神の使徒は闇を走り、道化師は戯れる。ー 異世界、世直し道中記 ー

久遠 れんり

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魔神討伐

第114話 来襲

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 結局、大陸の中央部に位置するヴァーラ国が、この大陸の中央都市となる。

 山が一つ消え、広大な土地が王都として用意された。
 でもまあ、やったのはカグラだけど。
 薬草が採れなくなると苦言が出たため、秘匿情報を暴露。

 大規模な国立の薬草園が出来上がる。
 そうここに来て、黄昏の五人の特殊薬草独占が終焉を迎えた。
 主だった薬問屋は、新王都ヘと集まる。
 新王都は、莫大な富やチャンスを与えてくれる地を指す言葉。エル・ドラードと名付けられた。

 なんと言うか、適当というか日本の小市民的な名付け。
 そして、町は山を無くしたときにできた木材で家が造られた。
 カグラの趣味により、実に日本的なお城も建ち、住み始めて不便さに気がつく。
 そして、魔導エレベータを開発をする。

 当然城だから、向け穴も完備。
 そして耐震と免震にも気を使う。

 こうして、幾重にも堀が造られ水と自然に囲まれた美しい都市が出来上がった。そうカグラが黄金郷と名を付けたのに、一般的には水の都オルブス=アクエと呼ばれている。
 

 魔導と薬。そしてカグラによる奇蹟。
 魔導チューブが造られ、大陸に移動網が張り巡らされる。
 そう普通の鉄道だと、盗賊達が石を落としたり悪さをする。
 そのため線路自体をチューブで覆い。その中の温度を一定にする。
 上下で空気の流れを保ち、換気と走行補助を行う。

 それにより、都市間は最高時速五百キロをマークする。
 まあそれにより流通もスムーズにでき、色々な名産品が大陸内で回り始めて経済的にうまく行き始めた。

 そんな時、彼女がやって来た。
「お久しぶりね。あなた」
「いつ?」
 カグラは、自室で寛いでいた。

 スタージアとは昨日、進捗状況を連絡したところだった。
 小さくなっている、オレガノ=ハーブ侯爵と笑顔のスタージア。
 カグラの脇には、ディアナとヴァイオレット。
 ヴァイオレットははっと気がつき、ディアナの手を取り移動をする。
 礼を取り、すかさずご挨拶。
「ヴァイオレットと申します。ご縁があり、第二王妃として迎えられました」
「あー。ディアナ。第三です」

 その様子を笑顔で迎えるスタージア。
「そうよろしくね。それで、時間が経ったけれど御子は?」
 そう聞かれて二人は首を振る。
 カグラと居て、唯一の悲しみ。

「そう。残念ね」
 スタージアはそう言ったが、実際二人に会って、確信をする。
 精霊国へとたまに流れ着いてきた人間。
 その寿命は短い。

 最初の報告。それからたかだか数年で、彼女達は確かに歳を取っていた。
 そうその感情は哀れみを抱く。
 カグラはステキ。
 でも、彼女達が共に居られる時間は短い事を理解をした。

 子どもを三人産んで、彼女の発情期は流石に影を潜めた。
「しばらくは、お二人にお任せをしましょう」

 そうして、意外とあっさりと顔合わせは終わった。
 その後、本格的に始まった精霊国、カグラの治世はうまく行き始めた。

 一応、軍備を整えることはしていた。
 獣人の大陸や、魔人の大陸があることは分かっている。
 精霊国の大陸側は、義父達が守っているし、聖獣たちに伝わる門の事を知り、空間魔法の応用だとわかり、それを造る。
 まあ数年かかったが。

 そうした平和は、数年だった。

 そんな平和を壊したのが、獣人達だよ。
 また獣王の予選が始まり、他の大陸へ力試しに遠征を始めた。

 精霊国側では、海上で発見をして、追い返された。
 まあ看板もあったし被害は少なかった。

 その分愚か者の彼等は、魔人の大陸へと向かった。

 それを聞き、おとなしくしていた魔人。
 現魔王が怒る。
「我を慕う者達を害するのは許せんな」
 気持ちの問題で、荒ぶる心を押さえ込み、善政を行っていた。

 だが本来の破壊衝動は、まだ存在しているのだ。

 彼は喜び飛び出していく。

 そう悪魔達と戦ったときのように……

「リリス。あいつは何だ?」
「分からない。魔法が我らの魔法が一切効かない」
 闇を纏う魔法同士。
 御する力が強い方が魔法の主導を握ってしまった。

 後は体力勝負だが、その差は歴然だった。
 彼等は肉体から抜けた後、食われてしまった。
 そう封印をされたのでも、滅された訳でも無く、食われた。
 多分復活はできないだろう。

 獣人達は、異形の魔人族を狩ろうと上陸をしてきた。
 体力はほぼ同じ。
 魔法を使う分魔人族の方が強い。

 力試しには丁度良い。
 そう精霊国へいくと、聖獣相手には戦いをしかけて怒らせるだけで帰って来ていた。
 それとは違う。

 彼等は、農民相手に攻撃をしかけた。
 だが、地方で小規模集落を作っていたときとは違い、組織が大きくなり連携も取れて強くなっていた魔人族。

 かなり予想と違い苦戦をしていた。
 そこにやって来た魔王様。

 一気に蹴散らされる獣人達。

 そうそして、獣人の大陸があることを知る。

 彼は、ひとっ飛びで獣人の大陸へと渡り、獣人の大陸で、血の粛清が行われた。

 それはあっという間だった。
 獣王と言っても、強さの程度は知れている。

 彼等は、手を出してはいけない所に手を出したことを理解される前に滅ぼされることになってしまった。

 そして、魔王は精霊国のことも知る。
 そう彼は、やって来た。
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