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第九話 はじめてのオルトロスたいじ その2「コロちゃん」
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「こんな雑魚の国。我らの手にかかればこんなもんだ」
広場の絞首台にて、体を縛られて吊るされているコロト王を、デーツがムテの剣の柄で小突く。
「貴様ら! ただじゃおかんぞ!」
そうやって啖呵を切るコロト王だが、広場に集まった民衆は彼の事を冷ややかな目で見ていた。
「おーい。誰かこの哀れな老人を助けたい人いるかー?」
デーツは大声で問いかけるも、やはり民衆は応えない。
「見てみろ。これが今のお前の支持率だ」
「おい! 誰がこの国の平和を守っていると思う! お前ら! こいつらを片付けろ!」
すると、一人の女性が野菜を持って前に出る。
「おお! いいぞ! さあ立ち上がるのだ国民よ!」
しかし、その野菜はコロト王に向けて投げられた。
「初めて見る野菜だけど、多分根菜。痛いよあれ」
なんてマァチは隣で浮いてるローナに話しかけてる。
「国の平和ですって? そんなもの今この国にはないよ!
うちの人はね、あんたが怪物狩ってこいって命令守って、今じゃベッドで寝た切りなんだよ!」
根菜を投げつけた女性が叫ぶ。そしてそれに続けとみなも野菜やごみを投げつける。
「やめろ! クエストは国を挙げての大仕事なのだぞ! 国務をまともにこなせない方が悪いであろう!」
火に油を注ぐとはこのことで、王のその言葉に国民の怒りは爆発する。
「どこが国務だ! クエストは流れ者用の仕事だろうに!」
「父さんが狩れるのは野鳥だけだったんだ! それなのにドラゴン狩に行かせやがって!」
「うちの子たちは、もう誰一人として行かせないよ!」
「俺の腕を返してくれよ!」
「いっそあんた自らでやったらどうなんだ!」
罵詈雑言の中で、国民の痛みが叫びとなって響く。
そしてデーツは何かを思いついた顔をして、一人の民衆を指さした。
「なあ、そこのお前。そうお前だ。さっきなんて言った?
「え? 自らやったらどうだって言ったけど・・・・・・」
「そうだ! それで行こう! ナイスアイディーア!」
ムテ騎士団の面々で円陣を組み、ひそひそと作戦会議をする。そして何か決まったのか、はつらつとした顔で円陣を解散する。
「というわけで、王様。あんたにも高ランククエストに行ってもらおう」
「は!?」
「おーい、えーとお前はルコだっけか?」
「私はミコです。姉の方。で、なんですか?」
「お前のギルドで一番の高難易度クエストはなんだ? あ、我らの討伐以外でな」
後半のほうは声を小さくして訊ねるデーツ。
「えーと、一番はオルトロスの退治ですね。ここから見えるあの山の奥に住み着いてるそうで。放置すれば生態系が崩れる可能性が」
「よし、決まりだな」
「待て! 勝手に決めるんじゃない! 代表者である私がクエストを申し込まない限りは受注にはならないはずだぞ!」
この状況でも強気に出て騒ぐコロト王。そんな王に対して、アコが何かの書類を持ってくる。
「コロト王さん。実は代表者が決める以外でも、クエストはパーティメンバーの過半数が参加を決めれば、受注完了するんですよ。
つまりー・・・・・・パーティメンバーであるコロト王国市民のみなさまー! このクエスト受注してもいいかなー!」
「「いいともー!」」
コロト王国市民の歓声を受けながら、アコは満面の笑みで受注のハンを書類に押した。
それと同時に王の縄を一瞬で解くバーベラ。ただし、落下のことまで考慮していなかったので、彼は地面に腰を打ち付けたが。
「いったぁ・・・・・・」
「はーいいってらっしゃーい」
「行くかー!」
文字通り足蹴してくるデーツに、未だ反抗の意志を見せるコロト王。
「ちっ! 駄々っ子が。さあ、これを見ても駄々をこねられるかなー?」
デーツが指パッチンをすると、アストリアが一人の女性を抱えて運んできた。
「連れてきたぞー!! 王様の奥さん! つまり女王!! つまり王の女だ!!! いや、女の王だ!!!」
「あなた! 助けて!」
「貴様ら! 人質を取るとは!」
「いいか!! クエストに行かないと女王は・・・・・・私とずっとおしゃべりしてもらうぞ!!!!」
「それだけはいやー! この人声はデカい上に言ってることも意味わかんなくていやー!!」
「わ、わかった! 行ってやるよ!」
妻の悲痛を聞いて、王は使命感を覚えたのか、足を震わせながら進んでいく。その妙な気迫に、広場の民衆は左右に分かれて道を作った。
