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新婚生活編
【番外編】修学旅行(攻め視点)
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それは高校の修学旅行1日目の事。
俺たちは北海道行きの飛行機に乗っていた。
まだ離陸前の機内は生徒達の楽しげな声で溢れている。
俺の隣に座っている瞬ちゃんはというと、何やら真剣な表情でスマホを操作している。
ちらりと見えた画面には検索欄に『飛行機 墜落 原因』など不穏な単語が並んでいた。
「……瞬ちゃん、もしかして飛行機が怖いの?」
「う゛っ」
図星を突かれたのか、瞬ちゃんは小さく肩を揺らした。
「別に?全然怖くないし」
「じゃあなんでそんなに必死こいて調べてるのさ」
「こ、これはただの暇つぶしって言うか……」
明らかに動揺している様子に思わず吹き出しそうになるが、なんとか堪える。
恐らく、数日前に放送していた九死に一生系のバラエティ番組を見た影響だと思う。
リアルな再現VTRのせいで余計に恐怖心を煽られてしまったのだろう。
瞬ちゃんは昔からあの手の番組が苦手なくせに怖いもの見たさでつい見てしまうタイプなのだ。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。死ぬ時は一緒だから」
「縁起でもない事言うな!」
「ふふ、ごめんってば~」
そんなやりとりとをしていると機内アナウンスが流れ始め、いよいよ離陸の時が来たようだ。
「ほら瞬ちゃん、もうすぐ飛び立つみたいだよ」
「分かってるよ……」
俺が促すと瞬ちゃんは渋々といった感じでスマホをポケットへしまい、シートベルトを装着した。
そして少し間を置いてから機体が揺れ
、ゆっくりと滑走路に向かって動き出す。
徐々に加速していく機体の振動を感じてか隣からは微かに震えた声が聞こえてきた。
「け、彗!ちょっと手ぇ貸せ」
「あはは、瞬ちゃんまじでビビリすぎじゃない?」
「うるさい」
俺が笑いながら手を差し伸べると、瞬ちゃんは俺の手を強く掴んだ。
その瞬間、機体は空高く舞い上がる。
ふわりとした浮遊感が心地良い。
隣の瞬ちゃんは相変わらず俺の手をぎゅっと握っているが、もうその手の震えはなかった。
(なんかかわいいなぁ)
なるべく平静を装ってはいたが、想い人に手を握られるというシチュエーションに胸の鼓動が速くなっていくのを感じていた。
きっとこの手はじきに振り解かれて、彼は恥ずかしそうに顔を背けるのだろう。
その光景が容易に想像出来てしまい、それがなんだか寂しく思えた。
「瞬ちゃん、窓の外見てみなよ。建物がちっちゃく見えるよ」
「う……」
瞬ちゃんは恐る恐る窓の外へと目を向けた。
「……本当だ」
先程までの怯えきった顔とは打って変わって、窓から覗く景色に夢中になっているようだった。
窓際の席を譲ってよかったと心から思う。
「なんか人間が空飛んでるって変な感じだよな」
「あはは、確かに。しかもこんな大勢で飛んでるとこ想像するとちょっと面白いかも」
落ち着きを取り戻した瞬ちゃんは雑談を振る余裕すら見せていたが、予想に反して彼の手はまだしっかりと繋がれたままだった。
このまま気付かなければ良いのに、と願ったがどうやらそういう訳にはいかないらしい。
「あっ悪い。忘れてた」
瞬ちゃんは慌てて俺の手を振り解くと、気恥ずかしそうな表情を浮かべていた。
「着陸の時も手貸してあげよっか」
「もう慣れたからいらん」
「冗談だってば~」
「お前なぁ……」
俺が茶化すように笑うと、瞬ちゃんは呆れ果てて溜息をついた。
「でも隣がお前で良かったわ」
「え、どうして?」
「だって他の奴にはこんな事頼めねーし……」
今日ばかりは彼にとって自分は特別な存在なのだと自惚れてしまう事を許して欲しい。
「女子の隣だったらとんでもない醜態晒してたとこだったね」
「……それは否定できない」
「ふふ、じゃあこれからもずっと隣にいてあげよっかなー」
悪戯っぽく微笑むと、彼は少しムッとした表情を見せた。
「調子乗んな」
照れ隠しなのか瞬ちゃんは俺の肘を軽く小突いた。
「……まあでも、いざって時は頼りにしてやってもいい」
「あはは、なに目線なのそれ」
