43 / 45
終話 ツキと黒狐さま
最好の作品
しおりを挟む
寝室に案内されたのは、始めてだった。
クイーンサイズの、黒く、やや角張ったベッドが置かれている。頭部側には、ホテルのような間接照明がついていた。ベッドには、枕が二つ置かれている。頭から肩にかけて、緩やかにカーブを描くデザイン。黒狐さまの睡眠の質へのこだわりが、にじみ出ている。
ベッドサイドには、焦げ茶色の、コの字型のサイドテーブルがある。木製で、シンプルながらも気品あふれる家具だった。
ベッドサイドに腰掛けるよう進められた。マットレスはかなり弾力がある。
いつも、この部屋で黒狐さまは寝ているのか。生々しい想像が脳裏に浮かび、首を左右に振った。
「めっちゃくちゃ寝具にこだわってますね」
「平安時代は、畳に寝ようが、腰がぶっ壊れる前に寿命が来るから問題なかったのじゃ。しかし、今は人生百年時代。普通の生活を送っていようと、いつか腰にガタがくる。じゃから、枕もマットレスも、腰痛予防用のものを使っておる」
「まるで老……」
言い切る前に、手をつねられた。痛い。
黒狐さまは、あきれ気味にため息をつきつつ、隣に座った。
「久しぶりに、小説について話したい」
思わず身構えてしまう。黒狐さまの指摘はうれしいが、同時に恐怖でもあったからだ。
「何か気になることがあるのか? 言ってみ」
うろたえつつも、ツキはうなずいた。
「もしかして、人物・感情・心理描写についての話ですか?」
「それはもう気にしておらん」
「え?」
「今のおぬしは、女性を美化しておらんから、醜い部分や、未熟な部分もちゃんと描写できるじゃろう。他者を大切にしようとすれば、他者を知ろうという気も起きるもの。自分の怒りや憎悪といった負の感情も、押し殺すことなく向き合えるようになった。きっと、見違えるようによくなるはずじゃ」
思いも寄らないサプライズ。まさか、自分の考え方の変化が、小説描写に直結するとは思わなかった。
「それよりも、もっと根っこの問題じゃ」
「根本?」
「ツキの願いについてじゃ」
「願い!?」
再びサプライズ。
「実は、ざっとだが読んだぞ。おぬしの作品、全部」
「えぇ!?」
まさかの三度目、サプライズ。
「念のため勘違いしないように前置きしておく。これから話すのは添削でもアドバイスでも何でもない。おぬしの作品の一ファンとして、思いの丈をぶちまけるだけじゃ」
ファンとして! と、黒狐さまは強調した。
「作品は間違いなく、新しい順に面白くなっていると思う。実力はめきめきと上がっている。じゃが、わらわは、官能小説以外の作品の方が好きじゃ」
自分は久しく官能小説しか書いていない。一般文芸を書いていたのは、ずいぶん前の話だ
半分は、知識も分別もない状態で書いた物ばかり。もう半分は、長編を夢見た残骸たち。どちらにしても、読むに値しないものばかりのはずだ。
ツキが首をかしげると、黒狐さまが付け足した
「……ただし、最初に、わらわに見せてくれたものを、除いて」
「はいぃぃ?」
四度目のサプライズだった。さっきから驚きっぱなしだ。
あの性癖を理解できる人など、ほとんどいない。内容も、ヒロインをモノ扱いする、鬼畜外道モノである。コトに至るまでのストーリーも適当。
黒狐さまが、なぜそんな物を好むのか、甚だ疑問だった。何か共通点でもあるのだろうか
「一体なぜ?」
「一番最初、わらわが褒めたときのこと、覚えておるか?」
声が詰まってしまった。
そうだ、あのとき黒狐さまに褒められたもの。
あの作品にあって、最近のほかの作品にはないもの。
胸に、苦い思いが込み上がってきた。
「……熱意」
黒狐さまは、しばらく沈黙すると、ゆっくり口を開いた。
「正直に、話してもよいか。もし嫌だったら、いつでもいっておくれ」
「わかりました」
「初期の作品には、おぬしの願望が、投影されていた。幼女が暴力される場面。全能の恋人にちやほやされたい。かっこいい漫画や映画のまねごと。世の中もっとこうなったらいいのに、という不満や意見。好きな小説のIF。RPGの主人公になりたい。自己憐憫。嫌なやつをキャラに置き換えての復讐……」
まるでロマンスでも語るような、口調だった。
「それらが、貧弱な語彙、残念な文章力、クサイ台詞、助長な説明、むちゃくちゃな世界観、とってつけた場面、ちぐはぐなテーマ、血肉の通っていないキャラ、でたらめな構成、収拾がつかなくなったシナリオによって表現されていた」
「恥ずかしくて死にそうです」
文面だけ見れば、内容をけなしているようにしか受け取れない。
でも、黒狐さまは心の底から楽しげで、むしろ褒めているようだった。
「おぬしの言うとおり、かつてのおぬしは未熟じゃった。でも、自分の表現したいことを抑圧したりは、しなかった。わらわはそこが好きなのじゃ」
作者のエゴ。それは、ツキが真っ先に捨てたものだった。
