夢の世界

noraneko

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「昨日のドリスは最高だった~」

最近の私達の話題と言ったら、ドリスの事ばかりだ。

「なになに? 」


今、ドリスことDREAM STORY(ドリーム ストーリー)が流行っている。
どういうものかというと、簡単に言ってしまえば「夢が買える」のだ。


映画の中に自分が入り込んだり、自分で設定した展開やストーリー、出したい人物など選ぶことも可能だ。


眠る前に設定しておけば、眠った時に自然とその物語は始まる。
起きてからも夢を覚えていられるのも特徴だ。


夢とは言え、日常では体験できない事が叶うのだから眠ることも楽しみになる。
 

「昨日はライブに行っている夢にしたの。
たくちゃんに目の前で歌ってもらったの、幸せだった~」


たくちゃんとは私達の大好きなアイドルグループのボーカルである。
友人の優奈は彼の大ファンだ。
 

「それいいね。私も今度やってみよ。
最近、ちゃんと眠れてないから短時間でも長時間眠ったことにさせてくれるソフトばっか使っちゃってる」

「あ~あれ良いよね。つい遅くまで起きてた時はあれないと疲れやばいよね。
凛、これからあそこに寄ってから帰らない? 」


「いいね、そうしよ」


学校が終わると部活をしていない私達はお気に入りのカフェでドリスの設定をしながら話をする事が増えている。


優奈と私は家が近所で小学校から仲が良くて同じ高校に進学した。
クラスも同じだから常に一緒にいるのが当たり前になっていた。


家から学校まで電車で3駅。

お互いの家の間にそのカフェがある。
私達はゆりちゃんと呼んでいて、お姉ちゃんのように慕っているオーナーがやっている。

夜はバルになるらしいが、昼間はカフェになる。

趣味のデザートを作っているうちにみんなに食べてもらいたいという理由だけでカフェもやり始めたらしく飲み物代だけでデザートまで付いてくる。
その代わり、ゆりちゃんの気分次第で作る日替わりデザートだ。

私達はそれを楽しみに行っている。

「凛、もうすぐ電車きちゃうから急ご」

「うん」

私達は駅の改札を抜け、階段を駆け上るとホームに止まっていた電車に乗り込んだ。

駅員のアナウンスが流れ、乗り込んだと同時に扉は閉まる。

「間に合って良かった。はぁ、息が苦しい」

「息があがるね。そこあいてるから座ろ」

見慣れた電車からの風景を見ながら、いつものように暮らしている。

刺激のない生活に飽きたら、ドリスによって味わえない体験をすることでストレスを減らせるどころか楽しむことが出来るのだから、普及しないわけがない。
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