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魔神討伐
第116話 死闘? の果てに
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何が起こった?
魔神君は困惑をした。
目の前で薄ら笑いをしていた相手。
そいつは、少し殴ったら動きを止めた。
だから追撃を行った。だがその瞬間に、なぜか自身に対して衝撃がやって来た。
無論、前世で喧嘩になれていたヒモロギは、気配を消して二人に近付いた。
死角から殴り、吹っ飛んだ魔神に飛びつき、すかさず馬乗りとなる。そして聖魔法を纏わせたこぶしを撃ち込んで、浄化を始める。
こいつの正体は知っている。
黒き意識体。世界のよどみだ。
世界に生物が居れば、必ずこいつは生まれる。
それは悪魔となったり、魔神となったり、大きくなれば世界に害悪となる。
闇が大きくなれば、世界はバランスを取ろうとして、白き存在を誕生させる。
それが一般に神とか勇者と呼ばれる存在。
そうつまり俺だ。
だが、親父。
なぜかこの世界には、カグラという存在が、俺の前にいた。
何が起こったのかは分からない。だが、この悪、こいつは俺の力で滅することができる。
そう思って調子に乗っていたら、声が聞こえ始めた。
「王を、王を殺さないでください」
「そうです。彼は、我々を守ろうとしてくれて」
空を飛んで追いかけてきた魔人族たち。
この状況は、ヒモロギにも予想外。
他民族との戦闘は遠慮したい。
「どういう事だ?」
魔人族と話しを始める。
「この方は王なのです」
「そうです。我々の仲間をいきなり殺し始めた獣人達に怒り、彼等を追い詰めただけ。悪いのは彼等です」
そう言われると、なんとなく思い出す。獣人達全部ではないが、脳筋バカが戦闘に対して発情? をする時期がある。
そう精霊国も、彼等が無駄に聖獣たちを怒らせて、その被害をかぶった記憶がある。
だがしかし、闇が破壊以外の自我を持ち、国を治めるなど聞いたことがない。
ヒモロギが悩んでいると声が掛かる。
「王だというなら、様子を見よう。気を抜かなけりゃ大丈夫だという事が分かった」
殴られて、へにょにょになっていた親父の言葉。
「どの辺が大丈夫なんだよ?」
「まあ何とかなるだろ」
そう言って、意識が飛んでいた魔神を、魔人たちに連れ帰って貰った。
「さて問題は、獣人達だな」
そう此処から、俺達は話し合い、罰則を決めた。
「獣人族のくっころじゃない、復興は手伝おう。だがその後魔人国と精霊国に対し、被害の弁済を行え」
そう目の前にいたのが、妙に色っぽい女性騎士だったから、ついセリフを間違えた。
正規の騎士達は、魔神襲来でやられたらしく。貴族の子弟が臨時で役職に就いたようだ。
「突然やってこられて、何でしょうか?」
そう此処は獣人達の王都。
当然の言い分だが、避難民とは一応話したのだが……
「これはやはり、もう一回なのか?」
「でしょうね」
こそこそと、ヒモロギと話し合い、ユージーン達を呼ぶ。
彼等、一部の獣人に対して顔が利くというか、種族の上位互換であるようで、目の前に現れると獣人達はヘヘーとなる。
わざわざ彼等が来るのを待って、やり直す。
「精霊国の王。カグラだ。君達がいつも勝手にやって来て被害を受けた。さらに今回魔人国にまで迷惑をかけたそうじゃ無いか。復興は手伝ってやるが各国にかけた迷惑分を支払って貰う」
「えっ? 迷惑分? 支払い? 他国の王?」
なぜか偉そうだった彼女は、そう言いながらすごいスピードで後ずさっていった。
まあ追いかけるけどね。
カグラたちは彼女を追いかけ、話が通じそうな人達がいるところへやってきた。
王城の復興現場で、獅子系の獣人が現場監督をしていた。
「獣王様。お客様です。タコの方が怒っています。賠償です」
「あーん? たこだ?」
そう言って、じろりとこちらを見る。
そして、気がつく。
いつぞやに逃がして貰ったカグラ。
テメライオス=モーホーは思い出した。
こちらに帰って来て、虎族のミミちゃんは他の男と仲良くなっていて、振られたことをきっかけに彼は覚醒をした。
獣王候補へと躍進して、偉くなっていた。
そんな折りに魔神の来襲。
獣人達は、けちょんけちょんに蹴散らされた。
「獣王弱!!」
そう不甲斐ない獣王を見放し、一度は王都から逃げ出した。
その後、王都の復興。
そこでは、単なる脳筋は役にたたなかった。
それでまあなぜか、気がつけばテメライオスがトップになった。