自分の感性というものは、完璧に練った構成の前では、邪魔なモノでしかなかったからだ。客観的に面白いとされる要素を、合理的に組み立てる。
文体は、自分の好きな著者を真似れば何とかなる。集めた資料や、執筆のためにビジネス書を読むうちに、読解力と共に語彙力・文章力も自然と身につく。
ハイコンセプト、語らず見せるテーマ、個性的かつ魅力的なキャラクター。わかりやすい文章。共感、謎、葛藤、期待感、スリル、サスペンス、劇的な場面に、鮮やかな台詞。関心を掴む第一幕、緊張と期待の第二幕、満足を誘う第三幕。アイデア出し、ターゲット決め、プロット作り、執筆、推敲、投稿。おもしろい小説を作り出すために必要なことは、全て教科書に載っている。
面白さに、著者の意思は不要だ。
ツキは長い間、そう信じてきた。
「言いたいことを、読者が受け取りやすい形に、いったん曲げるのはいい。じゃが、今のおぬしの場合、曲げるどころか消しておる」
黒狐さまの言葉は、ツキの反対だった。自分の考えを否定されているような錯覚に陥る。何度も反対意見を言おうと思った。
「わらわの言う『熱意』とは、自分が許せること、譲れないもの、ほしいもの、あこがれるものといった、エゴじゃ。読者に対して『私の考えや性癖、欲望を理解してほしい』という激しい情動。過去のおぬしの作品からは感じたものが、今の作品からは感じられない。あったとしても、脚本術の教科書に載っていそうな、万人ウケするものにゆがめられてしまっておる。テーマも、キャラも、構成も、世界観も、何もかも!」
でも、しなかった。
『面白い作品を書きたい』のも本心だが、『自分の好きな作品を書きたい』というのも、嘘偽りのない気持ちだったからだ。
「まるで、子供の描いた独創的な絵を、画家の親が無難な絵に、描き直してしまったようじゃ。完成した作品は、確かにきれいじゃ。社会的に評価されて、発表会にも出せるかもしれん。でもそれは、子供が本当に描きたかった絵なのか?」
違う。断じて違う。
ツキは返事をする代わりに、首を横に振った。
「わらわが添削する度に、その傾向は強くなった。わらわに気に入られようと、ますますおぬし自身の心を殺した。今思えば、わらわの助言は、全くもって見当違いじゃった」
「そんなことありません」
ここは否定したかった。黒狐さまの指摘は、的を得ていた。
黒狐さまは、一瞬にニヤけた後、すぐに真顔に戻った。
「もし差し支えなかったら、教えてほしい。ツキはなぜ、官能小説など書きたいと思ったのじゃ」
「競合が少ない上、閲覧数が稼ぎやすいからです。ジュナイブルポルノを読み、分析した上で投稿する物好きと、ファンタジー小説を読み込んで小説を書く人。どっちが多いと思います?」
「前者だと思うのじゃ」
「そうでしょう。タイトルはあらすじを読ませるため。あらすじは、一行目を読ませるため。一行目は二行目を読ませるため。二行目は三行目を読ませるために存在します。つまらない小説に、存在価値は――」
「わらわが好きと思った作品に、存在価値がないと申すか?」
低いトーンで、黒狐さまは威圧してきた。久方ぶりに、瞳が桃色にきらめく。
「ごっ、ごめんなさい。まさか、そんなに思い入れがあるとは思わず」
「いや、こちらこそ、不快な思いをさせてしまいすまんかった」
深々と礼をしてから、黒狐さまは言った。
「改めて聞くのじゃ。ツキにはないのか。思い入れ」
「正直に言うと、ありません。過去の自分の文章を見ると、粗ばかりが目に入ります。未熟すぎて、正直見ていられません。すぐさまリライトしたくなる。まあ、新しい小説を書く方が建設的なので、しませんがね」
「キャラをリメイクするとき、原型がなくなるまで設定変更してしまうのも、そのせいか?」
「未熟な過去の設定を、引きずる理由はありません。キャラは常に改良されるべきなんです。っていうか、もう、過去作を見直すこと自体がつらくて仕方ないんです。自分の下らなさを、突きつけられているようで。実際キャラが、変更前より、よくなっているのは事実でしょう?」
「わらわは、変更前のキャラの方が思い入れ深いし、好きじゃった。好きだったキャラを、なかったことにされるのは、つらいのじゃ……」
ツキは顔を背けながら、眉毛を掻いた。
悲しそうな黒狐さまが、あまりにも痛々しかったからだ。
「技術を用いて小説を書くのは、決して楽しい作業では、ありません。壁に向かって野球をしているような感覚です。誰も見ておらず、返事もないのに、存在しない相手を想定して技巧を凝らす。いつか報われるかも、と思うにはあまりにも現実に裏切られすぎている」
ふとした瞬間、つい口ずさんでしまう。勉強しているときに。トイレにいるときに。下校中に。入浴中に。『面白い小説を書きたい』と。
四六時中、小説のことを考え、何か思いついたらすぐにメモする。
書きたいジャンルが見つかったら、図書館にこもる。
旅行中ですら、ネットにない情報を求め、五感をフル活用。
