毒薬

五味ほたる

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 今日も、歯磨き、ドライヤー、全て終わらせて、ふかふかのベッドにダイブした。スプリングが落ち着くのを待っていそいそと上ってきた白蛇を、お腹の上に乗せてくすぐる。
 鰻のようにぬめぬめしてるイメージを持ってる人が多いかもしれないけど、それは誤解で、もちもち、さらさらしていてすごく触り心地がいい。お腹側は、プラスチック素材のようにつるつるだ。

 温まった身体が冷めないうちに横になる。熱めのお湯に浸かったあとの、このなんとも言えない気だるさが気持ちいい。前はシャワーだけで済ますことが多かったが、毎日湯船に浸かるようにしたら、よく眠れるようになった。
 睡魔に引き寄せられそうになった頃、スウェットとパンツのゴムをぐいぐい押しのけて、そのまま中に侵入される気配がした。

「っ! ハクっ……!」

 慌てて飛び起きる。気持ちいい微睡みは一瞬にして吹き飛び、反射的に、「噛まれる」という恐怖が頭をよぎった。……今まで、一度だってこの子に噛みつかれたことなど無いのに、だ。牙を持つ生物に対する、本能的な恐怖だった。

「ちょ、っ……!」

 ちろちろと竿の部分をくすぐったかと思うと、そのままゆるく巻き付かれる。舌が触れるくらいだったら強引に引っ張って引き戻そうと思ったが、巻き付かれたらもう……脱いで確認しないわけにはいかない。

「も、何して……っ」

 仕方なく下を脱ぐと、為す術もなく巻き付かれている、くったりしたモノが目に飛び込んでくる。暗いオレンジの明かりしかないせいで、余計に哀愁を誘う。誰が見ているわけでもないのに、無性に恥ずかしくなってきた。

「っ……」

 胴体で締め付けたまま、Uターンして頭がこっちに向かってくる。鱗と、つるつるしているお腹で急所を撫でられ、今までに感じたことのない……悪寒なのか快感なのかわからないものがゾワッと背筋を這った。

「もうっ……、っ!?」

 引き剥がそうと手を伸ばすと、玉よりももっと下、忘れたくて考えたくもない場所に……固くて細いものが入ってくる感触がした。

「ひぃっ……!?」

 暗くて見えなくても、今、俺の下半身で蠢いているものはひとつしかない。ハクの尻尾が、中に入ってきて……。

「あ、あっ……!」

 反射的に締めて侵入を拒もうとしても、とてもとても細い尻尾の先端は、簡単に潜り込んでしまう。

「うっ……!?」

 俺の中で、ぺちぺちと動き回るそれ。先端はあっという間に入り込み、胴体も焦らすようにゆっくり入ってきて、じわじわと太さを増していく。

「ぅあっ……あ、ひ……」 

 あの時は口から犯されたのに、今度は下から蹂躙されようとしている。さっきまで眠気に誘われていたはずが、あっという間に目眩に変わっていた。

「まっ……待って……っ」

 心の準備ができないまま、どんどん太くなっていく恐怖。このまま入られると、そこが裂けてしまいそうで怖い。震える声で訴えると、ピタッと動きが止まった。

「はあっ、はあ……っ」

 深呼吸しようとしても、パニック状態の心臓は全然落ち着いてくれない。お尻の中には尻尾が、竿には胴体がゆるく巻き付いたまま、頭は俺の閉じた口に体当たりして、頭を捻ってなんとか中に侵入しようとしてくる。

「っ……だ、めっ……」

 口を開けて喋ると、この間のように強引に侵入されそうなので、くぐもった間抜けな声になる。 

「口、から……っ入るのは、だめ……」

 お腹の中を直接かき回されたのを思い出して、ゾゾゾっと鳥肌が立つ。そうやって子供に言い聞かせるように拒否すると、俺の中で尻尾の先端をぐにぐに動かしてきた。

「ぁ、ぐ……っ」

 丸いガラスのような目は、物欲しそうにじっと俺を見ている。

「……中、入りたいの……?」

 首をもたげて俺を正面から見据え、頬をペロペロと舐めてくる。

「……、もう……」

 ……ハクが望むなら、叶えてあげたい。それに、応えてやりたい……と思ってしまう俺は、本当に本当に甘いと思う。こういうの、「チョロい」って言うんだろうな……。

「一回、抜いて……」

 俺の身体の中を通り抜けられるくらいだから、痛くて叫び出す……というほどの太さではないのだけど、裂けてしまうのが怖い。何か……濡らして、入りやすくしないといけないのだろう。……人間のセックスと同じように。

 今、家にあるもの……ハンドクリームとかオロナインが思い浮かんだが、人間が日常的に使っているそういったものの成分は、蛇にとっては毒になる。ハクの皮膚が荒れたり具合が悪くなってしまったら、俺は一生自分を責め続けるだろう。

「っ……」

 一瞬、躊躇して……覚悟を決めて、口の中に指を突っ込んだ。

「ふっ……ん、ふ……っ」

 意図的に唾液を出して指を絡める。今の自分を客観的に見たら、きっと安っぽい三流ビデオ以下の痴態だと思う。想像して恥ずかしくなった。ハクはこの情けない姿を、微動だにしないままじっと見つめている。






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