彼は今度の獣王試験から、筆記を入れようと心に決めた。
まあそれは良い。
「カグラ王様ですか?」
「そうだ」
「あの時は、お世話になりました」
とまあ話はトントンと進み、講和。
まるで未開の地だった獣人国に文明が入る。
そう気がつけば、世界は二分化されたが、魔人国ともそんなに関係は悪くない。
魔神が封じられていたのが原因で、吹きだしていた瘴気も、彼が復活をして噴出が止まった。
そのために、植生なども他の大陸とかと同じようになってきた。
エリザヴェータコスチュトキナという世界。主星ゲラーシモヴナはその年、条約がなされ一つとなった。
あの後再び会った魔神は、内側から浄化されているのか随分と弱くなっていた。
そう人々に頼られ、願われる事により。きっと彼の存在意義を削っているのだろう。
それでも彼は、魔人族との共存を彼は選択したようだ。
数年の内に、各大陸の人々は交流しあい、混血をしていく。
そう、この世界に平和が訪れた様である。
ただ時間という物は、平和のためには友好であったが、生物にとってはひどく残酷な物。
見知った者達は、抜け落ちるように世界から消えていく。
そう、ディアナとヴァイオレットも例外ではない。
カグラにとって、最初で最後である、ヒト族の王妃達。
彼女達もまた、その短い生涯を閉じ、見送られることとなる。
「あなたは、いつまでも若いまま。ズルいわね。でも…… …… 幸せだったわ。ありがとう」
二人共が笑って、そんな事を言って旅立った。
口ごもった言葉は、おそらく手にすることができなかった子どもだろう。
ヒモロギだけではなく、コノハナやサクヤを可愛がってくれた。
多分後、カグラの寿命は数百年はあるだろう。
彼がいる間、おそらくこの世界に平和は続く。
そう、何かがあれば、非常識な王が目を光らせて、嬉しそうに介入をしてくるから。
「こら。めっ。良い子にしていないと、怖い王様が来るわよ……」
そんな言葉が出るくらい。
--------------------------------------------------------------
お読みくださり、ありがとうございました。
本当は、五月中に終わる予定でしたが、思ったより伸びました。
当初のプロットはもっと世直しをしていたのですが、話がこんがらがるし整合性がとれなくて断念しました。ではまた、別のお話で。
魔神君は困惑をした。
目の前で薄ら笑いをしていた相手。
そいつは、少し殴ったら動きを止めた。
だから追撃を行った。だがその瞬間に、なぜか自身に対して衝撃がやって来た。
無論、前世で喧嘩になれていたヒモロギは、気配を消して二人に近付いた。
死角から殴り、吹っ飛んだ魔神に飛びつき、すかさず馬乗りとなる。そして聖魔法を纏わせたこぶしを撃ち込んで、浄化を始める。
こいつの正体は知っている。
黒き意識体。世界のよどみだ。
世界に生物が居れば、必ずこいつは生まれる。
それは悪魔となったり、魔神となったり、大きくなれば世界に害悪となる。
闇が大きくなれば、世界はバランスを取ろうとして、白き存在を誕生させる。
それが一般に神とか勇者と呼ばれる存在。
そうつまり俺だ。
だが、親父。
なぜかこの世界には、カグラという存在が、俺の前にいた。
何が起こったのかは分からない。だが、この悪、こいつは俺の力で滅することができる。
そう思って調子に乗っていたら、声が聞こえ始めた。
「王を、王を殺さないでください」
「そうです。彼は、我々を守ろうとしてくれて」
空を飛んで追いかけてきた魔人族たち。
この状況は、ヒモロギにも予想外。
他民族との戦闘は遠慮したい。
「どういう事だ?」
魔人族と話しを始める。
「この方は王なのです」
「そうです。我々の仲間をいきなり殺し始めた獣人達に怒り、彼等を追い詰めただけ。悪いのは彼等です」
そう言われると、なんとなく思い出す。獣人達全部ではないが、脳筋バカが戦闘に対して発情? をする時期がある。
そう精霊国も、彼等が無駄に聖獣たちを怒らせて、その被害をかぶった記憶がある。
だがしかし、闇が破壊以外の自我を持ち、国を治めるなど聞いたことがない。
ヒモロギが悩んでいると声が掛かる。
「王だというなら、様子を見よう。気を抜かなけりゃ大丈夫だという事が分かった」
殴られて、へにょにょになっていた親父の言葉。
「どの辺が大丈夫なんだよ?」
「まあ何とかなるだろ」
そう言って、意識が飛んでいた魔神を、魔人たちに連れ帰って貰った。
「さて問題は、獣人達だな」
そう此処から、俺達は話し合い、罰則を決めた。