研究目的で興味もない名作映画を観ることもした。いいアイデアがあれば即座に転用。
一時期は狂ったように、ネット小説のテンプレばかりを収集していた時期もあった。
面白い小説を書くためなら、あらゆる努力をしたつもりだ。
でも、それが成果につながることは、ほとんどなかった。
「一体、何をやっているんだと、むなしくなることも、しょっちゅうです」
ツキは大きくのびをして、天井を見上げる。
「投稿した瞬間は、達成感でわずかにうれしくなる。『読まれるかも仕入れない』と、かすかに希望が見える」
そして、一気に力を抜き、うなだれた。
「でも、それも一瞬です。ネットでは、プロや若き天才、自分よりも経験豊富な大人、莫大な時間努力している秀才と同じ土俵で戦うことを強要されます。いくら読者のために、技巧を駆使しても素人の文など誰も読みません。閲覧数を見る度、SNSを眺める度、凄まじい無力感に襲われます。完全なる徒労。急激に書く気力が失われる。わずかな期待と、大きな落胆の繰り返し。その果てが未完の山です」
「それは、……キツイのぉ」
「長く書き続けるにしたがって、どうみても自分よりも創作期間が短い人たちが、どうみても自分の作品よりも面白い小説で、賞を取っていく。創作に携わっている時間に比例して、どんどん自信がなくなっていく。そうして、後戻りできなくなる頃にわかるんです。自分には文を書く才能がなかったって」
黒狐さまは、こちらの肩に手を添えてきた。
ツキは、ありがたく思いつつも、愚痴を止められなかった。
「人はざっと見積もって1分に400字読めます。字数÷400に読者数を書けた数が、読者から奪った分数。映画やアニメ、漫画といった媒体に比べて、小説を読むのには時間がかかる。時間がかかるということは、他人の人生をたくさん搾取するということ。つまらない小説は、存在するだけで、罪なんです」
「おぬしは、つまらない作品をたくさんみてきたんじゃな」
「それはもう、たくさん――」
素人の書いた小説ほど、読むに堪えない物はなかった。
他人に読まれることを想定しているとは思えない、ずさんな文。登場人物が、誰一人として成長せず、問題も解決しない、読後感最悪の小説。面白い出だし、盛り上がる中盤、止まる更新。
「僕の読者には、そんな思いを、させたくないんです。小説を書く以上、面白い作品を書けるよう、最大限努力しなければならない」
「そこまでして、面白い小説が書きたかったのか」
「その通りです。僕がプロのまねごとをしたところで、プロの劣化にしかならないことはわかっています。現場を知らないド素人が、プロがプロへ向けて書いた本を読んだところで、理解できるはずがありませんから。そんなことは、わかりきっています。でも――」
ツキは、黒狐さまの手の上に、頬を乗せた。
「全ては、読者の、ためです。黒狐さま」
「自分の好きな作品を書かなくなったのも、か?」
ドキリとして、顔を上げた。寂しげな表情が、黒狐さまの言いたいことを物語っていた。
「……全ては、読者の、ためです」
「読んだ人の時間を無駄にしないために、面白い小説を、書かねばならない。それが、最初の願いの本音か」
「その通りです」
ツキは、反射的に顔をしかめた。
「いや、何かがおかしい」
黒狐さまはゆっくりとうなずいた。
自分の発言を、最初から振り返る。
すると、気になる点が見つかった。
「あれ? つまらない作品は読まれないのだから、誰の時間も無駄にはしないはず。自分で言っていることが矛盾してますね」
「よく気づいたのぉ、ツキ」
ツキの肩に置かれた手が、ゆっくりと滑る。首を経由し、頬で止まった。
そうだ。つまらなければ、読者は途中で本を置くはずなのだ。『読者は頭が悪いから損切りできない。だから徹頭徹尾面白い作品を書かなければならない』。何て作者だ、読者をなめ腐ってやがる。どうして、こんな歪んだ考えに、今まで気づけなかったんだ。
ツキは、心の中で読者たちに懺悔しつつ、黒狐さまの話に耳を傾けた。
「一つ目の願いは保留にしよう。では、もう一つの願いじゃな。好きな作品を書くには、どうしたらいいと思うのじゃ?」
黒狐さまに頬をなでられながら、ツキは考える。
どうすればいいのだろうか。とりあえず、今の考え方では、一生書けない気がした。
今の考え、すなわち、面白さ至上主義では。文章を商売道具として割り切れない以上、この考え方は成り立たない。売れる物を作るという考えは、いったん置いておく必要がある。
「読者に読ませることを、諦めることですね。でも、一生懸命書いた小説を、誰にも読まれない。そんなのつらすぎる。自尊心が持たない。『数字がすべてではない』、『自分が納得すればそれでいい』そう考えられるほど、僕は強くないんです。やっぱり、数字が出ないと、失敗だと思ってしまう」
そうか。読まれない作品を書くのが嫌なのでなかった。単に、自分が傷つくのが怖かっただけだった。
