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以下、下書き中原稿
波、未だ徐か1941/02/05
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アメリカ合衆国という国家はよく株式会社に比喩される。その理由は利潤追求への飽くなき渇望や資本主義の成功者であることをよく聞くが、利潤追求のためならば倫理問題を蹴り飛ばす危険な存在という意味の揶揄であるということを知る者は少ない。
1941年2月5日、大蔵省のある一室にて。
「ふむ、しかし可能なのかね」
「ええ、アメリカ合衆国側も、否とは言えないでしょう」
「とはいえ……」
「大丈夫でしょう、オトポールの件でユダヤ財閥は我が国へ若干なりとも好印象を持っているということが前提条件にはなりますが」
「……それは、危険な賭けではないのか」
「ええ、しかし最悪でも血は流さなくて済む」
「……なんともやれやれ、交渉はお前がやれ、権限は渡す」
「よろしいので!?」
「逆に、お前の言行はお前にしか出来んよ」
「……わかりました」
1941年、同じく2月5日|(ただし現地時間)
「大統領、日本大使館より連絡が入りました。何でも、現在買い取り手待ちのアメリカ合衆国の国債を全て買い取る代わりに連邦準備制度の株主に成りたいとの由」
「……そうか」
「やはり、断りますか」
「莫迦を言うな、こんな好条件で国債を売りさばけるんだ、連邦準備制度の席を一つ譲る位やむを得まい」
「しかしっ……」
「それとも、あの莫迦(ルーズベルト)みたいに日本との緊張を高めて無用な災害と悪名を被るかね?」
「……畏まりました、どうなっても知りませんからね」
「……ああ」
斯くて、大日本帝国はアメリカ合衆国の出資者となった。ただし、その代償は余りにも大きかった……。
「……大丈夫か、これ」
「何、彼らは我が国への国債を持っています。いざとなればこれで相殺できますよ」
「いや、そういう問題では無くてだな……」
……大日本帝国の本貫地である日本列島は、比較的金山や銀山の多く、レアメタルも多数出土する地質である。石油も、樺太にしか大規模なものは存在しないが、近隣の、特に満州では石油がとれることはもう確認済みである。故に、このような荒行ができたのだがそれは余りにも大きな金額に上った。無論、国債である以上いつか返済日には利息を含めて帰ってくるのだが、その日は最大で、三十年である。
太平洋の波は、まだ静々としていた……。
1941年2月5日、大蔵省のある一室にて。
「ふむ、しかし可能なのかね」
「ええ、アメリカ合衆国側も、否とは言えないでしょう」
「とはいえ……」
「大丈夫でしょう、オトポールの件でユダヤ財閥は我が国へ若干なりとも好印象を持っているということが前提条件にはなりますが」
「……それは、危険な賭けではないのか」
「ええ、しかし最悪でも血は流さなくて済む」
「……なんともやれやれ、交渉はお前がやれ、権限は渡す」
「よろしいので!?」
「逆に、お前の言行はお前にしか出来んよ」
「……わかりました」
1941年、同じく2月5日|(ただし現地時間)
「大統領、日本大使館より連絡が入りました。何でも、現在買い取り手待ちのアメリカ合衆国の国債を全て買い取る代わりに連邦準備制度の株主に成りたいとの由」
「……そうか」
「やはり、断りますか」
「莫迦を言うな、こんな好条件で国債を売りさばけるんだ、連邦準備制度の席を一つ譲る位やむを得まい」
「しかしっ……」
「それとも、あの莫迦(ルーズベルト)みたいに日本との緊張を高めて無用な災害と悪名を被るかね?」
「……畏まりました、どうなっても知りませんからね」
「……ああ」
斯くて、大日本帝国はアメリカ合衆国の出資者となった。ただし、その代償は余りにも大きかった……。
「……大丈夫か、これ」
「何、彼らは我が国への国債を持っています。いざとなればこれで相殺できますよ」
「いや、そういう問題では無くてだな……」
……大日本帝国の本貫地である日本列島は、比較的金山や銀山の多く、レアメタルも多数出土する地質である。石油も、樺太にしか大規模なものは存在しないが、近隣の、特に満州では石油がとれることはもう確認済みである。故に、このような荒行ができたのだがそれは余りにも大きな金額に上った。無論、国債である以上いつか返済日には利息を含めて帰ってくるのだが、その日は最大で、三十年である。
太平洋の波は、まだ静々としていた……。
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