「獣人族のくっころじゃない、復興は手伝おう。だがその後魔人国と精霊国に対し、被害の弁済を行え」
そう目の前にいたのが、妙に色っぽい女性騎士だったから、ついセリフを間違えた。
正規の騎士達は、魔神襲来でやられたらしく。貴族の子弟が臨時で役職に就いたようだ。
「突然やってこられて、何でしょうか?」
そう此処は獣人達の王都。
当然の言い分だが、避難民とは一応話したのだが……
「これはやはり、もう一回なのか?」
「でしょうね」
こそこそと、ヒモロギと話し合い、ユージーン達を呼ぶ。
彼等、一部の獣人に対して顔が利くというか、種族の上位互換であるようで、目の前に現れると獣人達はヘヘーとなる。
わざわざ彼等が来るのを待って、やり直す。
「精霊国の王。カグラだ。君達がいつも勝手にやって来て被害を受けた。さらに今回魔人国にまで迷惑をかけたそうじゃ無いか。復興は手伝ってやるが各国にかけた迷惑分を支払って貰う」
「えっ? 迷惑分? 支払い? 他国の王?」
なぜか偉そうだった彼女は、そう言いながらすごいスピードで後ずさっていった。
まあ追いかけるけどね。
カグラたちは彼女を追いかけ、話が通じそうな人達がいるところへやってきた。
王城の復興現場で、獅子系の獣人が現場監督をしていた。
「獣王様。お客様です。タコの方が怒っています。賠償です」
「あーん? たこだ?」
そう言って、じろりとこちらを見る。
そして、気がつく。
いつぞやに逃がして貰ったカグラ。
テメライオス=モーホーは思い出した。
こちらに帰って来て、虎族のミミちゃんは他の男と仲良くなっていて、振られたことをきっかけに彼は覚醒をした。
獣王候補へと躍進して、偉くなっていた。
そんな折りに魔神の来襲。
獣人達は、けちょんけちょんに蹴散らされた。
「獣王弱!!」
そう不甲斐ない獣王を見放し、一度は王都から逃げ出した。
その後、王都の復興。
そこでは、単なる脳筋は役にたたなかった。
それでまあなぜか、気がつけばテメライオスがトップになった。
彼は今度の獣王試験から、筆記を入れようと心に決めた。
まあそれは良い。
「カグラ王様ですか?」
「そうだ」
「あの時は、お世話になりました」
とまあ話はトントンと進み、講和。
まるで未開の地だった獣人国に文明が入る。
そう気がつけば、世界は二分化されたが、魔人国ともそんなに関係は悪くない。
魔神が封じられていたのが原因で、吹きだしていた瘴気も、彼が復活をして噴出が止まった。
そのために、植生なども他の大陸とかと同じようになってきた。
エリザヴェータコスチュトキナという世界。主星ゲラーシモヴナはその年、条約がなされ一つとなった。
あの後再び会った魔神は、内側から浄化されているのか随分と弱くなっていた。
そう人々に頼られ、願われる事により。きっと彼の存在意義を削っているのだろう。
それでも彼は、魔人族との共存を彼は選択したようだ。
数年の内に、各大陸の人々は交流しあい、混血をしていく。
そう、この世界に平和が訪れた様である。
ただ時間という物は、平和のためには友好であったが、生物にとってはひどく残酷な物。
見知った者達は、抜け落ちるように世界から消えていく。
そう、ディアナとヴァイオレットも例外ではない。
カグラにとって、最初で最後である、ヒト族の王妃達。
彼女達もまた、その短い生涯を閉じ、見送られることとなる。
「あなたは、いつまでも若いまま。ズルいわね。でも…… …… 幸せだったわ。ありがとう」
二人共が笑って、そんな事を言って旅立った。
口ごもった言葉は、おそらく手にすることができなかった子どもだろう。
ヒモロギだけではなく、コノハナやサクヤを可愛がってくれた。
多分後、カグラの寿命は数百年はあるだろう。
彼がいる間、おそらくこの世界に平和は続く。
そう、何かがあれば、非常識な王が目を光らせて、嬉しそうに介入をしてくるから。
「こら。めっ。良い子にしていないと、怖い王様が来るわよ……」
そんな言葉が出るくらい。
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お読みくださり、ありがとうございました。
本当は、五月中に終わる予定でしたが、思ったより伸びました。
当初のプロットはもっと世直しをしていたのですが、話がこんがらがるし整合性がとれなくて断念しました。ではまた、別のお話で。
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