自分は小説投稿サイトのランキングで上位になりたいわけではない。プロじゃないんだから、閲覧数や読者数を気にする必要もない。社会的に成功するか否かは、問題ではないのだ。
小手先の技術にとらわれるあまり、根本が見えていなかった。
「そうじゃな。一生懸命作り上げたものが、無視されるのはつらいのぉ」
「ええ。テーマやキャラ、世界観に構成。小説技法や脚本術、漫画におけるストーリーテリングの技法を駆使して、文章作法も徹底して――」
ツキは脳裏に、ひらめきを感じた。
「急に固まって、どうした?」
「逆です。意識的に技法を用いる度に、誰かに読まれることを期待してしまう。欲が出てしまう。だから、自分が好きな小説を書くためには、いったん技術を手放す必要がある」
そうだ。長編を書くにしても、いっそのこと読者受けなんて考えず、好き勝手に書いた方が、長続きするに決まっている。技法を駆使した作品を書こうとして挫折するくらいなら、技法を無視して駄作を積み上げた方がいいに決まってる。最大限の努力をした結果、著者が潰れてしまっては本末転倒。
駄作を積み重ねない限り、名作を書けないのは、古今東西の原則である。
「そうやって書かれた作品は、世間から見ても、自分から見ても明らかに駄作です。つまらないでしょう。読みづらいでしょう。独りよがりでしょう。面白さ至上主義者たちが読んだら、叱咤罵倒するような内容でしょう」
いわゆる、小説投稿サイトで、最底辺に位置する作品だ。新着投稿欄にチラリと顔を見せた後、どこにも上がってこない。著者以外、読まれることなく、消えてゆく。
限りなく無意味な作品。他人が見たら『こんなもののために、膨大な時間をかけるのは馬鹿げてる』と、言うに違いない作品。
「でも、自分の好きな文であることは、間違いない。たとえ読まれずとも、書いていて楽しいはずです。自分で読み返せばきっと、心温まります。そして、そんな馬鹿げた小説を書きたいという衝動が、『好きな小説が、書けますように』という願いに込められた、本心なのでしょう」
名作を諦める勇気。
努力しても駄文しか書けない自分を許す勇気。
才能がないからこそ、好きなことを書く勇気。
それが、今の自分には必要なのだ。
書き始めたことを後悔しても、書き切ったっことを後悔した作品はない。
作品が読まれるかどうかは関係ない。書き続けることこそが、小説家の条件なのだから。
途中で書き辞めるわけにはいかない。最後の読者である自分自身が、その作品の結末が書かれることは決して望まないからだ。
黒狐さまはひまわりのような笑みを浮かべた。同時に、もう片方の手もツキの肩に添えてきた。
「わらわは、ぬしの好きなものが好きじゃ。世界中の誰もがおぬしの作品を無視しようと、わらわは読む。400字でいい。わらわに遠慮することなく、好きなものを書いてみせよ」
「わかりました。最低限、人が読める文には仕上げます」
「ツキ、わらわは妖狐じゃ。一切の配慮は必要ない。人に理解できぬ文でも、たやすく読んでやろうぞ。それに、ぬしの場合は、無意識下に技術がしみこんでおる。意識せずとも、読むにたえる作品にはなろう」
「それは言い過ぎですよ」
「世辞は素直に受け取るものじゃぞ? それとも、千年妖狐の慧眼を疑うか?」
「ですね」
二人で笑い合ってから、しばらく見つめる。すると、黒狐さまは手で口を隠しながら言った。
「千年妖狐とか、自分で言っておいてハズい」
「のじゃのじゃ言ってる人が今更何を言っているんですか?」
バチンッと、両頬が両手で挟まれた。痛い。
クイーンサイズの、黒く、やや角張ったベッドが置かれている。頭部側には、ホテルのような間接照明がついていた。ベッドには、枕が二つ置かれている。頭から肩にかけて、緩やかにカーブを描くデザイン。黒狐さまの睡眠の質へのこだわりが、にじみ出ている。
ベッドサイドには、焦げ茶色の、コの字型のサイドテーブルがある。木製で、シンプルながらも気品あふれる家具だった。
ベッドサイドに腰掛けるよう進められた。マットレスはかなり弾力がある。
いつも、この部屋で黒狐さまは寝ているのか。生々しい想像が脳裏に浮かび、首を左右に振った。
「めっちゃくちゃ寝具にこだわってますね」
「平安時代は、畳に寝ようが、腰がぶっ壊れる前に寿命が来るから問題なかったのじゃ。しかし、今は人生百年時代。普通の生活を送っていようと、いつか腰にガタがくる。じゃから、枕もマットレスも、腰痛予防用のものを使っておる」
「まるで老……」
言い切る前に、手をつねられた。痛い。
黒狐さまは、あきれ気味にため息をつきつつ、隣に座った。
「久しぶりに、小説について話したい」
思わず身構えてしまう。黒狐さまの指摘はうれしいが、同時に恐怖でもあったからだ。
「何か気になることがあるのか? 言ってみ」
うろたえつつも、ツキはうなずいた。