「やっと行ったか」
なんて呑気なこと言ってるタナカに、マァチが何かを投げる。
「うわっととと! なんだこれは!」
「カメラ。タナカ、スタッフさんとしてそれを構えながら王を追うの」
「ええーやだー。て、文句言ったら燃やされるんだろ。わかってる行きますよーだ」
「素直でよろし。いい? そのレンズの部分を王に向けるの。そしたらここに景色が映る」
マァチはいつの間にか広場に巨大スクリーンと光の玉を出しており、タナカがカメラを王に向けるとその光景が光の玉を通してスクリーンに映し出された。
「ほんと、お前の道具はなんでもありだな」
そう愚痴りながら、カメラ片手に王を追うタナカ。
「さあ始まりました! 王様の初めてのオルトロス退治!」
ローナがマイクで実況を始める。そしてそれに合わせてマァチが謎の歌を歌い始める。
「ファミレド ファミレド ファファファファミレド」
旅立つ王も、見送る女王も、スクリーンを眺める民衆も、そして追いかけるタナカも、なんだこれと思いながらもそれぞれの役目を全うする。
しかし、王は王国をある程度出たところで急に座り込んでしまう。
「おい、何やってんだあんた」
「か、帰る! ママー!!」
泣きながら広場へと戻っていく王様。王国をある程度出たと言っても、ほんの数分で戻れる距離しか出いていない。
「ママー! 僕一人で国から出たことなんてないよー!」
泣きながら女王にすがる王。
「うわあ・・・・・・えーと、王様って今いくつ?」
ローナが、近くにいた人に訊ねる。
「先月44歳の誕生会が開催されたばかりですね」
「なるほど。えーと、思わずママに泣きつくコロト王君。仕方ありません、僕44歳になったばかりだもん。まだまだママに甘えたいんだもん」
勝手なナレーションを加えるローナ。でもこればっかりは、その状況が当てはまるぐらいに情けなく泣くコロト王が悪い。
「頑張ってコロちゃん。コロちゃんならできるよ! コロちゃんが行ってくれないとママね、あのよくわかんない人とおしゃべりしなくちゃなんないのー!」
女王も涙ぐむ。
「おう!!! お前!! 好きな動物の話するか?!?! 私はパンの角っこが一番かっこいいと思う!!!」
まあ、こんな会話をさせられるんじゃ涙を見せるのもしょうがない。
「ね、お願い。コロちゃん。ママのためにも頑張ってくれる?」
「うん!」
「ちゃんとオルトロス退治できる?」
「うん!」
「よーし、頑張れ頑張れえーいえいっ!」
女王はコロちゃんこと44歳のコロト王のほっぺをぷにぷにする。
「これはママとコロト王君の二人だけのおまじない。これを毎晩ベッドでするのが二人の日課です。多分ね」
ローナの勝手なナレーションをバックに、再び歩みを進めるコロト王と、それを追うタナカ。今度こそ、はじめてのオルトロス退治、ここに始まる。
広場の絞首台にて、体を縛られて吊るされているコロト王を、デーツがムテの剣の柄で小突く。
「貴様ら! ただじゃおかんぞ!」
そうやって啖呵を切るコロト王だが、広場に集まった民衆は彼の事を冷ややかな目で見ていた。
「おーい。誰かこの哀れな老人を助けたい人いるかー?」
デーツは大声で問いかけるも、やはり民衆は応えない。
「見てみろ。これが今のお前の支持率だ」
「おい! 誰がこの国の平和を守っていると思う! お前ら! こいつらを片付けろ!」
すると、一人の女性が野菜を持って前に出る。
「おお! いいぞ! さあ立ち上がるのだ国民よ!」
しかし、その野菜はコロト王に向けて投げられた。
「初めて見る野菜だけど、多分根菜。痛いよあれ」
なんてマァチは隣で浮いてるローナに話しかけてる。
「国の平和ですって? そんなもの今この国にはないよ!
うちの人はね、あんたが怪物狩ってこいって命令守って、今じゃベッドで寝た切りなんだよ!」
根菜を投げつけた女性が叫ぶ。そしてそれに続けとみなも野菜やごみを投げつける。
「やめろ! クエストは国を挙げての大仕事なのだぞ! 国務をまともにこなせない方が悪いであろう!」
火に油を注ぐとはこのことで、王のその言葉に国民の怒りは爆発する。
「どこが国務だ! クエストは流れ者用の仕事だろうに!」
「父さんが狩れるのは野鳥だけだったんだ! それなのにドラゴン狩に行かせやがって!」
「うちの子たちは、もう誰一人として行かせないよ!」
「俺の腕を返してくれよ!」
「いっそあんた自らでやったらどうなんだ!」
罵詈雑言の中で、国民の痛みが叫びとなって響く。
そしてデーツは何かを思いついた顔をして、一人の民衆を指さした。
「なあ、そこのお前。そうお前だ。さっきなんて言った?
