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第五章 ホミネス=ビーバレで再編は進む
第94話 伝説のリッチ
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リッチは、悩んでいた。
餌は居るが、障壁を破れない。
長年、自身で魔術を探求し、それこそ、この世で最高だと自負をしていた。
だが、目に前にある障壁は、入るときには存在すら感知できなかった。
それが、いざ出ようとすると、物理と魔力。そして聖魔法すら感じて近づけない。
「これは一体? しばらく籠もっている間に、世は進化をして……」
もしや、わが知識は、遅れたものとなったのではないか?
そんな思いが、頭をよぎる。
「えっ? 囚人が謎の変死?」
「その様です。目撃者が言うには、黒き衣を纏った。たぶん、魔導者が行った仕業というのですが…… あの奥にはリッチが住んでいると、魔王国では常識なんですよね」
エリサベトが報告がてら、すり寄ってくる。
「魔王の見解は?」
「えっ。そんなもの聞いていません。旦那様がちょいちょいで、行ったほうが安全ですし。セルビリでは、相手がリッチの場合、力不足です。やられるのがおちですよ」
「そうなのか?」
「ええ。でっお願い事が。私もちょっとだけ」
「分かった」
そう言った瞬間、エリサベトが女の顔になる。
だが。
「うぎゃあ。旦那様ちょっとだけで、いいんあうっデスう」
とりあえず、白目を剥くまでかわいがった。
最近、おかしくて。触れるだけで相手がひっくり返る。
どこかの下着職人のようだ。
「行って見るか」
ふらっと、転移の石板へ向かうと、感知をしたのだろう。すっと、フレイヤが横に並ぶ。
「今日はどこで、何をなさいます?」
「うん? この前造った収容所。つまらないかもよ」
そう言うと、フレイヤがふと目を伏せる。
「いいえ、私も参ります」
何かを見たようだ。
二人で、収容所へ向かう。
「うん? 何だこの気配」
来た瞬間に、漂う違和感。
「迷った魂がいますわね」
「迷った魂?」
「ええ。終わっている肉体に、術を施し。魂を定着させる。聖魔法で浄化をすれば、術式ごと破壊できるでしょう。ですが、こうなると、魂が輪廻に戻るかは不明ですわね」
そう言っていると、向こうも見つけたようだ。
ふわっと飛んできて、俺に取り付く。
「おっ、何か力を持って行かれるな」
「生命エネルギーですね。普通の人間だと、一瞬で絶命をするでしょう。ですが、あなたは特別。面白いので、周りを囲みます。思いっきり、ぶち込んでやってください」
そう言ってフレイヤが、面白そうな。何かを期待する感じで、人をけしかける。
まあ、何がなくても、取り付いているから。
「じゃあ。強制循環」
大地から、力を吸い上げて、循環をさせる。
この時、精霊国にある世界樹が光を発し始める。
長であるエルネスティが、あわて始める。
だが、予想に反し。一気に葉が茂り、枝を伸ばす。
「何じゃ一体?」
「何じゃ一体? おぬし何者じゃ。むっ周りが。このシールドは…… むっ。やめ。ああっこれはっ」
俺の足下に、黒いモンスターが落下をする。
世界樹により浄化された、星のエネルギーがシールド内に充満をする。
「くはっ、らめっ。存在が。があぁ」
なんだか陸揚げされた、魚のようにビッタンバッタンし始めた。
気のせいか、骨だけだったのに膨らんできた?
「聖魔法の究極ですわね」
フレイヤが、ニヤニヤとみている。
死人の再生。
普通の術者なら、一〇人以上居て、やっと一人を蘇らせることが出来ると、後で聞いた。
それを、面白そうと言うだけで、人にやらせる女神。
それはどうだ?
骨からじいさんに? いやばあさんに。
ばあさんが、熟女を経て美人さんへ。
「どうやって止めるんだ?」
「循環をやめれば、良いのでは?」
「あっそうか」
そして止めたら、同じ年頃になった。
「くっ。はあはあっ。この体の蕩けそうな快楽。恐ろしい」
そう言ってまだ、ぶるぶるしている。
「はあうっ」
そうして大きく痙攣して、いったようだ。
「すみません。あなた誰?」
「うむっ。私はナジェジュダ=シュチェ=トコヴァー。プラネータ=デェ=ドムン最凶の魔道士」
「おおう。自分で、最凶の魔道士とか痛い人だな」
はっ。つい口に出してしまった。
彼女は、がーんと言う顔をして驚き。思いっきり落ち込む。
「ああ。悪気はなくて、つい本当のことを。あっ。いやすまない」
「ええい。よい。それよりも、どうして私は、受肉をして…… うん? 体が若い? これは一体?」
リッチ。いや、ナジェジュダさんはまじまじと、受肉をした体を見る。
「なんだか聖魔法らしいよ」
俺が軽い感じで言ったが、それを聞いて、思いっきり顎が外れそうになるナジェジュダさん。
「それは、禁呪と呼ばれた、究極魔法。ザオリいや、レバテレ=アド=モルトウス。まさか、使い手がいるとは」
「珍しいのか?」
「私が知っているのは、一人を蘇らせるために、二〇人は生け贄が必要。さらに元とは人柄が変わってしまう。出来損ない魔法だった。あなたは一体?」
すっごく美人さんの懇願。
「あっ。私。リギュウムディの王。山川望と言います」
「えええっ。リギュウム? 王? 王都は蘇ったのか?」
うん? 王都は蘇った?
「ええ。一応。えっと来ます?」
そう聞くが、ものすごく落ち込んでいるようだ。
手を取り、引き起こそうとすると、無用な能力が発動する。
「ひゃうううぅ。ああっ」
あっ。またガクガクし始めた。
ガクガクするのは良いが。
ボロいマント一枚で、下はまっぱな美人さん。
ガクガクが止まらないようなので、肩に担いで王国へ帰る。
フレイヤがにやついていたのは、きっと、これを知っていたな。
餌は居るが、障壁を破れない。
長年、自身で魔術を探求し、それこそ、この世で最高だと自負をしていた。
だが、目に前にある障壁は、入るときには存在すら感知できなかった。
それが、いざ出ようとすると、物理と魔力。そして聖魔法すら感じて近づけない。
「これは一体? しばらく籠もっている間に、世は進化をして……」
もしや、わが知識は、遅れたものとなったのではないか?
そんな思いが、頭をよぎる。
「えっ? 囚人が謎の変死?」
「その様です。目撃者が言うには、黒き衣を纏った。たぶん、魔導者が行った仕業というのですが…… あの奥にはリッチが住んでいると、魔王国では常識なんですよね」
エリサベトが報告がてら、すり寄ってくる。
「魔王の見解は?」
「えっ。そんなもの聞いていません。旦那様がちょいちょいで、行ったほうが安全ですし。セルビリでは、相手がリッチの場合、力不足です。やられるのがおちですよ」
「そうなのか?」
「ええ。でっお願い事が。私もちょっとだけ」
「分かった」
そう言った瞬間、エリサベトが女の顔になる。
だが。
「うぎゃあ。旦那様ちょっとだけで、いいんあうっデスう」
とりあえず、白目を剥くまでかわいがった。
最近、おかしくて。触れるだけで相手がひっくり返る。
どこかの下着職人のようだ。
「行って見るか」
ふらっと、転移の石板へ向かうと、感知をしたのだろう。すっと、フレイヤが横に並ぶ。
「今日はどこで、何をなさいます?」
「うん? この前造った収容所。つまらないかもよ」
そう言うと、フレイヤがふと目を伏せる。
「いいえ、私も参ります」
何かを見たようだ。
二人で、収容所へ向かう。
「うん? 何だこの気配」
来た瞬間に、漂う違和感。
「迷った魂がいますわね」
「迷った魂?」
「ええ。終わっている肉体に、術を施し。魂を定着させる。聖魔法で浄化をすれば、術式ごと破壊できるでしょう。ですが、こうなると、魂が輪廻に戻るかは不明ですわね」
そう言っていると、向こうも見つけたようだ。
ふわっと飛んできて、俺に取り付く。
「おっ、何か力を持って行かれるな」
「生命エネルギーですね。普通の人間だと、一瞬で絶命をするでしょう。ですが、あなたは特別。面白いので、周りを囲みます。思いっきり、ぶち込んでやってください」
そう言ってフレイヤが、面白そうな。何かを期待する感じで、人をけしかける。
まあ、何がなくても、取り付いているから。
「じゃあ。強制循環」
大地から、力を吸い上げて、循環をさせる。
この時、精霊国にある世界樹が光を発し始める。
長であるエルネスティが、あわて始める。
だが、予想に反し。一気に葉が茂り、枝を伸ばす。
「何じゃ一体?」
「何じゃ一体? おぬし何者じゃ。むっ周りが。このシールドは…… むっ。やめ。ああっこれはっ」
俺の足下に、黒いモンスターが落下をする。
世界樹により浄化された、星のエネルギーがシールド内に充満をする。
「くはっ、らめっ。存在が。があぁ」
なんだか陸揚げされた、魚のようにビッタンバッタンし始めた。
気のせいか、骨だけだったのに膨らんできた?
「聖魔法の究極ですわね」
フレイヤが、ニヤニヤとみている。
死人の再生。
普通の術者なら、一〇人以上居て、やっと一人を蘇らせることが出来ると、後で聞いた。
それを、面白そうと言うだけで、人にやらせる女神。
それはどうだ?
骨からじいさんに? いやばあさんに。
ばあさんが、熟女を経て美人さんへ。
「どうやって止めるんだ?」
「循環をやめれば、良いのでは?」
「あっそうか」
そして止めたら、同じ年頃になった。
「くっ。はあはあっ。この体の蕩けそうな快楽。恐ろしい」
そう言ってまだ、ぶるぶるしている。
「はあうっ」
そうして大きく痙攣して、いったようだ。
「すみません。あなた誰?」
「うむっ。私はナジェジュダ=シュチェ=トコヴァー。プラネータ=デェ=ドムン最凶の魔道士」
「おおう。自分で、最凶の魔道士とか痛い人だな」
はっ。つい口に出してしまった。
彼女は、がーんと言う顔をして驚き。思いっきり落ち込む。
「ああ。悪気はなくて、つい本当のことを。あっ。いやすまない」
「ええい。よい。それよりも、どうして私は、受肉をして…… うん? 体が若い? これは一体?」
リッチ。いや、ナジェジュダさんはまじまじと、受肉をした体を見る。
「なんだか聖魔法らしいよ」
俺が軽い感じで言ったが、それを聞いて、思いっきり顎が外れそうになるナジェジュダさん。
「それは、禁呪と呼ばれた、究極魔法。ザオリいや、レバテレ=アド=モルトウス。まさか、使い手がいるとは」
「珍しいのか?」
「私が知っているのは、一人を蘇らせるために、二〇人は生け贄が必要。さらに元とは人柄が変わってしまう。出来損ない魔法だった。あなたは一体?」
すっごく美人さんの懇願。
「あっ。私。リギュウムディの王。山川望と言います」
「えええっ。リギュウム? 王? 王都は蘇ったのか?」
うん? 王都は蘇った?
「ええ。一応。えっと来ます?」
そう聞くが、ものすごく落ち込んでいるようだ。
手を取り、引き起こそうとすると、無用な能力が発動する。
「ひゃうううぅ。ああっ」
あっ。またガクガクし始めた。
ガクガクするのは良いが。
ボロいマント一枚で、下はまっぱな美人さん。
ガクガクが止まらないようなので、肩に担いで王国へ帰る。
フレイヤがにやついていたのは、きっと、これを知っていたな。
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