「もしかして、人物・感情・心理描写についての話ですか?」
「それはもう気にしておらん」
「え?」
「今のおぬしは、女性を美化しておらんから、醜い部分や、未熟な部分もちゃんと描写できるじゃろう。他者を大切にしようとすれば、他者を知ろうという気も起きるもの。自分の怒りや憎悪といった負の感情も、押し殺すことなく向き合えるようになった。きっと、見違えるようによくなるはずじゃ」
思いも寄らないサプライズ。まさか、自分の考え方の変化が、小説描写に直結するとは思わなかった。
「それよりも、もっと根っこの問題じゃ」
「根本?」
「ツキの願いについてじゃ」
「願い!?」
再びサプライズ。
「実は、ざっとだが読んだぞ。おぬしの作品、全部」
「えぇ!?」
まさかの三度目、サプライズ。
「念のため勘違いしないように前置きしておく。これから話すのは添削でもアドバイスでも何でもない。おぬしの作品の一ファンとして、思いの丈をぶちまけるだけじゃ」
ファンとして! と、黒狐さまは強調した。
「作品は間違いなく、新しい順に面白くなっていると思う。実力はめきめきと上がっている。じゃが、わらわは、官能小説以外の作品の方が好きじゃ」
自分は久しく官能小説しか書いていない。一般文芸を書いていたのは、ずいぶん前の話だ
半分は、知識も分別もない状態で書いた物ばかり。もう半分は、長編を夢見た残骸たち。どちらにしても、読むに値しないものばかりのはずだ。
ツキが首をかしげると、黒狐さまが付け足した
「……ただし、最初に、わらわに見せてくれたものを、除いて」
「はいぃぃ?」
四度目のサプライズだった。さっきから驚きっぱなしだ。
あの性癖を理解できる人など、ほとんどいない。内容も、ヒロインをモノ扱いする、鬼畜外道モノである。コトに至るまでのストーリーも適当。
黒狐さまが、なぜそんな物を好むのか、甚だ疑問だった。何か共通点でもあるのだろうか
「一体なぜ?」
「一番最初、わらわが褒めたときのこと、覚えておるか?」
声が詰まってしまった。
そうだ、あのとき黒狐さまに褒められたもの。
あの作品にあって、最近のほかの作品にはないもの。
胸に、苦い思いが込み上がってきた。
「……熱意」
黒狐さまは、しばらく沈黙すると、ゆっくり口を開いた。
「正直に、話してもよいか。もし嫌だったら、いつでもいっておくれ」
「わかりました」
「初期の作品には、おぬしの願望が、投影されていた。幼女が暴力される場面。全能の恋人にちやほやされたい。かっこいい漫画や映画のまねごと。世の中もっとこうなったらいいのに、という不満や意見。好きな小説のIF。RPGの主人公になりたい。自己憐憫。嫌なやつをキャラに置き換えての復讐……」
まるでロマンスでも語るような、口調だった。
「それらが、貧弱な語彙、残念な文章力、クサイ台詞、助長な説明、むちゃくちゃな世界観、とってつけた場面、ちぐはぐなテーマ、血肉の通っていないキャラ、でたらめな構成、収拾がつかなくなったシナリオによって表現されていた」
「恥ずかしくて死にそうです」
文面だけ見れば、内容をけなしているようにしか受け取れない。
でも、黒狐さまは心の底から楽しげで、むしろ褒めているようだった。
「おぬしの言うとおり、かつてのおぬしは未熟じゃった。でも、自分の表現したいことを抑圧したりは、しなかった。わらわはそこが好きなのじゃ」
作者のエゴ。それは、ツキが真っ先に捨てたものだった。
自分の感性というものは、完璧に練った構成の前では、邪魔なモノでしかなかったからだ。客観的に面白いとされる要素を、合理的に組み立てる。
文体は、自分の好きな著者を真似れば何とかなる。集めた資料や、執筆のためにビジネス書を読むうちに、読解力と共に語彙力・文章力も自然と身につく。
ハイコンセプト、語らず見せるテーマ、個性的かつ魅力的なキャラクター。わかりやすい文章。共感、謎、葛藤、期待感、スリル、サスペンス、劇的な場面に、鮮やかな台詞。関心を掴む第一幕、緊張と期待の第二幕、満足を誘う第三幕。アイデア出し、ターゲット決め、プロット作り、執筆、推敲、投稿。おもしろい小説を作り出すために必要なことは、全て教科書に載っている。
面白さに、著者の意思は不要だ。
ツキは長い間、そう信じてきた。
「言いたいことを、読者が受け取りやすい形に、いったん曲げるのはいい。じゃが、今のおぬしの場合、曲げるどころか消しておる」
黒狐さまの言葉は、ツキの反対だった。自分の考えを否定されているような錯覚に陥る。何度も反対意見を言おうと思った。
「わらわの言う『熱意』とは、自分が許せること、譲れないもの、ほしいもの、あこがれるものといった、エゴじゃ。読者に対して『私の考えや性癖、欲望を理解してほしい』という激しい情動。過去のおぬしの作品からは感じたものが、今の作品からは感じられない。あったとしても、脚本術の教科書に載っていそうな、万人ウケするものにゆがめられてしまっておる。テーマも、キャラも、構成も、世界観も、何もかも!」
