獣人騎士団長の溺愛

スミー

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出会い

16話

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 リリーがベッドの上で固まっているとフローラが心配そうに入ってきた。

「リリー大丈夫?悪いと思ったのだけど心配で扉の外で話を聞いていたの。いきなり花嫁だなんて言われてびっくりしたわよね。」

 固まるリリーの隣にフローラがそっと座ると固まっていたリリーはゆっくりとフローラ
に真っ赤な顔を向けた。

「お、お姉ぢゃぁぁん、どどど、どうしよう。」

 リリーはパニックになっていた。15歳で仕事ばかりで恋愛すらしたことがないリリーにとっていきなり花嫁だなんて想像すらできない話だった。
 フローラはパニックになって自分に頼ってくるリリーにほくそ笑みながら神妙な面持ちで優しく話しかけた。

「アシュレイ様も言っていたじゃない。淀んだ魔力を浄化する存在が花嫁だって。パートナーと言っていたけれど結婚して欲しいと言われた訳ではないでしょう?もしかしたら王都には恋人がいてリリーには浄化するためだけに王都きて欲しいと言っているだけで利用されるかもしれないわ。」

 アシュレイはリリーに最後に愛しい花嫁としっかり言っていたのだがいっぱいいっぱいのリリーにはそこまで考える余裕はなかった。
 言われてみればアシュレイ様とは初対面だ。お互いのことは何も知らない…魔力は浄化できるかもしれないがお互いのことを何も知らずに一生のパートナーにだなんて簡単に言えるのだろうか。
 フローラに言われて花嫁だと舞い上がっていた気分は落ち着き冷静に考えれるようになっていた。それがフローラの狙いとも知らず。

「私も可愛い妹が利用されるなんて許せないわ。もちろん利用されると決まったわけではないけれど不安があるのなら王都になんて行かない方がいいわ。私たち家族とも離れ離れになってしまうもの。」

 フローラがそう訴えるとリリーは少し悩んだ。助けてくれたことはありがたいがいきなり花嫁だと言われて知り合いも誰もいない王都に連れて行かれてもどうすればいいかわからない。

「ありがとうお姉ちゃん。ちょっとびっくりしちゃったけど落ち着いた。お姉ちゃんの言うことも一理あると思う。少し考えてみるね…。ごめんね、ちょっといろいろあって疲れちゃった。」

 そう言うとリリーベッドにもう一度横になった。

「いいのよ。なにかあったらいつでも言ってちょうだい。」

 そう言うとフローラは立ち上がって部屋から出ていった。



***



 リリーはフローラと話した後、精神的な疲労もあり眠ってしまい目が覚めたのは日が沈む頃だった。
 寝てスッキリしたリリーは両親達のところへ行こうと階段を降りるが誰もおらず皆出かけているようだった。帰ってくるのを待っていようかとも思ったが、今回のことで村長のところで話し合っているのだろうと思い外の空気も吸いたかった為歩いて迎えに行くことにした。
 歩いて村長の家に向かっていると村の皆んなか無事で良かったと声を掛けてくれた。また改めてお礼をしないとと思いながら歩いていると村長の家に着いた。ベルを鳴らしたが村長は出てこない。留守だったかと思い引き返そうとした時、家の中から両親の怒鳴る声が聞こえてきた。勝手に入るのは憚られたが気になったリリーはそっと家の中に忍び込んだ。
 村長の家のリビングに両親はいた。そっと覗き込んでみると椅子に座っている村長に向かって父が立ち上がって怒鳴っている。母も厳しい目をして村長を睨みつけていた。
 何をそんなに怒っているのだろうとその光景を見ていると父が再び村長に向かって怒り始めた。

「何度も言っているだろう!リリーは村から出さない!!」

 父は私のことで怒っているようだ。

「そうです。リリーは私たち家族に必要な存在です。」

 母も父に賛同するように村長に語りかける。そんな両親を見て村長は溜息を吐くと鋭い声で反論した。

「お主たちのそれは本当にリリーを思ってのことかの?」

 村長の問いに両親は一瞬たじろぐ。

「あ、あたりまえじゃないか!娘を王都にだと!?この村からほとんど出たことのないリリーがいきなり王都に連れて行かれても戸惑うだけだ。」

 父の言葉を聞きながら村長は思い出したかのように両親に問いかけた。

「そういえば隣町の商会と契約を結んだそうじゃな。ハンカチの刺繍を気に入ってもらったと言っていたがそれだけではあるまい。たかがハンカチの商会が一般民と契約するわけあるまい。一体何を隠しておる。」

 鋭く村長が問いかけると両親はギクりと肩を震わせた。
 商会長を助けたときにハンカチを気に入ってもらって契約に至ったとリリーも聞いていたがそれがそんなにおかしなことなのだろうかと疑問に思った。しかし商売などしたことのないリリーは自分にはわからない世界があるのだろうと思い直し黙り込んでいる両親を覗き見ていた。
 それでも何も言わない両親に村長はさらに追い打ちをかける。

「お主たちリリーを売ったな。」

「なっ!何故それをっ」

 村長の言葉を否定しない両親にリリーはショックを受けた。貧しいながらも仲の良い家族だと思っていた。毎日の仕事は大変だったが少しでも生活が楽になればと家族のために一生懸命頑張った。

「普通に考えておかしいと思うじゃろ。おそらく商会長が気に入ったのはハンカチでも刺繍でもなく羊毛じゃろう。お主たちの売っておるハンカチは羊毛を使っておろう?」

 両親は村長の問いに頷く。それを見て村長は説明を続ける。

「商会長はその羊毛の質の良さに目をつけたのじゃ。リリーの育てる羊はみな毛並みが良いからのう…お前たちが町に行っている間あの子がそれはそれは一生懸命そだてておるからのぉ。羊毛は洋服や毛布多くの物に使われる。質の良いものを作るお主らを逃したくなかったんじゃて。」

「で、でも売ったなんて人聞きの悪い。確かにリリーの育てた羊毛を気に入ってはもらった。だからその羊毛を卸すのではなくリリー自身が隣町の商会で働いて質の良い羊の育て方を教えると言うことで話がまとまったんだ。」

「それを売ったと言わず何と言う!お主らはリリーが育てたものをただ売っているだけで全てあの子が何もかも一人でしているのを知らぬわけあるまい。あの子からこれ以上搾取しようというのか!そもそもその契約話リリーにきちんと了承はとっておるのか?……その様子だと勝手に話をまとめたきたようじゃな。」


リリーはこれ以上聞いているのが辛くなりそっとドアを開け村長の家から逃げるように家に戻った。



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