「え? 自らやったらどうだって言ったけど・・・・・・」
「そうだ! それで行こう! ナイスアイディーア!」
ムテ騎士団の面々で円陣を組み、ひそひそと作戦会議をする。そして何か決まったのか、はつらつとした顔で円陣を解散する。
「というわけで、王様。あんたにも高ランククエストに行ってもらおう」
「は!?」
「おーい、えーとお前はルコだっけか?」
「私はミコです。姉の方。で、なんですか?」
「お前のギルドで一番の高難易度クエストはなんだ? あ、我らの討伐以外でな」
後半のほうは声を小さくして訊ねるデーツ。
「えーと、一番はオルトロスの退治ですね。ここから見えるあの山の奥に住み着いてるそうで。放置すれば生態系が崩れる可能性が」
「よし、決まりだな」
「待て! 勝手に決めるんじゃない! 代表者である私がクエストを申し込まない限りは受注にはならないはずだぞ!」
この状況でも強気に出て騒ぐコロト王。そんな王に対して、アコが何かの書類を持ってくる。
「コロト王さん。実は代表者が決める以外でも、クエストはパーティメンバーの過半数が参加を決めれば、受注完了するんですよ。
つまりー・・・・・・パーティメンバーであるコロト王国市民のみなさまー! このクエスト受注してもいいかなー!」
「「いいともー!」」
コロト王国市民の歓声を受けながら、アコは満面の笑みで受注のハンを書類に押した。
それと同時に王の縄を一瞬で解くバーベラ。ただし、落下のことまで考慮していなかったので、彼は地面に腰を打ち付けたが。
「いったぁ・・・・・・」
「はーいいってらっしゃーい」
「行くかー!」
文字通り足蹴してくるデーツに、未だ反抗の意志を見せるコロト王。
「ちっ! 駄々っ子が。さあ、これを見ても駄々をこねられるかなー?」
デーツが指パッチンをすると、アストリアが一人の女性を抱えて運んできた。
「連れてきたぞー!! 王様の奥さん! つまり女王!! つまり王の女だ!!! いや、女の王だ!!!」
「あなた! 助けて!」
「貴様ら! 人質を取るとは!」
「いいか!! クエストに行かないと女王は・・・・・・私とずっとおしゃべりしてもらうぞ!!!!」
「それだけはいやー! この人声はデカい上に言ってることも意味わかんなくていやー!!」
「わ、わかった! 行ってやるよ!」
妻の悲痛を聞いて、王は使命感を覚えたのか、足を震わせながら進んでいく。その妙な気迫に、広場の民衆は左右に分かれて道を作った。
「やっと行ったか」
なんて呑気なこと言ってるタナカに、マァチが何かを投げる。
「うわっととと! なんだこれは!」
「カメラ。タナカ、スタッフさんとしてそれを構えながら王を追うの」
「ええーやだー。て、文句言ったら燃やされるんだろ。わかってる行きますよーだ」
「素直でよろし。いい? そのレンズの部分を王に向けるの。そしたらここに景色が映る」
マァチはいつの間にか広場に巨大スクリーンと光の玉を出しており、タナカがカメラを王に向けるとその光景が光の玉を通してスクリーンに映し出された。
「ほんと、お前の道具はなんでもありだな」
そう愚痴りながら、カメラ片手に王を追うタナカ。
「さあ始まりました! 王様の初めてのオルトロス退治!」
ローナがマイクで実況を始める。そしてそれに合わせてマァチが謎の歌を歌い始める。
「ファミレド ファミレド ファファファファミレド」
旅立つ王も、見送る女王も、スクリーンを眺める民衆も、そして追いかけるタナカも、なんだこれと思いながらもそれぞれの役目を全うする。
しかし、王は王国をある程度出たところで急に座り込んでしまう。
「おい、何やってんだあんた」
「か、帰る! ママー!!」
泣きながら広場へと戻っていく王様。王国をある程度出たと言っても、ほんの数分で戻れる距離しか出いていない。
「ママー! 僕一人で国から出たことなんてないよー!」
泣きながら女王にすがる王。
「うわあ・・・・・・えーと、王様って今いくつ?」
ローナが、近くにいた人に訊ねる。
「先月44歳の誕生会が開催されたばかりですね」
「なるほど。えーと、思わずママに泣きつくコロト王君。仕方ありません、僕44歳になったばかりだもん。まだまだママに甘えたいんだもん」
勝手なナレーションを加えるローナ。でもこればっかりは、その状況が当てはまるぐらいに情けなく泣くコロト王が悪い。
「頑張ってコロちゃん。コロちゃんならできるよ! コロちゃんが行ってくれないとママね、あのよくわかんない人とおしゃべりしなくちゃなんないのー!」
女王も涙ぐむ。
「おう!!! お前!! 好きな動物の話するか?!?! 私はパンの角っこが一番かっこいいと思う!!!」
まあ、こんな会話をさせられるんじゃ涙を見せるのもしょうがない。
「ね、お願い。コロちゃん。ママのためにも頑張ってくれる?」
「うん!」
「ちゃんとオルトロス退治できる?」
「うん!」
「よーし、頑張れ頑張れえーいえいっ!」
女王はコロちゃんこと44歳のコロト王のほっぺをぷにぷにする。
「これはママとコロト王君の二人だけのおまじない。これを毎晩ベッドでするのが二人の日課です。多分ね」
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