でも、しなかった。
『面白い作品を書きたい』のも本心だが、『自分の好きな作品を書きたい』というのも、嘘偽りのない気持ちだったからだ。
「まるで、子供の描いた独創的な絵を、画家の親が無難な絵に、描き直してしまったようじゃ。完成した作品は、確かにきれいじゃ。社会的に評価されて、発表会にも出せるかもしれん。でもそれは、子供が本当に描きたかった絵なのか?」
違う。断じて違う。
ツキは返事をする代わりに、首を横に振った。
「わらわが添削する度に、その傾向は強くなった。わらわに気に入られようと、ますますおぬし自身の心を殺した。今思えば、わらわの助言は、全くもって見当違いじゃった」
「そんなことありません」
ここは否定したかった。黒狐さまの指摘は、的を得ていた。
黒狐さまは、一瞬にニヤけた後、すぐに真顔に戻った。
「もし差し支えなかったら、教えてほしい。ツキはなぜ、官能小説など書きたいと思ったのじゃ」
「競合が少ない上、閲覧数が稼ぎやすいからです。ジュナイブルポルノを読み、分析した上で投稿する物好きと、ファンタジー小説を読み込んで小説を書く人。どっちが多いと思います?」
「前者だと思うのじゃ」
「そうでしょう。タイトルはあらすじを読ませるため。あらすじは、一行目を読ませるため。一行目は二行目を読ませるため。二行目は三行目を読ませるために存在します。つまらない小説に、存在価値は――」
「わらわが好きと思った作品に、存在価値がないと申すか?」
低いトーンで、黒狐さまは威圧してきた。久方ぶりに、瞳が桃色にきらめく。
「ごっ、ごめんなさい。まさか、そんなに思い入れがあるとは思わず」
「いや、こちらこそ、不快な思いをさせてしまいすまんかった」
深々と礼をしてから、黒狐さまは言った。
「改めて聞くのじゃ。ツキにはないのか。思い入れ」
「正直に言うと、ありません。過去の自分の文章を見ると、粗ばかりが目に入ります。未熟すぎて、正直見ていられません。すぐさまリライトしたくなる。まあ、新しい小説を書く方が建設的なので、しませんがね」
「キャラをリメイクするとき、原型がなくなるまで設定変更してしまうのも、そのせいか?」
「未熟な過去の設定を、引きずる理由はありません。キャラは常に改良されるべきなんです。っていうか、もう、過去作を見直すこと自体がつらくて仕方ないんです。自分の下らなさを、突きつけられているようで。実際キャラが、変更前より、よくなっているのは事実でしょう?」
「わらわは、変更前のキャラの方が思い入れ深いし、好きじゃった。好きだったキャラを、なかったことにされるのは、つらいのじゃ……」
ツキは顔を背けながら、眉毛を掻いた。
悲しそうな黒狐さまが、あまりにも痛々しかったからだ。
「技術を用いて小説を書くのは、決して楽しい作業では、ありません。壁に向かって野球をしているような感覚です。誰も見ておらず、返事もないのに、存在しない相手を想定して技巧を凝らす。いつか報われるかも、と思うにはあまりにも現実に裏切られすぎている」
ふとした瞬間、つい口ずさんでしまう。勉強しているときに。トイレにいるときに。下校中に。入浴中に。『面白い小説を書きたい』と。
四六時中、小説のことを考え、何か思いついたらすぐにメモする。
書きたいジャンルが見つかったら、図書館にこもる。
旅行中ですら、ネットにない情報を求め、五感をフル活用。
研究目的で興味もない名作映画を観ることもした。いいアイデアがあれば即座に転用。
一時期は狂ったように、ネット小説のテンプレばかりを収集していた時期もあった。
面白い小説を書くためなら、あらゆる努力をしたつもりだ。
でも、それが成果につながることは、ほとんどなかった。
「一体、何をやっているんだと、むなしくなることも、しょっちゅうです」
ツキは大きくのびをして、天井を見上げる。
「投稿した瞬間は、達成感でわずかにうれしくなる。『読まれるかも仕入れない』と、かすかに希望が見える」
そして、一気に力を抜き、うなだれた。
「でも、それも一瞬です。ネットでは、プロや若き天才、自分よりも経験豊富な大人、莫大な時間努力している秀才と同じ土俵で戦うことを強要されます。いくら読者のために、技巧を駆使しても素人の文など誰も読みません。閲覧数を見る度、SNSを眺める度、凄まじい無力感に襲われます。完全なる徒労。急激に書く気力が失われる。わずかな期待と、大きな落胆の繰り返し。その果てが未完の山です」
「それは、……キツイのぉ」
「長く書き続けるにしたがって、どうみても自分よりも創作期間が短い人たちが、どうみても自分の作品よりも面白い小説で、賞を取っていく。創作に携わっている時間に比例して、どんどん自信がなくなっていく。そうして、後戻りできなくなる頃にわかるんです。自分には文を書く才能がなかったって」