その後、飛行機は無事北海道の地に降り立ったが、着陸の際瞬ちゃんが咄嗟に俺の手を掴んだ事は二人だけの秘密である。
俺たちは北海道行きの飛行機に乗っていた。
まだ離陸前の機内は生徒達の楽しげな声で溢れている。
俺の隣に座っている瞬ちゃんはというと、何やら真剣な表情でスマホを操作している。
ちらりと見えた画面には検索欄に『飛行機 墜落 原因』など不穏な単語が並んでいた。
「……瞬ちゃん、もしかして飛行機が怖いの?」
「う゛っ」
図星を突かれたのか、瞬ちゃんは小さく肩を揺らした。
「別に?全然怖くないし」
「じゃあなんでそんなに必死こいて調べてるのさ」
「こ、これはただの暇つぶしって言うか……」
明らかに動揺している様子に思わず吹き出しそうになるが、なんとか堪える。
恐らく、数日前に放送していた九死に一生系のバラエティ番組を見た影響だと思う。
リアルな再現VTRのせいで余計に恐怖心を煽られてしまったのだろう。
瞬ちゃんは昔からあの手の番組が苦手なくせに怖いもの見たさでつい見てしまうタイプなのだ。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。死ぬ時は一緒だから」
「縁起でもない事言うな!」
「ふふ、ごめんってば~」
そんなやりとりとをしていると機内アナウンスが流れ始め、いよいよ離陸の時が来たようだ。
「ほら瞬ちゃん、もうすぐ飛び立つみたいだよ」
「分かってるよ……」
俺が促すと瞬ちゃんは渋々といった感じでスマホをポケットへしまい、シートベルトを装着した。
そして少し間を置いてから機体が揺れ
、ゆっくりと滑走路に向かって動き出す。
徐々に加速していく機体の振動を感じてか隣からは微かに震えた声が聞こえてきた。
「け、彗!ちょっと手ぇ貸せ」
「あはは、瞬ちゃんまじでビビリすぎじゃない?」
「うるさい」
俺が笑いながら手を差し伸べると、瞬ちゃんは俺の手を強く掴んだ。
その瞬間、機体は空高く舞い上がる。
ふわりとした浮遊感が心地良い。
隣の瞬ちゃんは相変わらず俺の手をぎゅっと握っているが、もうその手の震えはなかった。
(なんかかわいいなぁ)
なるべく平静を装ってはいたが、想い人に手を握られるというシチュエーションに胸の鼓動が速くなっていくのを感じていた。
きっとこの手はじきに振り解かれて、彼は恥ずかしそうに顔を背けるのだろう。
その光景が容易に想像出来てしまい、それがなんだか寂しく思えた。
「瞬ちゃん、窓の外見てみなよ。建物がちっちゃく見えるよ」
「う……」
瞬ちゃんは恐る恐る窓の外へと目を向けた。
「……本当だ」
先程までの怯えきった顔とは打って変わって、窓から覗く景色に夢中になっているようだった。
窓際の席を譲ってよかったと心から思う。
「なんか人間が空飛んでるって変な感じだよな」
「あはは、確かに。しかもこんな大勢で飛んでるとこ想像するとちょっと面白いかも」
落ち着きを取り戻した瞬ちゃんは雑談を振る余裕すら見せていたが、予想に反して彼の手はまだしっかりと繋がれたままだった。
このまま気付かなければ良いのに、と願ったがどうやらそういう訳にはいかないらしい。
「あっ悪い。忘れてた」
瞬ちゃんは慌てて俺の手を振り解くと、気恥ずかしそうな表情を浮かべていた。
「着陸の時も手貸してあげよっか」
「もう慣れたからいらん」
「冗談だってば~」
「お前なぁ……」
俺が茶化すように笑うと、瞬ちゃんは呆れ果てて溜息をついた。
「でも隣がお前で良かったわ」
「え、どうして?」
「だって他の奴にはこんな事頼めねーし……」
今日ばかりは彼にとって自分は特別な存在なのだと自惚れてしまう事を許して欲しい。
「女子の隣だったらとんでもない醜態晒してたとこだったね」
「……それは否定できない」
「ふふ、じゃあこれからもずっと隣にいてあげよっかなー」
悪戯っぽく微笑むと、彼は少しムッとした表情を見せた。
「調子乗んな」
照れ隠しなのか瞬ちゃんは俺の肘を軽く小突いた。
「……まあでも、いざって時は頼りにしてやってもいい」
「あはは、なに目線なのそれ」
その後、飛行機は無事北海道の地に降り立ったが、着陸の際瞬ちゃんが咄嗟に俺の手を掴んだ事は二人だけの秘密である。
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