が丸出し。
獣のような者達が、食って飲みまぐわっていた。
テーブルの上に、トレイにのった食い物をのせるだけで、数人がソフィーに抱きつき体をまさぐられる。
なんとか失礼にならないように躱すと、外へ出る。
「最悪……」
部屋の中に姫様はいた。だけど、幾度か見かけた姫様では無くなっていた……
俺達は、彼についてそんなに詳しくない。
「彼のことは黄昏の五人の方が詳しいから、町にたどり着いてからのお楽しみだ」
そう言って俺達は御茶を濁す。
そして、行きに殲滅したはずなのに、なぜか湧いてくる盗賊達。
行きはカグラに殺されたが、弱いので捕まえる。
それで、改めて話しを聞くと、ニコ国の農民達だった。
収穫をすべて持って行かれるため、仕方なく副業として盗賊をやっていたらしい。
「俺たちゃ、飢えて死ぬのも、切られて死ぬのも一緒なんだ。家族が飢えて目の前で死んでいくのに何も出来なかった」
泣きながら告白する彼らのそんな言い分。その気持ちは、いたいほど気持ちは分かる。
でも此処で逃がせば、誰かが被害者になる。
彼らにとっては、犯罪奴隷として鉱山に行った方が幸せなのかもしれない。
家族に先だたれ、空腹を抱えながら死に場所を求めて生きているような感じだ。
説得をしながら、ズィクムントの町へ向かう。
食い物が足りず、結局幾人に狩りを手伝わせる。
意外と物覚えがよくて、役にたった。
彼らも、知らなかったことを覚えて、嬉しそうだ。
特に狩りにより、自分たちで獲物を獲るのは、希望となる。嬉しいようだ。
明らかに、歩みに元気が出た。
でも確か、盗賊で鉱山に行って帰ってきた奴は聞いたことがない。
盗賊をする前に知りあっていればねえ。
「残念だよ……」
―― その頃。
「お勤めが少し遅れたな」
「急ごう」
密偵である至高の極。
彼らは街道を、ニコ国に向けてひた走る。
調査対象の、ヨウシア国第一王女ロジーヌは十五歳。
ニコ国の、第一王女ヴァイオレットとは顔見知りで会うのを楽しみにしていた。
だがヴァイオレットは、十四歳の時に兄によって盗賊に売られて性奴隷状態。城の尖塔に閉じ込められていた。
ニコ国は王が変わっても、対外的な触れをせず。
まあ無論、周囲の反対勢力を粛正するために忙しかったのだが、不義理は結構周囲からの反感を買う。
それを理解したとき、彼らは不義理のフォローではなく、この園遊会で各国の要人を捕らえて、戦争に協力をさせようと画策をしていた。
だが義理を欠いた対応により、各国は様子見として代理を立ててきた。
「なんと言うことだ、これでは、計画通りにすすまんではないか」
「まあそう言わず。来ている人間も貴族ですし、ヨウシア国は第一王女です。どこか一国でも援助が来れば大助かりですよ」
エーバリがなにもせず、怒りまくる。現状、側近となった盗賊達が舵を切るやばい国となっていた。
戦費として徴収した税の大半は、自身達の贅沢に使われている。
そんな国へ、足を踏み入れた各国の代表だったが、えらく雑な扱いに困惑して、鋭い者達は来たという印だけ残して、さっさと逃げてしまう。
無論、代表できている者達、私兵が周囲を守っているため、おいそれと手も出せない。
そんな中で、ロジーヌはヴァイオレットが居ないことを不思議に思い、次女達に聞きまくり一人から情報を得てしまう。
無論、セフレノ=カルイヨン侯爵達はこの国の異常性を察知、姫にも釘を刺していたのだが、若く浅慮さが露呈。
お付きの者達を振り切って調査をするロジーヌ。
話を聞いた尖塔のドアに張り付き、中をうかがうが、ドアの隙間からでは薄暗い内部はハッキリ見えない。
素人丸出し、背後への警戒も無しで、中を覗くのに必死だった。
すると、物音に気がついたのだろう。内開きのドアがいきなり開き、部屋の中へと飛び込んでしまう。
中に居たのは、一糸まとわぬ男女達多数。
「お姫様、困りますなぁ。我が国の秘密を覗かれるとは、ヨウシア国はどういう教育を行っているのか」
当然の様にそうなり、ヴァイオレットと仲良く並ぶことになる。
思考を鈍らし、本能を呼び覚ますお香が焚かれた部屋。
ロジーヌは初めてだったはずなのに、すぐに快楽に沈むことになる。
「我が国の姫はいずこに?」
周囲を警備している兵達に問う。
「お姫様? さあ、調べはしますが、あなたたち護衛ではないのですか? 怠慢ですなぁ」
そう言って、ニコ国の兵士は答える。ニヤニヤと下品な笑いを浮かべながら。
どの口がと言いたくなる。彼らの態度は、自国の兵であれば粛正物だ。その位ひどい。
「ナニを言う、城の中で要人が行方不明になるなど、どういう警備体制なのだ? それともそなた達が姫を攫ったのか?」
「おやおや、自分たちの責任を我らに押しつけようとは、ヨウシア国は恐ろしいですなぁ」
そう言って、探すとは言ったがその様子は見られず。そして城内は、何処に行っても国家機密と言われて我らが入れない場所が多い。
恥を忍んで、セフレノ=カルイヨン侯爵は本国に使いを出す。
この国へ来て、二週間が経っていた。
そして、至高の極達は、やっと到着。
侯爵と会えたのは事の始まりから二ヶ月後だった。
冒険者の装束を解きニコ国の兵士や、付き人のような振りをして城内へと散らばる。
尖塔は流石に危険だとわかり、この時サバトの会場は城の地下へと移動をしていた。
宝物殿とかがある警戒厳重な区画。
だが、所詮は盗賊達。
酒や食事が奇妙なところに運ばれるのは、ブルーノ達によりすぐに見つかった。
配膳をする下女を眠らせて、ソフィーが成り代わる。
その扉を開けた瞬間ソフィーは一瞬目をつむる。その光景、人の欲望が丸出し。
獣のような者達が、食って飲みまぐわっていた。
テーブルの上に、トレイにのった食い物をのせるだけで、数人がソフィーに抱きつき体をまさぐられる。
なんとか失礼にならないように躱すと、外へ出る。
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部屋の中に姫様はいた。だけど、幾度か見かけた姫様では無くなっていた……
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