黒狐さまは、こちらの肩に手を添えてきた。
ツキは、ありがたく思いつつも、愚痴を止められなかった。
「人はざっと見積もって1分に400字読めます。字数÷400に読者数を書けた数が、読者から奪った分数。映画やアニメ、漫画といった媒体に比べて、小説を読むのには時間がかかる。時間がかかるということは、他人の人生をたくさん搾取するということ。つまらない小説は、存在するだけで、罪なんです」
「おぬしは、つまらない作品をたくさんみてきたんじゃな」
「それはもう、たくさん――」
素人の書いた小説ほど、読むに堪えない物はなかった。
他人に読まれることを想定しているとは思えない、ずさんな文。登場人物が、誰一人として成長せず、問題も解決しない、読後感最悪の小説。面白い出だし、盛り上がる中盤、止まる更新。
「僕の読者には、そんな思いを、させたくないんです。小説を書く以上、面白い作品を書けるよう、最大限努力しなければならない」
「そこまでして、面白い小説が書きたかったのか」
「その通りです。僕がプロのまねごとをしたところで、プロの劣化にしかならないことはわかっています。現場を知らないド素人が、プロがプロへ向けて書いた本を読んだところで、理解できるはずがありませんから。そんなことは、わかりきっています。でも――」
ツキは、黒狐さまの手の上に、頬を乗せた。
「全ては、読者の、ためです。黒狐さま」
「自分の好きな作品を書かなくなったのも、か?」
ドキリとして、顔を上げた。寂しげな表情が、黒狐さまの言いたいことを物語っていた。
「……全ては、読者の、ためです」
「読んだ人の時間を無駄にしないために、面白い小説を、書かねばならない。それが、最初の願いの本音か」
「その通りです」
ツキは、反射的に顔をしかめた。
「いや、何かがおかしい」
黒狐さまはゆっくりとうなずいた。
自分の発言を、最初から振り返る。
すると、気になる点が見つかった。
「あれ? つまらない作品は読まれないのだから、誰の時間も無駄にはしないはず。自分で言っていることが矛盾してますね」
「よく気づいたのぉ、ツキ」
ツキの肩に置かれた手が、ゆっくりと滑る。首を経由し、頬で止まった。
そうだ。つまらなければ、読者は途中で本を置くはずなのだ。『読者は頭が悪いから損切りできない。だから徹頭徹尾面白い作品を書かなければならない』。何て作者だ、読者をなめ腐ってやがる。どうして、こんな歪んだ考えに、今まで気づけなかったんだ。
ツキは、心の中で読者たちに懺悔しつつ、黒狐さまの話に耳を傾けた。
「一つ目の願いは保留にしよう。では、もう一つの願いじゃな。好きな作品を書くには、どうしたらいいと思うのじゃ?」
黒狐さまに頬をなでられながら、ツキは考える。
どうすればいいのだろうか。とりあえず、今の考え方では、一生書けない気がした。
今の考え、すなわち、面白さ至上主義では。文章を商売道具として割り切れない以上、この考え方は成り立たない。売れる物を作るという考えは、いったん置いておく必要がある。
「読者に読ませることを、諦めることですね。でも、一生懸命書いた小説を、誰にも読まれない。そんなのつらすぎる。自尊心が持たない。『数字がすべてではない』、『自分が納得すればそれでいい』そう考えられるほど、僕は強くないんです。やっぱり、数字が出ないと、失敗だと思ってしまう」
そうか。読まれない作品を書くのが嫌なのでなかった。単に、自分が傷つくのが怖かっただけだった。
自分は小説投稿サイトのランキングで上位になりたいわけではない。プロじゃないんだから、閲覧数や読者数を気にする必要もない。社会的に成功するか否かは、問題ではないのだ。
小手先の技術にとらわれるあまり、根本が見えていなかった。
「そうじゃな。一生懸命作り上げたものが、無視されるのはつらいのぉ」
「ええ。テーマやキャラ、世界観に構成。小説技法や脚本術、漫画におけるストーリーテリングの技法を駆使して、文章作法も徹底して――」
ツキは脳裏に、ひらめきを感じた。
「急に固まって、どうした?」
「逆です。意識的に技法を用いる度に、誰かに読まれることを期待してしまう。欲が出てしまう。だから、自分が好きな小説を書くためには、いったん技術を手放す必要がある」
そうだ。長編を書くにしても、いっそのこと読者受けなんて考えず、好き勝手に書いた方が、長続きするに決まっている。技法を駆使した作品を書こうとして挫折するくらいなら、技法を無視して駄作を積み上げた方がいいに決まってる。最大限の努力をした結果、著者が潰れてしまっては本末転倒。
駄作を積み重ねない限り、名作を書けないのは、古今東西の原則である。
「そうやって書かれた作品は、世間から見ても、自分から見ても明らかに駄作です。つまらないでしょう。読みづらいでしょう。独りよがりでしょう。面白さ至上主義者たちが読んだら、叱咤罵倒するような内容でしょう」
