俺と父さんの話

五味ほたる

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<10> 攻め×攻め編 *エロサンプル

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「ふー。もうやるしかないか」

 今日の夕飯を聞くような軽いノリで言って引き返す。頭が軽くパニックになった。「俺、トモ兄に突っ込まれたくないよっ」と慌てて後を追いかける。

「俺が下でいいよ」

 腹にグーパンをお見舞いされたみたいに息が止まった。挿れられる覚悟って、そんなにあっさり決まるものなんだろうか?
 そりゃ、突っ込まれるより入れるほうが心理的に楽だけど……俺を傷つけたくない、っていう隠しきれない優しさが見えるから、むず痒くなる。この大人の余裕がムカつく。

「よいしょ」

 ベッドの前で、プールに飛び込む小学生みたいに勢いよく上とズボンを脱いだ。パジャマを脱ぐのにも毎回恥ずかしがる父さんとは大違いで、情緒も色気もない。

「でも、お前勃つかな」
「……なんでパンツ脱がないの」
「いや、モロ見えたら萎えるかなーと思ってさ」

 そう言いながら、シングルの小さいベッドに寝転ぶ。トモ兄はケロッとした顔をして、ローションを躊躇なく自分の手のひらに垂らした。俺も慌ててベッドの上に乗り上げる。

「ん……」

 小さく息をついて、それを自分のトランクスの中に突っ込んだ。俺からは見えないから、何が起こってるかわからない。見えない、けど……。あまりの急展開に脳が追いつかなかった。普通、それっぽい雰囲気から始まるもんじゃないんだろうか。

「あー……自分にやるのだと全然違うなー……」

 布地が動くので、中で行われていることを想像してしまう。くち……と小さく音が聞こえて、不覚にもドキドキした。

「っ……」

 気づいた時には、手首をぎゅっと掴んで止めさせていた。

「……なに」
「……俺が、やるよ」

 準備するのを全部相手にやらせて自分は勃ったら挿れるだけって、あんまりすぎるだろう。そこまでひどい男じゃない。そんな風に思われたくない。

「へえ、やってくれるんだ?」

 パンツに片手を突っ込んだマヌケな姿勢のまま、「かっこいいなー」「やさしーじゃん」とニヤニヤしながら挑発してきて、腹が立つ。

「俺のちんこ見えてもいいの?」

 見えないようにやったほうがいいと思うけど、とこっちを気遣ってくる。トモ兄は俺の親であり、一生のライバルだけど……もうやるしかないんなら、ちゃんと優しくしたい。

「いいよ、早く脱いで」

 俺もローションを自分の手のひらに垂らしながら言う。ずるりと太ももの下まで脱いだので、あとは引っ張って足から抜いてやった。男のそこの色は、みんなたいして変わらない。けど、コレがいつも父さんの中に入ってるんだと思うとモヤモヤした。

「……潰すなよ」

 心を読まれてドキッとする。超能力者かよ。

「……入れるよ?」

 まさかこれを父さん以外の人間に……トモ兄に言う日が来るとは思わなかった。穴も俺の人差し指もドロドロになるくらい濡らして、

「うん……」

 ず、と進めると、信じられないくらい狭かった。その……初めてだと、こんなにきついのかと驚愕する。

「すげえ、狭い……力、抜いて」
「や、ってるって……」

 と言いながら、ラジオ体操みたいにすー……っとゆっくり息を吐く。その隙に締め付けに逆らって、ゆっくり根本まで入れた。

「うっ……」

 熱くて、指一本ほおばるのが精一杯、ってくらいきゅうきゅう締め付けられる。父さん以外の
体内の熱を、初めて感じた。
 ぶわっと「浮気」という文字が頭の中を支配してきて、慌ててその妄想を打ち消す。やらないとここから出れないんだから仕方ない、不可抗力で……。

「どう……?」
「んー……一本はまだ平気だな……」

 ずるりと爪の先まで引き抜くと、ふふっと笑い声が漏れた。バカにしてるように聞こえて、「何?」と圧をかけて聞くと、「ぞわぞわする」と笑った。本当に色気もへったくれもない。

「ん……ん…ふは……っ」 

 慣らさないと次も入らないので、そのまま何度か抜き差しする。擬似的にセックスしてるみたいで、なんとも気まずい気持ちになった。平気そうなので、人差し指に沿わすようにして、どろどろにした中指も入れる。

「んっ……」

 さっきと違って、息を詰める声が聞こえた。

「痛い?」
「俺の尻、切れてない?」

 ここまで萎え要素しか見せてこないのもすごい。

「切れてないよ……ちょっと開くよ?」

 ゆっくり抜き差しして馴染ませてから、く……っと左右に開いた途端、「ははっ」と笑った衝撃でぎゅっと締め付けられた。

「う……ふふっ……スースーする……っ」

 父さんだったら吐息を漏らしてエロちっくに喘ぐだけなのに、これだ。「これ、俺勃つんかな」と本気で自分の息子の行方が心配になる。俺が挿入できなきゃ、一生この部屋から出られない。

「スースーするってっ……こそばい……っはは」

 もううるさいので、半分ヤケクソで少し性急にかき回す。無理矢理作った隙間に、三本目を入れた。

「うぁ……」

 一瞬呼吸が止まって、中に力が入った。

「あー……圧、迫感、が……すげ……」

 きついなこれ……と、荒い息になってくる。

「苦しい?」

 辛そうだったのでしばらく動かさないでじっとしていると、「んー」「ちょっと慣れてきた……」と言うので、ゆっくりと上下に動かした。

「は…、……う」

 俺が抜いて奥に入れるたび、「あ」とか「ん゛」とか反射的な声が漏れる。ここで俺が爪先で奥を抉ったら、声を上げて驚くんだろうな、と思いながら拡げる。

「あ……結構、苦しい、な、これ……」

 一分前まで萎え要素しかなかった。なのに、ぞわぞわした感覚がお腹の下からせり上がってくる。俺が一生勝てないはずの、敵わないはずの相手が俺に翻弄されてるという状況に、父さんとセックスしてる時とはまた違う……暗い優越感と征服欲が湧き上がる。

「ぅあ゛っ……! っ……」

 俺のものはもっと大きいから、もう少し慣らさないと入らない。ローションを足してじりじりと三本の指で中を開いた。……下着の中がきつい。もう脱いでしまいたい。見て見ぬ振りをしてたけど、もう認めるしかなかった。







***



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