管理世界が発展しないから、お前ら何とかしろと言う駄女神

久遠 れんり

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第1章 壊された生活と異世界の村

第14話 石を訪ねて…… 4里くらい?

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 がりがりと、道の拡幅を行っていて、コンクリートの必要性が実感された。
 崩れそうな崖は、安全の為。必要十分な所まで、切り広げる必要があり。時間が掛かる。

 石灰石と、火山灰? 粘土?だったかな? コンクリートを混ぜるときの比率はセメント1:砂3:砂利6だと覚えているのに、セメントの原料がうろ覚えだ。

 うーん、誰かに聞いてみよう。

 後は燃料。
 蒸気の後は、化石燃料と言うのが歴史だが。
 酒があるから一気にアルコールへ振ってもいいだろう。
 エンジンの構造は、覚えているのでテストしてみよう。


 村に帰り聞いてみると、皆石灰は必要と理解しているが、後は焼き物の砕いたものとか鉄とかの意見が出た。時間はあるし、試してみようと言うことになった。

 夜。メモ代わりに、木板へ。墨で思いついたことを書いていると、川瀬さんがやって来た。

「ろうそくの明かりで、そんなことをしていると、目が悪くなるわよ」
 と、言って来た。
「そうなんだけどね、忘れる前に書いておかないとね」
 とだけ答える。

 板切れを見ていて、
「石灰石なら、ここから15キロ位の所から、カルスト台地があるわよ」
 と教えてくれた。
 前回探査に出たときに。多数の縦穴の空いた土地を通ったらしい。

 川瀬さんがこの所。
 毎日来ているが、話し合いの結果は教えてくれないし、どういうことになったんだろう。
 当然そんなことは聞けないけどね。



 数日時は戻り、彼女たちの話し合い。

 ゴブリンさんからの教えをもらった晩。
 4人で集まり、内緒話をしていた。
 川瀬さんが、口を開く。
「えーと。私は、川瀬久美。3年目、村で1年仕事をして、次の1年は皆さん知っての通り調査隊に参加したの」
 皆が頷く。
 
「それで、今日からここに置いて欲しいのと、佐藤君の事」
「佐藤君の事?」
 長瀬さんが答える。

「そう。みんな、彼とエッチしているでしょう」
 顔をそらす二人と、驚く広瀬さん。

「それでね。この世界で暮らす以上、状況としては非常に命が軽くてね。特に日本に居た意識が残っているから、男の人は、危険な所へは自分から確かめに行くものだから、先に死んじゃうのよ。今回の調査だって、7人亡くなった内の、5人は男の人なの」

「じゃあ、この村にと言うか、別の調査隊を入れても。男女バランスが悪いのね」
 と瀬尾さんが質問する。
「でも女性でも、この状態で出産と考えると、リスクは高いわよ。これから先を考えると。男女比がどうなるかなんて、わからないでしょう?」

 川瀬さんが、ため息をつく。
「今あなたの言った、出産リスクだって。子供を残して自分が死ぬリスクがあるのよ。その時、後に残った子供はどうするの? ここは強制的に若くされて送り込まれたせいで、血のつながった。頼れる親が一切存在していないの。父子家庭でも仕事中頼れないの」
 
「それは、そうだけど ……やはり」
 川瀬さんが、追い打ちをかける。
「すでに、あなたと。長瀬さん辺りは、彼と寝たんでしょう?」
 瀬尾さんが、びくっとする。

「いやそうだけどぉ。勢いがあってしちゃったけど。ちょっと後悔もあるのよ」
 瀬尾さんが、ごにょごにょ言っている。

「聞いたところだと、彼は現役の高校生のようだけど、発想も知識も持っている。私は気にったの。リスクも考えて、早めに子供を産んで子育てしたいの」
 それを聞いて黙り込む皆。
「そうね私達みたいに、体だけが若返ってこっちに来た偽物より、初々しいのよね」
「私は、元も若かったけどね」
 と川瀬さんが言い放つ。

「なっ。それは。今となっては、分からないからってずるいわよ」
 口々に、私も若いと言い始める。
「静かにしないと隆ちゃん? が起きるわよ」

「まあ。と言うことで。ここでは、一夫一婦なんて言うことは、言っていられないの。彼が受け入れてくれる以上。早い者勝ちよ。それに彼は、やり捨てなんてしなさそうだし。ここでは理性を持って大事にしてくれる人は希少よ。現実問題。警察もいないから嫌がっても、犯されて殺されても、行方不明で終わる可能性が高いわ」

 そこで、広瀬さんが口を開く。
「私もお願いしよう。元の年が頭にあったのだけど、遠慮するだけ損するみたいだしねぇ」
 そう言って、長瀬さんと瀬尾さんをにらむ。
 睨まれた2人は、照れ笑い。



 私は広瀬佳奈美38歳。大学を出た後、IT系の会社のWEBデザインをする部署で仕事を覚えた。元々はデザインが専門で、会社に入ってからプログラミングを覚えた。そのため、人より頑張って。人より早く10年経ってチーフ。
 まあ主任ではなく、係長待遇ね。 
 けれど、やはり会社の方針もあって、ある程度の制限もあるし、自由に作れない。

 いいえ。今となっては言い訳ね。
 自分には出来たのにと言う意識が、態度に出たのか。
 私は部下との折り合いが悪く、独立をした。

 でも当然、技術系ではなく、もとはデザインが専門。
 独立して、今まで気にしていなかったHTMLサーバ? DNS登録? FTP?何よそれ? 顧客と話をしに行くと、それは必須で。話についていけない。お金もないのに専門家を雇う。それでも、毎年のように変わるHTMLコード。セキュリティの為にsが付く? SSHと公開鍵? 知らない間にhttpsになったり、SFTPになったり。ブラウザのメインストリームが変わったから、コードを変更? Scriptは良いけれど、Javaはもう駄目? CSSやCGIは分かっても、PHP・Ruby……。私はくじけた。……3年持たず会社をたたみ、派遣に登録をした。

 少なくない借金もある。
 そんなことを5年も続け、とぼとぼと派遣先から帰る途中。
 事故に遭ったらしい。
 ここに来た皆に話を聞き、と言っても知っていたのは佐藤君だけ。
 彼は振り返った瞬間。
 車に潰されたと言っていた。
 事故なら、私の保険が下りるから。
 親には、迷惑が掛かることはないと安心した。


 そんなことが、話し合われたことを知らない普人は、まずポットスティルを組み立てて、高濃度のエタノール製造と、構造の簡単な。ディーゼル機関を作る計画を立てる。
 この計画により、作られたアルコールの半分は、普人の意図に反して瓶(かめ)に詰められ、熟成されることとなる。

 米焼酎。『初めての孤独』と名がつけられた。
 賛否はあったよ、うん。

 そして翌朝。
 川瀬さんに案内を頼んで、カルスト台地を見に出発した。
 往復30キロ位と思ったが、道なき道と、起伏にてこずり。
 2泊3日の行程となった。
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