いわゆる、小説投稿サイトで、最底辺に位置する作品だ。新着投稿欄にチラリと顔を見せた後、どこにも上がってこない。著者以外、読まれることなく、消えてゆく。
限りなく無意味な作品。他人が見たら『こんなもののために、膨大な時間をかけるのは馬鹿げてる』と、言うに違いない作品。
「でも、自分の好きな文であることは、間違いない。たとえ読まれずとも、書いていて楽しいはずです。自分で読み返せばきっと、心温まります。そして、そんな馬鹿げた小説を書きたいという衝動が、『好きな小説が、書けますように』という願いに込められた、本心なのでしょう」
名作を諦める勇気。
努力しても駄文しか書けない自分を許す勇気。
才能がないからこそ、好きなことを書く勇気。
それが、今の自分には必要なのだ。
書き始めたことを後悔しても、書き切ったっことを後悔した作品はない。
作品が読まれるかどうかは関係ない。書き続けることこそが、小説家の条件なのだから。
途中で書き辞めるわけにはいかない。最後の読者である自分自身が、その作品の結末が書かれることは決して望まないからだ。
黒狐さまはひまわりのような笑みを浮かべた。同時に、もう片方の手もツキの肩に添えてきた。
「わらわは、ぬしの好きなものが好きじゃ。世界中の誰もがおぬしの作品を無視しようと、わらわは読む。400字でいい。わらわに遠慮することなく、好きなものを書いてみせよ」
「わかりました。最低限、人が読める文には仕上げます」
「ツキ、わらわは妖狐じゃ。一切の配慮は必要ない。人に理解できぬ文でも、たやすく読んでやろうぞ。それに、ぬしの場合は、無意識下に技術がしみこんでおる。意識せずとも、読むにたえる作品にはなろう」
「それは言い過ぎですよ」
「世辞は素直に受け取るものじゃぞ? それとも、千年妖狐の慧眼を疑うか?」
「ですね」
二人で笑い合ってから、しばらく見つめる。すると、黒狐さまは手で口を隠しながら言った。
「千年妖狐とか、自分で言っておいてハズい」
「のじゃのじゃ言ってる人が今更何を言っているんですか?」
バチンッと、両頬が両手で挟まれた。痛い。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密
まさき
青春
俺は今、東大院生の実験対象になっている。
ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。
「家庭教師です。住まわせてください」
突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。
桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。
偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。
咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。
距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。
「データじゃなくて、私がそう思っています」
嘘をついているような顔じゃなかった。
偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。
不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい
沢尻夏芽
恋愛
自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。
それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。
『様子がおかしい』
※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。
現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。
他サイトでも掲載中。
クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。
とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。
ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。
お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!
※特別編4が完結しました!(2026.2.22)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる