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宣戦の書
宣戦の書(2)
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真っ赤な炎に包まれる小さな村。
家は無惨にも焼け落ち、雲一つない快晴の青空には黒煙が天高く立ち昇っていく。
村一帯に物が焼き焦げる独特の臭いが充満するそんな中、頭から大量の血を流す巫女がいた。
地面にしゃがみ込み、呼吸をする度に肩を大きく上下させるその姿は見るからに苦しそうで、どうにか意識を保っているようだ。
「母上ッ!」
突然、灼熱の炎の中から少女が現れ巫女へと駆け寄った。
「乙葉、何故戻ってきた!?」
「母上と父上を置いて逃げるなんて、私にはできませんッ!!!」
目に溢れんばかりの涙を浮かべている少女の名は乙葉乙葉。
巫女の娘で、人一倍努力家で正義感が強く、つい昨日十の年を迎えたばかりだ。
少し前に村人達と共に避難したはずだというのに、今は血を流す母の隣で溢れ落ちそうな涙を必死に堪えている。
「ならん、お主は逃げなさい。」
「嫌ですッ!母上、父上は何処に!?」
「ぐわあぁああああッ!!!!!!!」
男の痛々しい悲鳴が聞こえ振り向くが、あるのは激しく燃え盛る業火だけでそれ意外は何も確認する事が出来ない。
「父上ッ!?」
「……どうやら、限界だな。」
「えっ?」
巫女は持ってい弓を地面に突き刺し、血と煤で汚れた美しい顔を激痛で歪めながら、弓を支えにしてゆっくりと立ち上がった。
「母上!動いたら傷が!!」
「乙葉……。」
優しい呼びかけに少女は顔を上げる。
「村のみんなの事を頼む。
晴大と姉弟仲良くな。大好きだよ、乙葉。」
今置かされている状況を忘れてしまうほどの優しい笑顔。
その優しい母の笑みに、少女は引き込まれていくような不思議な感覚に捕らわれていく。
刹那、巫女は全力で走り出した。
「母上ッ!」
少女は慌てて我に返り母に置いていかれまいと、まだ幼く短い足を必死に動かし後を追う。
しかし炎をまとう家が目の前に崩れ落ち、親と子を引き離すように道を塞いだ。
炎に埋もれ、徐々に見えなくなっていく母の後ろ姿。
「母上ッ!母上ーーーーッ!!!!!!!!!!!」
炎の海の中、少女の泣き叫ぶ声が響き渡る。
だがその声は、母へと届く事はなかった――…
.
家は無惨にも焼け落ち、雲一つない快晴の青空には黒煙が天高く立ち昇っていく。
村一帯に物が焼き焦げる独特の臭いが充満するそんな中、頭から大量の血を流す巫女がいた。
地面にしゃがみ込み、呼吸をする度に肩を大きく上下させるその姿は見るからに苦しそうで、どうにか意識を保っているようだ。
「母上ッ!」
突然、灼熱の炎の中から少女が現れ巫女へと駆け寄った。
「乙葉、何故戻ってきた!?」
「母上と父上を置いて逃げるなんて、私にはできませんッ!!!」
目に溢れんばかりの涙を浮かべている少女の名は乙葉乙葉。
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「ぐわあぁああああッ!!!!!!!」
男の痛々しい悲鳴が聞こえ振り向くが、あるのは激しく燃え盛る業火だけでそれ意外は何も確認する事が出来ない。
「父上ッ!?」
「……どうやら、限界だな。」
「えっ?」
巫女は持ってい弓を地面に突き刺し、血と煤で汚れた美しい顔を激痛で歪めながら、弓を支えにしてゆっくりと立ち上がった。
「母上!動いたら傷が!!」
「乙葉……。」
優しい呼びかけに少女は顔を上げる。
「村のみんなの事を頼む。
晴大と姉弟仲良くな。大好きだよ、乙葉。」
今置かされている状況を忘れてしまうほどの優しい笑顔。
その優しい母の笑みに、少女は引き込まれていくような不思議な感覚に捕らわれていく。
刹那、巫女は全力で走り出した。
「母上ッ!」
少女は慌てて我に返り母に置いていかれまいと、まだ幼く短い足を必死に動かし後を追う。
しかし炎をまとう家が目の前に崩れ落ち、親と子を引き離すように道を塞いだ。
炎に埋もれ、徐々に見えなくなっていく母の後ろ姿。
「母上ッ!母上ーーーーッ!!!!!!!!!!!」
炎の海の中、少女の泣き叫ぶ声が響き渡る。
だがその声は、母へと届く事はなかった――…
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